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テーマ:あの日・あの時(104)
カテゴリ:半生
やっぱり僕にはこの施設は向いていない。
体力なさすぎ、持ちこたえられないのだ。 その日はきっと、気合の入った脳外科医にとって最良の日なんでしょう。 僕はもうこんなに働くことはないと思います。 朝は外来。僕の人気はそれほどでもないけど、この病院の人気はすごいから、かなり遅くなった。昼食は3分で終わり、聴神経腫瘍の予定手術を行うため、手術室に入った。 この腫瘍は女の人に多く、かなり大きくなっていても症状といえば耳鳴りとふらつきくらいの軽い症状のことがある。しかし、手術をすると、顔面神経が障害されてしまい、顔がゆがんでしまうことのある厄介なものだ。大都市ならすぐ大学とかに紹介だが、ここではDrHが第一執刀医師で執刀する。助手は僕。13時から執刀。ちびりちびりと腫瘍を摘出するから時間もかかる。今回の腫瘍は術前の血管検査で血流がとても多いことがわかっていたが、これほどとは! 通常はある程度剥離して、神経の走行など確認したら、超音波吸引器など使って順次摘出していくのだが、出血のせいでなかなか進まず。 23時をすぎたころ、救急室から電話。 僕は個人的には、手術中に電話にはでたくない。集中力が途切れるから。 でも、ここはいついかなる時も患者を断らない施設。だから、手術中なんて関係なし。応対しましたよ。 ○○町からくも膜下出血がきます! えーっつ! ”H先生どうしましょう?”と僕 ”だいじょうぶや、やれるで。もう終わるしな”とDrH ”でもな、きたら君、手下ろして(手術衣を一度脱ぐこと)CTとアンギオ(血管撮影)しといてよ。患者の状態よかったら、このあとやろう。”だって。 状態もよく、CTと血管撮影を行い。この患者さんの手術の準備をしてまた手術室へ。 ”そうか、はやくしてあげたほうがいいな。こっちはもう終わるから、すんだら手術しよう。” 予定手術は深夜の2時に終了。その人の術後の話とか指示などして、3時からくも膜下出血の緊急手術だ。 こういうのは深夜にしないほうがいいって教科書には書いてたけどなあー。 朝8時 DrHと朝のコーヒーをのんでいた。もちろん朝食なし。 DrHは顔色ひとつ変えず。 ”僕、今日、外来やから、もう行くで。君、病棟係やったな。ちょっと休んでからいってええで” だって。 僕はもうへろへろ。 サイボーグと仕事するのは大変やなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.08 19:29:33
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