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テーマ:今も心に残っている歌(675)
カテゴリ:高校時代の想い
きのうの話をもう少しだけ続けさせて下さい。
高校時代 演劇部員だった私は1年生の夏 秋の学校祭で演じる「スパイものがたり」の稽古のため 那須高原に合宿に出かけました。 演劇部というと文化部のようですが、 合宿の内実は まるで体育会系。 朝はマラソンで始まります。 役者の端くれなのに体力はからきしなかった私は 他の仲間についていくのが精一杯でした。 そして おいしい空気をいっぱい吸っての発声練習 室内での舞台稽古と続きます。 私はこの時点ですでに 自分が役者として全く能力がないことが いやというほど身に染みて分かっていました。 同級生も 先輩も上手過ぎる。 中学時代にどろぼうの役で主役を張ったこともある私だけど 女役はまるでだめ。 何をどう演じても「女」になれない自分…… しかし、この芝居はミュージカルだったのだ。 私にとってのアドバンテージは 「ギターが弾けること」 それしかなかった。 稽古がすべて終わった夜に 私はおもむろにギターを抱え 「歌いながらの芝居」に苦労する仲間の役者さん達と ひたすら歌の稽古の相手を続けたのでした。 やがて 稽古なんだかただのおしゃべりなんだか わからなくなってきた真夜中。 「外に出てみようよ」 誰かの一言で私たちは そっと合宿所の外に出てみました。 満天の星でした! 「星の隙間に夜空が見える」という感じでした。 芝居で太刀打ちできない私の劣等感も 歌がうまく歌えない 友達の悔しさも 何もかもを毛布のように優しく包み込んでくれそうな 銀河がそこに横たわっていました。 あれほどの夜空をそれから後も 私は見たことがありません。 見上げてごらん夜の星を ボクらのように名もない星が ささやかな幸せを祈ってる (詞・永六輔 曲・いずみたく) 今は亡き坂本九さんの1960年代の名曲。 九ちゃんではなく平井堅バージョンで紹介するのは 彼の「Ken's Bar」というアルバムの中で この曲がカバーされているのですが その中で 九ちゃんとの疑似デュエットが実現しているから。 いわば「一粒で二度おいしい」曲になっているからです。 2、3年前の紅白歌合戦で この「疑似デュエット」をステージ上でうまく再現してたので 憶えている方もいるかもしれませんね。 亡くなった人とのデュエットも可能にするのだから 録音技術とはすごいものだと思いますが きれいに音を重ねるにはきっと 相当の苦労があったでしょう。 平井さんとスタッフの この曲への思い入れを感じます。 どんなに見上げてもこの東京じゃ あんなに美しい夜空には出逢えないけれど つらいと思ったときには あの那須高原の星空を思い出したい。 九ちゃんも今は あの無数の美しい星たちの中で 今度は「見上げられる存在」になって この歌を空から聴かせてくれているかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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