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テーマ:あの日・あの時(104)
カテゴリ:半生
”アンギオ(脳血管撮影)はしてないんですか?”
三次救急にくも膜下出血の患者を運んだら、若い脳外科(らしき)Drが責めるような口調でそう聞いてきた。 Drには各々方針がある。ちゃんとした理由があれば、その方針にしたがって診療しても責められるようなことはないのだ。 君はどれだけ救急をしてきたんだ。その黄色いくちばしで何をいってるのかと思ったが、みんなの前で恥をかかすのも気の毒だ。 敬意を込めて、 出来るだけいつもの大きな声は抑えて 搬送前にご連絡しましたように、患者さんの発症は2時間前ですので、発症6時間以内のアンギオは危険というデータに基づき、まだ行っていません。 MRI/Aでの血腫の分布、動脈瘤の位置・大きさからほぼ中大脳動脈瘤の破裂でよいと思います。家族が当院に来るなり先生の勤めれている病院への転送を切望されたので、血圧を厳重に管理しながら迅速に連れてきたわけです。当院では誠に残念ながら再出血した場合麻酔専門医に直に全麻をかけてもらって手術と言うわけには行きません。僕は全麻かけることできますが、専門でないため院長の許可がでないし、先生の施設のあるこの地域でそんな冒険をするのは患者さんに迷惑でしょう。 以上の理由で血管撮影は手術を行う先生の施設で落ち着いた後に行われるのが良いと判断し、敢えて超急性期である現時点では行っていません。先生が今すぐアンギオをする必要と思われるなら先生のご判断で家族に十分なインフォームドコンセントを行った後にどうぞ先生ご本人が施行されてください。 ・・・と申し上げた。暫くしてから黄色いくちばしの指導医をしている僕の後輩のDrが来た。 ”先生よろしくね”と声掛けたら ”お疲れ様でした、紹介・搬送ありがとうございました。”と てきぱき動く看護士が3人、麻酔医らしき先生が1人、脳外科医が2人 ベッド周りにモニターも豊富。さすが3次救急。くやしいけどうちの病院とは設備も人員も違いすぎる。家族が希望するのも当然のことだ。 うちの地域の3次救急は断わらないから、本当にありがたい。 黄色いくちばし君も、もっと研鑚を積んで いいDrになるよう心から応援している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.06 17:18:12
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