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カテゴリ:本
忙しい大人のための読書
第二十七回 「羅生門」芥川龍之介 8月12日12:00~ 高円寺 コクテイル書房 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1431803050229431&id=100001992484074 読書会に参加した。 主宰の松本海さんは、以前、自分の会社の仕事に派遣されたスタッフの一人だった。 その時、文学の話から、互いの連絡先を交換した。そして、1年半後にやっと、彼の主宰する読書会に参加した。 都合が合い、時間調節などがうまくかさなり、向かうコクテイル書房のある高円寺を巡りながら、ここが、酒呑みにとっては、危険な町であることに気がつく。 クラフトビールやプレミアムテキーラなどの特殊な酒が多く売られている。 高い酒を買う高額所得者や外国人が多く住む。 また、高円寺の街並みから、芸術家気質の人々が集まるスポットが点在している。 アルバイトなどの生活するための労働とは異なるモードで、自分の本当にやりたいことを語りながら、眠っていた非日常の自分を解放できるような場所である。 そんな高円寺は、「本が育てる町・高円寺」として、「まちのほんだな」が設置されている。読みたい本と読んで欲しい本をメッセージカードを挟んで交換しあう本棚がある。 仕掛けているのは、コクテイル書房の店主狩野俊さん。 コクテイル書房の2階で開かれる読書会も、小説を読むことで、職場などの周りの人々とは、日頃語ることのない内容が知らず知らずに参加者の口から紡ぎ出されていく。 芥川龍之介全集 357作品(羅生門、蜘蛛の糸、河童 ほか)【電子書籍】[ 芥川龍之介 ] 今回の題材は、芥川龍之介の「羅生門」である。 小学生の頃に読み、高校、20代と読み、改めて、50代で読む芥川龍之介である。 階下から階上に上がることで、下人の心が、老婆に対する義憤の心が、やがて悪人になることは、よしと変化する様を描ききる。 これらの描写を前に、参加者が、自己紹介のあとに、順番に読後の感想を述べていく。 周りの方々の意見を通して、新たな視点や疑問が立ち上る。 そして、気がつくことがある。 作品が発表された1915年は、1914年7月から始まる第一次世界大戦の戦況が日本に伝わる時世であり、戦争の不安や輸出経済の好景気で、人の心が、善悪の判断が下す領域に留まるべきか、周りの悪に同調して、生きる金を得るための行為はよしとするかが問われていた。 倫理を守るか、生活の糧のために悪をもよしとするかの選択である。 羅生門の舞台である平安末期も世の中の価値感、倫理感が揺らいでいた。 芥川龍之介が24歳で、「老年」の次に発表されたのがこの「羅生門」である。 この1915年から、彼の作品は発表されていく。 当時は、注目されない作品だった。 でも、その作品が投げ掛けるテーマは、状況で、人は善悪の行為のどちらを選択するか、である。 突きつけられるテーマは、かなり深い。 高円寺古本酒場ものがたり /晶文社/狩野俊 / 狩野俊 / 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.08.14 11:16:53
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