大学に帰って実験に専念できるかと思えば、そんなことは全くない。
まず、収入がゼロになるから、バイトに行く。救急のバイト、当直のバイト、外来のバイト。大学院生だからひまやろ?と、月並みのセリフをいただいて、学生さんの資料集めと実習中の講義。 おかげで時間が細切れになってしまう。実験だけに専念できるのは結局休みの日の、当直がないときだけ。これは困った。どんなに必死でやっても新しい知見(=ノイエス)がでるとは限らないのがこの世界の本当に厳しいところ。 実際、大学院の先輩たちも新しい知見が得られず、苦しんでいる。知見が出なければ留年。留年した場合はしばらくしたらまた外の病院に兼業で出されるため、実験が更に進みにくくとなるという。残された2年半でなんとかなるんだろうか? 臨床のもろもろのことは努力すれば何とかなる。また手を尽くしても、限界はある。しかし、この実験の世界はそうはいかない。必死で努力してもとどかない。そのころ、関連病院が増えて、派遣する医師も減っていたからなのか、”ノイエス出せないのなら今からでも大学院退学して〇〇病院にゆけ”とまで言い放たれた。
この頃、先の見えないところでもがいていた。しかし、基本的な実験手技や、データ―の取りまとめは確実に上達していた
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Last updated
2006.09.13 19:10:30
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