日本の経済
本題に入る前に…。昔々、内山田洋とクール・ファイブが「そして神戸」という演歌をヒットさせた。いま「そして安倍」という替え歌が流行っているらしい。歌うのは「浪花の歌う巨人」趙博(チョウ・パク)。「きっこの日記」によれば、リンクフリーであるとのこと。http://www.fanto.org/music/abe.mp3(「そして安倍」(要メディアプレイヤー))さて本題。伊藤修「日本の経済」(中公新書)も歴史の部分は読み終えて、いよいよ論点編に入っていく。ちょっとぺらぺらとめくると日本は十分「小さな政府」で、分野によっては小さすぎる政府だ、また、国民負担も国際的には少ない水準だとかなんとか、気になることがちらっと見えたりもする。歴史の部分では、バブル以降の記述が圧巻だった。バブルは、1920年代に経験していて、そのときもバブルの後遺症で、大きな不況に見舞われたということだ。こんな基本的な事実さえ押さえていない身としては、政府・日銀のバブルへの対応が「TOO LATE, TOO HARD」だった、つまり、失政だったというのはショックだった。そして、それに続く、「失われた15年」が前半と後半に分け得て、前半はともかく、1997年以降の後半がこれまた失政が原因となったというのも看過しがたい指摘だった。おかげで、企業はなりふりかまわずリストラに走るわ、現場をつぶさに見てきた身としては、気持ちが入って思わず集中してしまった。歴史の部分を読んだ時点で、この本はもう一度読む値打ちがあるような気がした。自分が会社員として潜り抜けてきた時代がどのような時代だったのかを振り返るのは意味があると思えたからだ。論点編に入ってまだ少しだが、いきなり気になりはじめたのは「貯蓄率」!かつて15%はあった貯蓄率がいまや2%台に落ちていて、もはや貯蓄率が高い国だとはいえなくなっている現実。うすうす感じてはいたが、2%台という数字を知ってめまいがした。貯蓄率が減るとどうなるんだろうか、よくはわからないが、長期的には、円安、インフレ、高金利だというひともいるようだ。高金利!!いずれにせよ、この本は「買い」だ。