仕事を終えて定刻に大学を出て渋谷へ……と思っていたら、月曜日の授業のことで相談に来た学生がいた。無碍に断るわけにも行かず、あれこれ相談しているうちに時間があぁ。
当初の予定では野村四郎さんの「木曾<願書>」(能の方々はこの曲を“曽”と異体字表記することが多い、なぜだろう?)に充分間に合うはずであったが、わずかに遅刻。そのため会場に入るのを止め、明日朝行こうと思っていたギャラリートム(観世能楽堂の奥の方)まで足をのばし「東野芳明を偲ぶオマージュ展」を鑑賞。昨年亡くなった東野氏は、私にとってはシュールレアリスム関係の批評家というイメージしかないのだが、タマビの教員として様々な分野で活躍していたらしい(無知でお恥ずかしい)。本務校の美術関係の非常勤の先生がここの門下生であることから、今回の展示を教えていただき、行こうと思っていたものである。
“偲ぶオマージュ”ということで、氏の影響を受けた作家が1点(または数点)ずつ小ぶりな作品を出していた。有名どころとしては横尾忠則とか四谷シモン、三宅一生などの参加があった。現在の非常勤の先生の出展作品は「わぁ~、…………(←この点は一体?)」。そして前に来ていただいていた先生の作品も。こちらの先生のものは何度かギャラリー展示を観に行っていたので、なんだかちょっと懐かしい。
モダンな展示を観たあと、道すがら戸栗美術館へ。こちらは現在古伊万里の意匠について行なっている。この夏、“鍋島焼”を知らないということで笑われた私は、ここの美術館に初めて入る。ある意味、松濤にふさわしいこの美術館を一度も訪れたことがないというのは恥ずかしいことだと気付いた次第。かの鍋島焼についても、かつて祐徳稲荷神社に写本の調査に行った際に知ったはずのことさえも忘れていたのであり、恥の上塗りを自覚する。
ささっと鑑賞して出ると、修正予定通り休憩時間に入っていた。後半のメインは「道成寺」の披キ。アイも囃子方も、そして謡も良かった(ってシテは?)。