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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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カテゴリ:義憤
日本と中国は距離が近い。人的交流もあったし、思想的共鳴もあった。いわゆる民族派はこの点に対する理解が浅い。ということで、アジア主義入門。さっそくだが、萬晩報より、山田良政伝 平山周を抜粋。

…中国革命に生命を棄てた無償の行為の一典型を、同志が追憶した文である。日中関係のきずなの深さをうかがうに足る。萱野長知著『支那革命秘笈』1941年刊)に収める。

 山田長政君は青森県弘前の人なり。父名は浩蔵、世々津軽の藩士たり。君明治元年一月一日をもって生る。長じて水産講習所に学び畢業の後、北海道昆布会社に入り、上海支店員となる。明治二十七年日清の役起るや、陸軍通訳となり、軍に遼東の野に従い、転じて台湾にゆく。凱旋の後、北京公使館付武官海軍大佐清川具和にしたがいて北京に行く…

…時に革命軍は三州田の山塞(さんさい)に拠(よ)り、清軍一隊は沙湾にあり。一隊はまさに横岡を扼(やく)せんとす。革命軍偵してこれを知り、機先を制してもって敵鋒を挫(くじ)かんと欲し、夜に乗じ沙湾を襲うてこれを敗る。ここにおいて、四方来り応ずる者日に多く、進んで仏子劫より横岡にいたる。

 たまたま鄭司令香港よりいたり、中山の電命を伝えていわく、一軍ただちに廈門(アモイ)にいたれ、おのずから接済の途あらんと。よりて折回して道を東北に取り、三多祝梅林を経て白沙にいたる。またたちまち中山の電命あり、いわく、台湾の事情一変、外援期し難し、軍中のこと司令みずからその進止を決せよと。

 衆ために意気阻喪す。鄭司令いわく、ふたたび三州田の山塞に返り、新安虎門の同志を合せて、一気に広東省城を陥(おとし)いれんと。諸領袖これに同じ、すなわち銃を持する者千余人を選び、残余の同志を解散せしむ。十月二十二日、海陸二途に分れ、まさに大鵬に返らんとす。敵軍その情を知り、これを三多祝に要撃す。全軍ために土崩瓦解し、しかして君ついに乱軍の中に戦死す。時に年三十三。

 初め君藤田氏の女敏子を納(い)るるの約あり。君歿するの後、人これに嫁を勧むるも、節を守りて応ぜず。君の家弟純三郎その志を継ぎ、日支両国の聯携に尽瘁(じんすい)して、今なお上海にあり日語学校を経営す。大正七年、中山朱君執信を派して君の遺骨を求めしも、寒烟(かんえん)荒草また尋ぬべからず。わずかに一塊の黄士を取りて帰る。純三郎広東に赴き、その分土を得て、帰りて先人の墓側に葬る。両九年碑を菩提寺に建て、その建碑式を行なうや、中山特に陳君中孚を派してその式に列せしむ。碑文に日く

山田良政君ハ弘前ノ人ナリ。庚子閏八月、革命軍恵州ニ起ツヤ君挺身シ義ニ赴キ、遂ニ戦死ス。アア人道ノ儀牲、亜洲ノ先覚、身ハ殞滅(いんめつ)スルトイエドモソノ志ハ不朽ナリ。       民国八年九月二十九日孫文撰抃書

 君の功烈昭々、あえて一語を贅(ぜい)せず。



思想的共鳴があったことを示すダメ押しの一文も抜粋しておく。同じく萬晩報より、孫文の大アジア主義の一節。孫文が1924年に神戸高等女学院にておこなった演説の翻訳だ。民族派に問いただしたいのは、こういう日中の交流史を十分に理解した上で、中韓を激しく嫌悪し、たたいているのかということだ。民族派の同朋を愛する気持ちは共感を覚えるが、それが排外主義に結びつくのはいただけないと思う。

…今私が大アジア主義を講演しますに当って述べました以上の話は、どんな問題であるかと申しますに、簡単に言いますと、それは文化の問題であります。東方の文化と西方の文化との比較と衝突の問題であります。東方の文化は王道であり、西方の文化は覇道であります。王道は仁義道徳を主張するものであり、覇道は功利強権を主張するものであります。仁義道徳は正義合理によって人を感化するものであり、功利強権は洋銃大砲を以て人を圧追するものであります。感化を受けた国は、仮令宗主国が衰微しても、数百年の後に至る迄、なお其の徳を忘れるものではないと言うことは、ネパールが今日に於てもなお且つ中国の感化を切望し、中国を宗主国として崇拝しようとして居る事実に依って明らかであります。これに反して圧迫を受ければ、仮令圧追した国が非常に強盛であろうとも、常に共の国家より離脱せんとするものであることは、英国に対するエジプトおよびインドの関係がこれを示して居ります。即ち英国はエジプトを征服しインドを滅し、現在非常に強盛となって居りますが、エジプトおよびインドは常に英国より難脱しようとして居ります。これが為彼等は盛に独立運動を起して居ります…

…我々は今こう言う世界に立って居るのでありますから、我が大アジア主義を実現するには、我々は何を以て基礎としなければならないかと言いますと、それは我が固有の文化を基礎にした道徳を講じ、仁義を説かねばなりません。仁義道徳こそは我が大アジア主義の好個の基礎であります。斯くの如き好個の基礎を持って居る我々が、なお欧州の科学を学ぽうとする所以は工業を発達させ、武器を改良しようと欲するが為に外なりません。欧州を学ぶのは決して他国を滅したり、他の民族を圧追したりすることを学ぶのではないのであります。唯だ我々はそれを学んで自衛を講じようとするのであります…

…我々が大アジア主義を説き、アジア民族の地位を恢復しようとするには、唯だ仁義道徳を基礎として各地の民族を連合すれば、アジア全体の民族が非常な勢力を有する様になることは自明の理であります…

…さて最後に、それならば我々は結局どんな問題を解決しようとして居るのかと言いますと、圧迫を受けて居る我がアジアの民族が、どうすれば欧州の強盛民族に対抗し得るかと言うことでありまして、簡単に言えば、被圧迫民族の為に共の不平等を撤廃しようとして居ることであります…

…我々の主張する不平等廃除の文化は、覇道に背叛する文化であり、又民衆の平等と解放とを求める文化であると言い得るのであります。貴方がた、日本民族は既に一面欧米の覇道の文化を取入れると共に、他面アジアの王道文化の本質をも持って居るのであります。今後日本が世界文化の前途に対し、西洋覇道の鷹犬となるか、或は東洋王道の干城となるか、それは日本国民の詳密な考慮と慎重な採択にかかるものであります…

戦後は、アジア主義は竹内好が継承したが、竹内の「日本のアジア主義」がアジア主義への入口としていい。学生時代に野口ゼミで読んだ。






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Last updated  March 5, 2008 09:35:51 PM
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