天皇がいなくても日本という国は存続する。国民がいなければ日本という国は体をなさない。この言説に文句の言える人間はいないだろう。
では天皇はこの国に不可欠の存在なのだろうか。
憲法は天皇を国民統合の象徴だと規定しているが、改憲によって天皇をリストラすることは可能なのだろうか。
日本が平和国家として、経済大国として、世界に認められようとしてきた戦後60年の歴史は、図らずも日本という国の主役が国民であることを証明した。天皇がいなくても日本という国は存続できるというのはこの60年の実績をベースとした言説だ。
政治は三流でも経済とくに末端の現場は一流だ。
ところで、安倍内閣の論理によれば、改憲が参議院選挙の争点たりうるということだ。そういう論理の展開がもし万が一可能だとすれば、天皇のリストラも争点となりえるということになる。
天皇がいてもいなくても日本の経済は回る。たとえ政治は三流でも経済さえしっかりしていればこれからもやっていける。
そして経済すなわち効率を追求すれば天皇は邪魔になる。天皇制を維持するにはコストがかかりすぎる。
また、国内消費の中核たる中産階級を育てるのは大事だ。それを政治的に支えるのが民主主義で、民主主義を徹底するには、天皇制の維持より配分的正義に力を割く方が賢明だ。
要するに天皇は不要だ。だから憲法を変えよう。
安倍晋三の論理によれば、これだって選挙の争点にできることになる。
安倍晋三は知性的ではないので、ここまで考えてモノを言っているとは考えにくいが…。