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テーマ:今も心に残っている歌(675)
カテゴリ:高校時代の想い
別に雨の季節だからこれを選んだわけじゃないけど……
高校時代の私は 幼なじみとの地元での音楽活動のほかに 学校では演劇部員として芝居に燃えていました。 音楽にのめっていく一方で 芝居の良さも捨てられなかった……。 高校1年の夏。 私達は秋の学校祭で上演する舞台の準備に追われていました。 演目は別役実作「スパイものがたり」。 先輩に渡された台本を開いて驚きました。 最後にいくつもの譜面がついている。 そう……この作品はミュージカルだったのです。 そしてその譜面を見た私は それこそ「あっ」と声を上げてしまいました。 雨が空から降れば オモイデは地面にしみこむ 雨がシトシト降れば オモイデはシトシトにじむ (詞・別役実 曲・小室等) 日本フォークソング史に残るこの名曲の譜面が 確かにそこに書かれていたのです。 これがミュージカルの劇中歌だったことを 私はその時初めて知ったのでした。 黒いコーモリ傘をさして 街を歩けば あの街は雨の中 この街も雨の中 電信柱もポストも フルサトも雨の中 単体の歌詞としても見事に成り立っているのだけど 実はコーモリ傘も電信柱もポストも 芝居の中で重要な要素なのだ。 公園のベンチでひとり おさかなをつれば おさかなもまた 雨の中 という歌詞もあるけど、 まさにこの歌は主人公の「スパイ」が ベンチでひとりおさかなをつっているシーンで 歌われるものなんだな。 いや……当時はとにかくびっくりしました。 考えてみれば 以前掲載した「サンライズ・サンセット」をはじめ ミュージカルから生まれ 単体の歌として その芝居と離れたところでも愛され続ける歌は 古今東西たくさんあるけど、 まさかこの歌がそういう歌だとは……。 というわけでこの曲は70年代 (私自身はそれより少し遅い世代だけどね) 演劇にかかわる人にとっても 音楽にかかわる人にとっても ある意味歴史的な意味を持つ作品だと思います。 わが演劇部の素人的な上演はともかくとして この作品は70年代初頭に初演されたあと プロの世界では永らくお蔵入りしていたのですが、 8年前の1997年 突然青山円形劇場で再演が決まります。 あまりの懐かしさに だんなと二人で舞台に足を運びました。 主な配役も 演奏も ほとんど初演時を再現したそうで スパイ役は「まんが日本昔ばなし」で有名な 常田富士男さんが演じました。 初演を知らない私達が独自の解釈で作った 若くて荒削りだった舞台とは全然違う作風に とにかく驚きました。 芝居自体への感情移入と同時に これを演じるための舞台げいこの 楽しかったり つらかったりしたそれこそ「オモイデ」が 一気によみがえり 半ば涙をこらえながら 舞台に流れるこの曲に聞き入ったのを憶えています。 さきほど投稿した「招待状」は 夏休みにこの芝居の上演のために行った合宿の時に 作りました。 よくそんなことやってるヒマあったな……(-"-;) 私にとっては青春の1ページと切っても切り離せない曲です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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