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カテゴリ:闘魂
●本山美彦のブログが非常に勉強になる。野崎日記(279) オバマ現象の解剖(24) 金融権力(1)という連載がそれ。いま寺島実郎の「世界を知る力」(PHP新書)を読んでいるが、いよいよメディアの本流も変化しはじめた印象を持った。ただし、米国のドル還流(帝国循環)や石油通貨ドル防衛(イラク戦争)といった踏み込んだ記述がないのはやはり物足りない。その点、本山先生の次の記事はどうだろう。陰謀論者とはさすがに違う論証の的確さは知的興奮を与えるに十分だ。
(貼り付け開始) 〇九年五月一六日、米国のモンタナ(Montana)州議会でドル以外の通貨発行を求める法案が提出された。FRBが発行する紙幣を唯一の通貨とせず、金・銀地金を基礎とする新通貨を発行しようというのである。モンタナ州だけではない。同様の法案が、インディアナ(Indiana)、コロラド(Colorado)、ミズーリ(Missouri)、ジョージア(Georgia)、メリーランド(Maryland)など、米国の各州で提起されている("State considers return to gold, silver dollars: Proposed bill slams Fed, allows payments in precious metals," http://www.worldnetdaily.com/index.php?fa=PAGE.view&pageId=92000)。これは大変なことである。FRBへの反感が全米に広がっていることの証左だからである。そして、建国当初のリパブリカン(Republican)の復活を予兆させるものだからである。リパブリカンは東部の金融権力(Financial Power)への強い警戒感を持つグループであった。 ●こんな話はメディアからは伝わらない。それが現実だ。 米国の借金は、政府、自治体、民間を合わせてGDPの八倍もある。〇九年の米国財政赤字は、一兆四〇〇〇億ドルを超えた。GDPの八%強、さらに二〇一〇年には一兆七五〇〇億ドル、GDPの一二%にもなるだろうと予測されている。金融危機でFRBはドル供給を増やし続けている。かつての大恐慌時代にFRBは一九二九年から一九三三年までにドル供給を二〇%増やしたが、一九三四年には一〇%のインフレーションを起こした("Beyond the dollar," http://www.atimes.com/atimes/Global_Economy/KD01Dj02.html)。「今、金融危機対策として連銀が年率一七%増という膨大なドル増刷を続け、急増する連邦政府の米国債(財政赤字)の売れ残りを連銀が買い支える危険な事態の中で、モンタナなどの州議会の金貨導入法案は、せめてもの危機回避策」である(田中宇「連銀という名のバブル」、http://tanakanews.com/090519FRB.htm)。 ●田中宇氏はメディアで働く旧友も信頼を置いてた。 三兆ドルもの救済資金がウォール街に注がれた。これは確実にハイパー・インフレーションを呼び込むものである。中央銀行がインフレーションを引き起こす元凶である。このような批判が米国で噴出するようになった。FRBこそが、議会の監査を定期的に受けるべきだとの説も説得力を持ちはじめた。 「議会が、Fedと選挙を経ない官僚の行動を監査することに失敗すれば、この国の経済を破壊し、炎上させるものとして非難されるべきである」(Paul, Ron, "Fed Up: Audit the Federal Reserve," http://www.forbes.com/2009/05/15/audit-the-fed-opinions-contributors-ron-paul.html)。 ●引用元がロン・ポール上院議員になっている。貴重な人材である。 元FRB議長(Former Federal Reserve Chairman、一九七九~一九八七年)で、オバマ(Barack Obama)が創設した経済再生会議(Economic Recovery Advisory Board)委員長のポール・ボルカー(Paul Volcker)ですら、史上最悪の金融危機の一つである現行の苦境に対処するためには、FRBの監査が必要であると語った。バランス・シートを二兆一九〇〇億ドルと倍増させたFRBだが、これは、財務省の行動と並んで、「政治体制に耐えられない負担を強いている」と、テネシー州ナッシュビル(Nashville, Tennessee)にあるバンダービルド大学(Vanderbilt University)での〇九年四月二一日のコンファレンスで語った("Volcker Says Fed's Authority Probably to Be Reviewed," http://benaiah.newsvine.com/_news/2009/04/21/2711916-volcker-says-feds-authority-probably-to-be-reviewed-update1-)。 ●あと一週間でバンクーバーも終わるが、それが終わるとひと波乱あるとの見立てもある。ただし、持ち直して、上海万博はうまくいくらしい。 ボルカーは、さらに、〇九年四月二三日に語った。三兆ドルもの金融機関救済資金投与にもかかわらず、市場は機能を回復していない。市場のなんらかの規制が必要になるが、大恐慌時代(the Great Depression era)の産物である、一九三四年のグラス・スティーガル法(the 1934 Glass- Steagall Act)の復活まではいかなくても、少なくとも、一九九九年のグラム・リーチ・ブライリー法(the 1999 Gramm-Leach-Bliley Act)の書き直しは必要となるとボルカーは語った。ヘッジファンド(hedge funds)やエクイティ・ファンド(equity funds)への銀行融資は禁じられるべきである。銀行は巨大化すべきではないと語った(Benjamin, Matthew, "Volcker Says U.S., World in a ‘Great Recession', " http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=ainh3qdHJuoM&refer=home). 金融界に対する強い反感は、米国民が伝統的に持っていたものである。以下、金融権力をめぐる米国の論争史を振り返りたい。 ●ぜひ出版してほしいものだ。米国の産業はITと金融だけになったとの主張もある。確かに、ウォールストリートとの格差はひどいけれども、ネットで見られるユダ金という表現は穏当でない。ユダヤに対する理解は寺島氏の本が勉強になった。ユダヤ一般に対する偏見はいけない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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