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テーマ:人間関係(927)
カテゴリ:Being
セミナー中マナーモードにしていた携帯を休憩時間に見たら、伝言メモが一件。心配していた長岡在住のM子ちゃんからだ。
「M子です。元気です」それだけ録音されていた。 よかったー。朝からずっとM子ちゃんのことが気になっていた。しかし、昔は仲の良い同僚だったけれど今は年賀状だけのやりとりになっていて、被災直後の混乱時に連絡を取るのは気が引けた。数日したら電話を入れてみようか、それとも手紙がいいのだろうかと悩んでいた。 M子ちゃんが無事だったことが何よりも嬉しかったのだが、わざわざ安否を知らせてくれたことも同じくらい嬉しくてじーんと来た。「じぇらーとは心配しているだろう」きっとそう思ったに違いない。 電話をしてみた。するとのんびりした声で「じぇらーとさん、こんにちはー」と出てきた。まるで何もなかったかのようだ。 しかし、聞いてみたら、揺れはかなりひどくて棚のものはかなり落下したらしい。ライフラインは止まっていて昨晩は避難所で過ごしたとか。「お水はあるの?」と訊くと、「ジュースやなんかいろいろ買い置きがあるので大丈夫」と。 ご主人と動物病院を経営しているのだが「入院患者」は全てお返ししたというところを聞くと、やはりあれこれとても大変だった様子。 ところが、M子ちゃんは全くパニックになっていない。まるで毎日地震を経験していて慣れているかのように。信じられない落ち着き。 M子ちゃんは昔からそんな人だった。横浜にある超お嬢様短大を出て銀行に就職。美人の彼女は秘書室勤務で受付嬢だった。数年後、支店で私と同僚となった。 スピードが要求される銀行の現場で彼女はいつもマイペース。周りがどんなにあたふたしても全く巻き込まれない。でも仕事は手堅い。感情の起伏も少なくて、私はいつもM子ちゃんの存在に癒されていた。 趣味の乗馬を通じて知り合ったご主人と結婚することになったのだが、新居は長岡。横浜生まれの横浜育ちの彼女、おまけにいきなり自営業で仕事も手伝う。大丈夫なのかしら? と友人達は案じたのだが、彼女は全く心配なぞしない。実際に起こっていないことを不安に思ってバタバタするなんてことはしないのだ。 その後、赤ちゃんができた。妊娠ライフも出産も子育ても、M子ちゃんはマイペース。悩んだりする様子は全くない。「辛い」とか「大変」なんて言葉を聞いたことがなくて、「子育ては本当に素晴らしくて楽しい」という手紙が時々届いた。同じ時期に子育てにブツブツ文句を言っていた妹にその手紙を見せたこともあった。 大変な余裕だなあ・・・と思っていたら、続けてあと2人ポコポコと(そんな感じなのだ)出産。それでも全く動じる様子はない。 そして、今回。見かけは少女のようなのだが、中身は肝っ玉母さんそのもの。 「大変なときにわざわざ電話をくれてありがとう」と伝えた。するとM子ちゃんの答えはこうだった。 「避難所行っちゃうとぜんぜんやることないの。それで皆さんにお電話したの」と。恐れ入りました。 でも、実はM子ちゃんは携帯を持っていない。発信は家からだった。すごい人だ。 自分自身もM子ちゃんのように人を大切にする人間にならなければと改めて思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/10/25 08:29:44 AM
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