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カテゴリ:闘魂
副島隆彦・植草一秀「売国者たちの末路」が秀逸だ。論点は多肢にわたるが、ここでは、すでに売国奴として評価の定まっている竹中平蔵氏を2人がどう見ているかを紹介しておく。講談社の月刊誌「現代」に、「竹中平蔵 仮面の野望」(佐々木実)という記事があったらしい。これを読むと、竹中平蔵の経歴等、正体が暴かれているのがわかるという。日本人は、竹中大臣によって、ひどい目にあわされたけれども、どんなひどい目にあわされたかは、本書を読めばよくわかるから、ぜひ多くの日本人に読んでもらいたいと思う。
(引用はじめ) 副島 …その前に、私がまず知りたいのは、竹中平蔵という経済学者は、大きな経済学の枠組みと実際の経済政策において、どのような立場にいるのかということです… 植草 …竹中氏はご存知のとおり、もともと日本開発銀行…の設備投資研究所にいましたから、主たる研究分野は「設備投資」です…彼には非常に嗅覚の発達したところがあって、「地位・名誉」と「お金」に対してはきわめて敏感だと思います…つまり、研究会という場で、「生産された経済学」を「ユーザー」として入手するのです。この面での竹中氏の能力は非常に高いと思います。しかも気の利いた、新しい経済学の理論を、5年前から知っていたかのように語る能力も高い。私が彼を「情報の流通業者」と理解する…ただし、ベースとなる部分が明確ではない。だから、常に言うことがころころ変わる… …要するに竹中氏は、そのとき裏側に誰がいるかによって発言が変わる。「この人が今いちばん旬だ」と思うと、その人物を選び、主張を借用する。ですから竹中氏の発言は、本当の自身の言葉ではないと思われるのです… 副島 要するに特定勢力の利益のための代弁者である。 植草 …竹中氏は、純粋理論、あるいは正義や公正などの普遍的価値に基づいて発言していないと思います。必ずスポンサーがいて、スポンサーの利益になる意見を発しているのではないでしょうか… …世界経済フォーラムの日本事務局を、財務官を勤めた内海…さんのご息女が務めていました。この事務局がダボス会議の日本の窓口になって、出席メンバーを選定します。竹中氏はこのような権限のあるところに近づき、確実に足場を築いていく。政治家にしてみれば、ダボス会議に出てスピーチをするのはメリットがあることです…したがって、この「出場権」付与権、ある種大きな利権です。こうしたものに対する嗅覚と行動力がずば抜けていると思う。本質的にこの意味での政治的能力が高いのだと思います… 副島 …外国勢力の中で、誰が竹中平蔵を育てたのかが重要になります。最初の親分はコロンビア大学のグレン・ハバードです。ジョージ・ブッシュ政権の経済政策をまとめていた財政学者…で、大統領経済諮問会議…の議長でした。しかしその手前にフレッド・バーステンという恐ろしい人物がいて、これはデイヴィッド・ロックフェラー直系の男です。彼がずっと目をつけていて、竹中平蔵を育てた。まさしくアメリカに資金を貢がせる係として竹中を抜擢したのです… 植草 …長富祐一郎次長という方でした…この方はかなりの実力者で、「研究情報基金」という大蔵次官用の天下り組織を外部につくったのです。一種の公益法人なのですが、その資金を金融機関に拠出させた。オフィスまで金融機関に提供させたほどです。当初は年会費が1社300万円で、30社で1億円の拠出金というところからスタートしました。1億円の資金が研究費に充てられるのですが、長富さんは1ヶ月おきに外遊された。1回につき2~3週間程度の日程でアメリカ、ヨーロッパを中心に回ります。もちろんアジアもオセアニアにも行っているのですが、とにかく1ヶ月おきに外遊の計画を立てる。その日程表をつくるのが、研究情報基金の仕事になっていたようなものです…外遊に行く際の全日程の朝、昼、晩、すべてに金融機関の割り振り表がついて、接待をする機関を大蔵省の研究所が定めていくのです…この外遊が海外人脈をつくるプロジェクトの中心になっていました。海外の研究者も基本的には資金不足に悩んでいます。そこで日本の役所、あるいは基金から研究費という名目で資金を提供する。この費用を出すことによって、彼らに大蔵省に都合のいい見解を発表してもらう―こうした組織づくりです。この外遊に頻繁に同行したのが竹中氏です。長富氏と一緒に海外を訪問し、そこでつくられたのが竹中人脈の源泉なのです… (引用おわり) 本書を読んで、財務省をなんとかしなければならないことがわかったし、メインストリームにいる官僚が国民に奉仕するのではなく、米国の方を見て仕事をしている感じもわかった。それから洗脳についても言及があって、誰だって普通に洗脳されるものなので、ほんとうに日本の将来を考えて、行動しているひとの言動なのかを注視する必要があり、だからこそ米国の邪魔になる植草氏は排除されたと改めて確信した。なお、今後の世界経済に対する副島氏の見立てと植草氏のそれが一致しているので、相当の覚悟をしなければならないとも思ったし、国富が米国に収奪される仕組みが温存されている限り、そして産業を支配する金融が米国と繋がる官僚に押えられている限り、メーカーに勤める自分の仕事も大きな不利益を被ることがわかった。いろいろな意味で勉強させてもらった。最後に、本書を上梓した2人の生きざまに感じ入るところがあった。ありがとございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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