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カテゴリ:軍記
シテ方観世流関根祥人さんの花祥会で「安宅<勧進帳>」があった。私のようなものが評するまでもなく、躍動的な筋肉の存在を感じる見応えのある弁慶が造形された。お囃子方さんの調子も良く、観世宗家系の若い同山がそれを盛り上げる。もう1番はご子息祥丸くんの「菊慈童」で、これまた、末恐ろしい、いや末頼もしい肝の据わった舞。 時を同じくして浅倉卓弥『君の名残を』(上下)を読了する。『四日間の奇跡』で構成の上手さは証明済みの注目作家が、800年の時空を越えたローマンスを描く。高校生原口武蔵と白石友恵、そしてもう1人北村志郎が忽然と消える。3人の名前でわかるように、彼らは平安末期から鎌倉初頭にかけて歴史に刻まれる人々と関係する。『平家物語』をはじめとして様々な文芸に描かれる源平の争乱とその後に、この3人の存在があった、という展開である。SF的な設定であるにも拘わらず、丁寧に古典作品を解釈して再構成しているのを感じ、しかも切ない物語に作り上げていた。ほぉーほぉーと、作者の解釈に肯きながら、一気に読了した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.21 21:49:21
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