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カテゴリ:長野
楽天トラベルのネット検索で出てきた角間温泉越後屋に宿泊した。築150年の味のある建物だった。 急な階段の3階建ての楼閣構造の宿は、以前宿泊した、松本浅間温泉の宿と同じだった。 さらに、泊まった後にネット検索をして判ったのが、吉川英治氏が、1年半投宿して、初期の作品を色々書き上げたという。その他、色々な作家の方が泊まっている。 確かに、ここの3つの湯船は、それぞれ風情があり、入れ代わり入りながら長期滞在したくなるという気持ちがよくわかる。 そして、ここの泉質が何よりもいい。また、涌き出る源泉温度も高い。73度もある。 この宿の風呂に入る前に、角間温泉にある3つの外湯を巡った。 実は、この宿に宿泊すると、外湯の鍵というのを借りることができる。 角間温泉新田の湯 その鍵を使って外湯巡りをしたがそのどれもが熱くて入ることができなかった。 角間温泉新田の湯 かけ湯をしながら、何とか、下半身だけ浸かるような入り方を試みたが1分も耐えられない。 角間温泉滝の湯 ある意味、凄い地球のエネルギーである。 角間温泉大湯 そんな経験の後で、宿のお風呂に入る際には、自然と体は身構えてしまった。 お湯に、恐る恐る手を浸けると、不思議なことに、外湯のように熱くはない。 ちょうどいい湯加減になっている。 どうしてここの宿のお湯は、ちょうどいいのだろうか? 風呂に浸かりながら、思案してみたが、風呂場上部にある開口部による帰化熱放射だろうか。 そこには最初から窓枠などもない。 恐らく窓が無くとも、気温が低くてもそれを打ち消すお湯の力があるからだろう。 翌朝、宿の女将に聞くと、窓枠がないのは、湯気が籠らないようにするためで、お湯の温度は宿の主人が温度計を持って浴槽に入るお湯の量を調節されているからだそうだ。 樋のかけ方にコツがあり、湯量を事細かに、絶えず温度計を見ながら調節しているそうだ。ポタポタや、ボタボタ、チョロチョロなどと変えるらしい。 快適な温度の訳は、そこまで気を遣っていた成果であり、水で薄めることが無いようにと、本来の源泉かけ流しを味わえていたことを、朝になって知った。 角間温泉では、村全体で、土地の大きさや、所得に合わせて、温泉管理費を集めているそうだ。 温泉も汲み上げないと出てこないようで、維持にお金がかかる。 角間温泉の共同浴場には、お金も払っているので、村のみんなが入れるし、大切な村の財産にもなっている。 そんな価値ある汲み上げが必要な温泉水を宿では、ふんだんに流してしまって、少しだけ、チョロチョロした湯を溜めた温度が丁度良い浴槽に浸かる贅沢ができる。 なので、ごくごく内輪のお風呂に特別な手間を掛けて入ることが出来た更なる特別感がある。 最初は、鍵つきの共同浴場になっている温泉なんて、ケチ臭いと思ってしまったが、越後屋の女将の話を聞いて、ちょうどいいお湯が当たり前で無いことや、村の皆のお金や思いが込められている湯であることが見えて、少し、特別な温泉体験をしてしまった気分である。 温泉は傷に効くらしい。ケガをしたら角間へ行けという言われ方がこの辺りではされているらしい。 確かに、効く温泉である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.11.09 09:31:50
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