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あるDrの半生(反省)by ge5999

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2007.06.12
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カテゴリ:半生
耳鳴りと軽い顔の痺れを訴えてきた40代の女性。
MRIで耳の奥、錐体骨に張り付いたような脳腫瘍(おそらく髄膜腫)が
見つかった。
この手術は最低でも10時間ほどかんばる必要があり、この施設で手術に持っていくか、他に紹介するか迷った。
迷ったときは患者さんと良く話すのがいいのだが、その前に自分の意見を決めておかないといけないと思った。
この施設で手術可能と思ったが、手術をしてちょっとして転勤することになる。
それでは手術を許してくれた患者さんに申し訳ないと思い、
自分の意見は ”他院で手術をしてもらいましょうか” 
ということで面談に望んだ。

ありがたいことに患者さんは、僕に手術をしてほしいとおっしゃってくれた。
転勤の事や、僕の技量、経験、体力なぞを正直にお話。
DrHならより多くの腫瘍を摘出してくれるだろうと思い、
DrHの病院も候補に挙げたが、
最終的に患者さんは、大学病院での手術を選択し、紹介した。

---
後日紹介状の返事が来て手術の結果を見た。
予想通りほとんど摘出できてなかった。
手術で採取した腫瘍を検査して(生検という)、
良性の髄膜腫であることがわかった。
手術による後遺症はなく、症状は半分程度に軽減したという。
大学病院の術者がすばらしい判断をしてくれて、良かったと思う。

腫瘍を殆ど取らずになにが、すばらしいんだ?!
というご意見もあるだろう。

手術による後遺症がないということは、非常に大事なことだ。
場合によっては腫瘍をとることよりも大事だ。

なぜなら、もし脳の手術で大きな後遺症を出してしまったら、
次の手術はないからだ。
腫瘍をできるだけたくさん摘出することも大事だが、
今はガンマーナイフ(より進んだ放射線治療)という選択枝があり、
手術で取りきれなくても、
残った腫瘍をこの治療で、できるだけ大きくならなくする方策もある。

初めからガンマナイフという選択枝もあるが、腫瘍が良性か悪性かを決める必要があり、やはり腫瘍をできるだけたくさん摘出する努力も大切なのだ。

みんなが神業をもっているわけではない。
100人上手くいっても1人で大きな後遺症を出したら
その患者さんとご家族に申し訳ないと思う。
今の世の中では絶対にうまくいく保証がないかぎり、
より安全な選択枝を選ぶのが適当だろう。





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Last updated  2007.06.16 17:09:57



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