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カテゴリ:半生
この病院の院長先生は病院には常勤していない。実際の采配をふるう副院長先生は循環器の優秀な方。したがって、この病院は循環器科の力が強い。循環器はこの病院で完結できるようにと心臓外科医も常勤している。実は脳外科も歴史的には循環器の病気に伴う脳梗塞の治療をするために採用したようなもので、初代の脳外科医師は脳塞栓の血管内治療を仕事とした。
心臓外科医師もアクティブな方で、どうやら心臓外科の緊急手術を、一人で施行したらしい。麻酔もご自分でかけたというから、すさまじい。患者さんは何とか救命できたが、意識がもどらないので、僕(脳外科)に相談があった。 CTを行って見ると、大きな急性期の出血は見当たらない。(一般に出血の検出力は、CTが優れている)でもCTの見え方がなんとなくぼおーっと暗く、低酸素脳症(長く脳全体が、血流不全に陥っていた)の所見だった。そのように申し上げて、保存的に治療することを勧めた。 よっぽど急がないといけない状態だったんだろう。家族がなんとかしてくだいと懇願したのかもしれない。でも心臓外科みたいなダイナミックで、大変な手術を一人でやってしまう、いや、やろうと思うなんて、ブラックジャック先生みたいな人もいるものだ。病院内では賛否両論だった。僕も手術は原則2人でするのがいいと思っている。何かあった時に、術者は一瞬パニックになるから、助手の冷静な判断が大事だから。なにより患者さんの状態がもっとよくなっていたら、よかったのに・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.08 13:25:52
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