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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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カテゴリ:闘魂
●東洋経済新報社からビル・トッテン氏が書籍を出した。「アングロサクソン資本主義の正体」がそれ。副題に「「100%マネー」で日本経済は復活する」とある。ビル・トッテン氏は、1941年カリフォルニア州生まれ、日本でビジネスを展開する経営者であり、1969年に南カリフォルニア大学で経済学の博士号を取得している。

著者は、本書で、100%マネーを主張する。100%マネーとは聞きなれない言葉だが、要するに、金融機関の信用創造を禁止する、という主張だ。予想される反論に対して、再反論を用意しており、読み物としての面白さはともかく、カジノ資本主義を制御するための、政策提言のひとつとして知っておいてもいい。

(引用はじめ)

…ここまで私は、「100%マネー」の導入、トービン税の導入、日銀の国有化と窓口指導の復活、そして最後の「雇用者は政府」など、金融規制強化・セーフティーネット強化の提案を述べてきた。

一連の規制緩和が金融海賊の活動の場を広げ、それが度重なるバブルの発生と崩壊、そして金融恐慌を招いてきたことは間違いない

(引用終わり)

●トービン税は、アーカイブを見てもらいたい。日銀の窓口指導の復活は、現実的で面白いと思った。日銀の45%の株主が誰なのか、著者と同様、明らかにすべきだと思う。日銀の国有化はともかく、日銀の政策決定に、生活者としての労働者代表が参加していないのは問題だ。なお、完全雇用の達成は政府の目標であって、民間企業の責任ではないというのは、著者が経営者であることから来る切実な思いがあるのだろう。

(引用はじめ)

民間銀行が国民や社会の幸福に貢献する企業に資金を回しているなら、この金融システムもそれなりの価値を発揮する。実際、1980年代までの日本では、日銀の厳しい窓口指導によって成長産業に集中的に資金が投下された。その結果、日本は高度経済成長を遂げ、焼け跡から奇跡の復興を実現し、国民生活が向上していったのである。

しかし、90年代に入ると、欧米の激しい規制緩和、市場開放要求に屈し、日本は次々に政府のコントロールを手放していく。かつては社員や国民生活を第一に考えていた日本企業も利益優先、株主重視となり、金融機関の目的は儲けることが最優先となってしまった。国民生活に寄与する産業への資源配分より、手っ取り早く利益をあげられる不動産などへの融資が重視され、自らもマネーゲームに参加するようになった。投機マネーは膨れ上がり、巨大なバブルを発生させたのである。それは経済のカジノ化に他ならない


(引用おわり)

●グラス・スチーガル法の撤廃の帰結を考える。欧米のやり方が幕末と同じように荒っぽいものであり、毎度毎度のパターンであるとうんざりもする。ラリー・ハニガンを参照すべきと著者はいう。すなわち、信用創造、そして、利子といった、バンカーたちが作り上げたシステムに内在する問題点を強く意識している。陰謀論ではなく、バンキングというビジネスモデルを著者なりに咀嚼している。本書は、それを克服する提言書である。

(引用はじめ)
…多くの人々は気づいていないが、石油資源の減耗はカジノ経済を誘発した一因である。石油産出国だったアメリカは1970年代にピークオイルを迎えた。石油産出量がピークとなり、それを境として産出量は減少の一途をたどっているのである。

化石燃料生産が地質学的な限界に近づくと、エネルギー価格は高騰する。その結果、コスト増となり、生産的な経済活動の利益が低くなる。そのため投資家たちは、生産的な経済活動を支える設備投資に資金を投じるよりも、金融商品に投資して利益を得ようとするようになった。モノを生産して販売し、そこから利益を得るのではなく、お金を右から左へ動かすことによって利益を得る。それは、まさしく経済がカジノ場になったに等しい。カジノ経済は瞬く間に実体経済よりも大きく膨張してバブルとなり、それがはじめたときに実体経済に大きな悪影響を及ぼすようになっていった。

経済がおかしくなる理由は単純である。資本投資が個人の利益を追求する投資家によって行われているからだ。だからこそ、自由市場経済を標榜し、それを他国に押しつけてきたアメリカの経済が一番おかしくなっているのであり、逆に中国のように政治や国家戦略を重視して投資が行われている国のほうがカジノ経済による悪影響をあまり受けていない。

日本経済がおかしくなっているのは、まさにカジノ経済が実体経済を飲み込んでいるからだ。カジノ経済推進の主体は欧米の金融海賊たちだが、日本経済が今日のような状況を迎えているのは日本自身の責任である。自民党・小泉政権の「構造改革」に象徴されるように、90年代以降の歴代政権はアメリカの意向に沿って市場開放を進め、金融緩和を推進し、グローバリズムを積極的に受け入れてきた。アメリカに追随した政策をとりつづけたことで日本がどうなったかは、現在の失業率や貧富の格差を見れば明らかだろう。

日本はアメリカにならって個人の利益追求を尊重した経済になってしまった。そのような経済では、安定した社会にはなりえないのだ。現在の世界経済の主流となっている自由主義経済においては、各個人が利益追求を行う結果として「神の見えざる手」によって社会の利益が達成されるとされているが、現実を見てみれば、大部分の国民は困窮を余儀なくされているのである。

では、カジノ経済がどれくらい実体経済を蝕んでいるか、その状況を見ていくことにしよう…

(引用おわり)

●みんなの党は新自由主義の党である。民主党内にも新自由主義論者がいる。カジノ経済に疑問をもっている人間は多いにもかかわらず、メディアは大本営発表を繰り返す。銀行の本質とあるべき姿については、この著者のいうとおりだと思う。そして、欧米の圧力に負けたのは、日本の責任だという。多くは語らないが、売国奴の好き勝手を許してきた責任は、われわれの責任だというのだ。

「宙船」でも聴きたい気分である。






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Last updated  August 16, 2010 01:31:16 PM
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