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テーマ:あの日・あの時(104)
カテゴリ:半生
秋から冬にかけて、病院では亡くなる患者さんが増える。
この場合通常は葬儀社の方が2名お迎えにいらっしゃって、亡くなった患者さんをストレッチャーにのせ、寝台車で希望する場所に運ぶ。 その日の夜遅く亡くなった患者さん。病院の目と鼻の先にあるお家の方で、ご家族がなんとか家まで運んでほしいと希望された。婦長さんの命を受け、僕と主任ナース、ナースマンWとで、ストレッチャーに乗せてお運びすることになった。 病院で一番良いストレッチャーに真っ白のシーツを敷き詰め。ナースマンWにしっかり死亡診断書を握らせ、雪のちらつく病院の外へ!思うにこの姿、そうとう-あやしい! 病院の近くにはお城の堀があり、ここで一度ストレッチャーが倒れかけた。危なかった。正直、もうちょっとで患者さんをお堀に落としてしまうところだった。 次は片側2車線のこの地方で最も広い道路をストレッチャーで横断した。港が近いため、トラックの往来が多い。これではねられでもしたら、いい酒のネタにされてしまう。 やっとの思いで患者さんのお家に着いた。 しかし、このお家は商店と兼用になっていて、自宅はストレッチャーの入らない路地の奥だという。しかたなく病院から小さな担架をもってきて、これに移乗。患者さんをお家の座敷にお連れした。あの搬送ほど大変だった搬送はない。 今日も救急隊の皆さんは、あの時と同じようなことを(いや、もっと危険なことを)されているのだろう。大変な仕事を献身的にこなしている人々を尊敬している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.12 21:04:03
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