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テーマ:今も心に残っている歌(675)
カテゴリ:社会人としての想い
ここ数日、仕事の波が途切れた時に
思い出してしまって困る光景があります。 この秋 地方に転勤していった先輩の送別会です。 とても優秀だったけど 同時に 死ぬほど厳しい先輩でもありました。 私だけでなく仲間の誰にでも厳しくて どんなプランを上げても 片っ端から蹴ってしまうし どれだけ真面目に仕事を仕上げても ダメ出し以外の言葉をほとんど覚えてない。 人格攻撃されてるのかと思ったこともあり 日々腹が立つか くさるか へこむかを ひたすら繰り返していました。 そんな先輩だったから 転勤の報を聞いたときは 部内に 惜しむ声と同じくらいに どことなくほっとした空気が流れた気がします。 そんな先輩の送別会。 1次会は何事もなく過ぎ 2次会になって和やかに盛り上がり いよいよお開きという時に 「最後だから、お前、歌えや」 と部長に勧められ カラオケのマイクを握った先輩は 歌い終わった途端 そのエコーがびんびんかかったままのマイクで いきなり私の名前を呼んだのでした。 はい? 「ちゃんと人の歌聞いてろっ!」 なんて おどけて言われるのかなと思い 何げに顔を上げると 「ありがとう!」 …… 自分の中で一瞬 時間が止まってしまいました。 先輩の口から聞くとは まったく想像もできなかった言葉……。 それはまるで 最後の最後に飛び出した 逆転満塁サヨナラホームランのようでした。 私は 先輩の力になっていたんだ? 足手まといではなかったんだ? 彼はたった一言で それまで私を苦しめてきた数々の言葉を すべて吹っ飛ばしてしまったのでした。 人に喜ばれるということが これほどまでに感動できるものだったなんて。 振り返れば 今の私が 半年の苦行を経て 少しは成長できたかと思えるのも 先輩にさんざんしばかれてきたからこそだった。 動揺して言葉を失い お礼の気持ちを十分に伝えることもできなかった。 そんなこちらの思いを知ってか知らずか 先輩はその一言だけを残し さっさと転勤先に消えていってしまったのです。 古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ (詞・森山良子 曲・BEGIN) 作詞の森山さんが 亡くなったお兄さんをうたった歌に 自分の思いを重ねるのは少し違うのかもしれないけど だいたい まだあれから1週間にしかならないのだけど あの恐ろしい(?)声が職場から聞こえなくなり 何ともいえない空洞が自分の中にできた気がします。 あれだけ私たちのことをしばきあげながら 本当はずっと 応援してくれていたんだ。 励ましてくれていたんだ。 今になってやっと 素直にそう思えるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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