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カテゴリ:タブー
本山美彦「金融権力」(岩波新書)を読む。
経済学はもはや経世済民の学問でなくなっていると批判。生活者の生活を脅かす「金融権力」の化けの皮をあばく。 新自由主義政策の息の根をとめる理論武装のベースキャンプ登場を祝おう。 やはり、貴族の財産より庶民の生活だ。本書は、この点にブレがまったくない。 理論が妥当しない現実が間違ってるなんて、ね。常識的に言って、あくまでモデル=現実ではないと思うよ。モデリングの際に当てはまる現実を選ぶんだ。 もうしばらく、本山ワールドを楽しむことに。 以下、本山ゼミのページより引用です。 本山美彦の主な経歴 1943年神戸市生まれ。京都大学経済学部を卒業、京都大学大学院経済学研究科修士課程・博士課程に学ぶ。甲南大学助教授をへて京都大学助教授、教授。00~02年、京都大学大学院経済学研究科長兼学部長。日本国際経済学会会長、日本学術会議会員、国際経済労働研究所所長、京都大学学術出版会理事長などを歴任。06年度より福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授、08年度より大阪産業大学経済学部教授。最近の研究活動の基底にある関心を、詳しく知りたい方は、京大での最終講義(音声版)を参照して下さい。 ついでに本山の過去の研究についてもリンク(PDF)しておきましょう。 * * * 本山美彦「金融権力」(岩波新書)読了。 本山、クルーグマンをひいてフリードマンを酷評。フリードマンというのは、マネタリーベースとマネーサプライの違いさえ、使い分けていないとのこと。そして、本山、きっちりシカゴマーカンタイル(商品先物)市場をたたく。 本山は、ある箇所で、戦前の地主と小作人の関係になぞらえて、今日の金融システムを論じていた。金融資本というのは不在地主同様、庶民=小作人を奴隷化することで不労所得を享受する。手にした配当はビジネス=農産物生産に再投資するのではく、強欲に土地を買い漁るために使われる。「金融権力」とはそういう構造をいう。 なお、ドル危機はどうにもならん状態らしいのは、他の論者と同じ見立て。 石油通貨たるドル。だが、石油もセブンシスターズなんて過去の話で、エクソン・モービル以外、ベスト10には、もはや入ってない。WTIなどもはや信用ならん。石油といえば、ロシア、中国だという。まさかイラクみたいに破壊することはできないし、米国は、完全に首根っこを押さえられた状態だ。 EUの動向次第で、植民地経営みたいな消費三昧の他国の国富簒奪システムは急変する。南米の動きもそうだけど、ワシントンコンセンサスは終わった。米国封じ込めのフォーメーションは整った。小泉・竹中といった米国のエージェントに随いて行っていいのか、ほんまに思案のしどきだ。 また、地域通貨じゃないが、プルードンの人民銀行、グラミン銀行やイスラム金融といった「金融権力」を制御する知恵が示唆されているのもうれしい。返す返す思うんだけど、まったくありえない話なんだよ。ひとの働いて得た金で消費三昧なんてシステムは。そんなシステムが存在していていいはずがない。グラミン銀行やイスラム金融のベースにある思想に触れると人間の営みってなんて高邁なんだと感じ入る。なんなんだこの落差は…って感じ。 金融権力―グローバル経済とリスク・ビジネス 目次 プロローグ―「金融権力」という視点 第一章 サブプライムローン問題が示したもの―金融システムの危機― 1.サブプライムローン問題の衝撃度 2.一挙に拡大した金融危機 3.安易な貸付を促進させた背景 4.金融権力の威力―格付け会社と企業 第二章 金融の変質―「金融技術」の仕組み 1.ギャンブルの社会化 2.ヘッジファンドは「金持ちクラブ」 3.ヘッジファンドの収益源 4.不確実性と経済学―ケインズ、ヒックスの懐疑 第三章 リスク・テイキングの理論―シカゴ学派の論客たち 1.数学者と金融商品―クオンツ 2.リスクの移転―ブラック=ショールズ・モデル 3.ドルのアメリカ還流―円キャリー・トレード 4.企業の資金調達をめぐって―モディリアーニ=ミラー命題 第四章 新金融時代の設計者たち―ミルトン・フリードマンを中心に 1.通貨先物市場の創設―レオ・メラメッドの意図したこと 2.モンペルラン協会―反マルクス、反ケインズの潮流の中で 3.フリードマンの自由観 4.クルーグマンのフリードマン批判 5.「ノーベル経済学賞」の装われた中立性 第五章 リスク・ビジネスのはてに―脆弱な金融 1.過剰金融と債権の証券化 2.グローバルな危機の配当 3.短期化する金融 4.ドル神話の終わり―多極的通貨体制へ 第六章 金融権力に抗するために―新たな秩序への道筋 1.生産を軽視する金融 2.「地域」に向き合う思考 3.ESOPのすすめ―金融ゲームを終わらせるために あとがき 主要参考文献/巻末資料 索引 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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