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カテゴリ:芸能
櫻間金記さんの会が第15回目ということで、宝生の別会を取らずにこちらを選択。修羅能の中でも老成感の強い作品「実盛」を謡う上に、15回記念の会らしく「石橋」に<群勢>の小書付を舞う。 「実盛」は老人であることを隠すために髪を染めて戦場に赴いた実盛の霊が合戦の様を語る。そういう老成された世界の能で、老人物としては動きが多いけれども、修羅能としては静かな曲ではなかろうか。この曲の面白いところは、既に言及されているように実盛没後およそ230年を経て、実盛と遊行上人とを繋ぐ風聞があって、そこから制作された作品であるということ。当時の風聞が作品化されていくのは、歌舞伎ではよく見られるけれども、能では珍しい。 「石橋」は小書が付くと動きの派手になる物が多い中で、この<群勢>は人数こそ4人(白獅子1シテ・赤獅子3ツレ)であるが、どっしりした白獅子を中心に、上下運動は少ない。赤の1人(おそらく山中一馬さん)が大きく動く以外は、4体の構成美を見せる印象が強い。櫻間金記さんらしい芯のしっかりした舞で、肩とか腰とかのブレがない。 来年は同じく9月24日、「通小町<イロエノハタラキ>」に、金春宗家・本田光洋さん出演の「土蜘」だそうだ。轍の会同様、お二人の活躍を楽しめそう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.24 20:47:56
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