時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)
全2981件 (2981件中 1101-1150件目)
< 1 ... 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 ... 60 >
ビジネスキャリア検定(経営情報システム(情報化企画)(2級))の受験申し込みをした。例の事業仕分けの関係で、受験料が値上げになったのは、ちょっと痛い。 記事本文は、「文理両道」に掲載○取得済みのビジネスキャリア検定(「文理両道」掲載記事)・経営戦略2級・経営情報システム3級○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 30, 2010
コメント(0)
駆け出し魔法使いのニータとキットが活躍するシリーズ第4弾となる「駆け出し魔法使いとケルトの黄昏」(ダイアン・デュエイン/田村美佐子:東京創元社)。今度の舞台は古き神々の伝説の残る地、アイルランドである。ケルト神話を下敷きとしたストーリーはファンタジックで楽しめる。 レビューは、「本の宇宙」に掲載○「駆け出し魔法使い」シリーズ ○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 29, 2010
子供の弁当のおかずに頭を悩ますお母さんから弁当男子までお勧め、美味しそうな弁当のおかずにぴったりのレシピが満載。もちろん、普通のご飯のおかずにもいい。著者のよりのまさみさんの運営する「弁当ブログ」の記事を集大成したものだそうだ。 レビューは、「本の宇宙」に掲載○全国の弁当色々 ○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 28, 2010
あまりにも有名な、人間の善悪の二面性を描いた、もう古典といっていいような作品である。初めて読んだが、思っていたのとはだいぶ違い、ハイド氏は、あきれた小悪党だった。 レビューは、「本の宇宙」に掲載○こちらはDVD○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 27, 2010
先般受験した「消費者力検定」受験のため購入した「消費者力検定ワークブック 2010」((財)日本消費者協会 消費者検定委員会編:財団法人日本消費者協会)。 レビュー全文は「本の宇宙」に掲載 受験の記事は「文理両道」に掲載○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 26, 2010
今学期の放送大学の放送授業2科目のうち、1科目はこの前出したが、残っていた「現代物理」についても、投函してきた。これで、とりあえず一段落というところだ。 記事本文は、「文理両道」に掲載。 ○面白かったらポチっと1票! ○「現代物理学」関係の参考書 ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 25, 2010
コメント(2)
白鳥のひなと火の鳥価格:1,029円(税込、送料別) 「幻想の歌い手」、パトリシア・A・マキリップによる「白鳥のひな」シリーズの完結編。極めて象徴的な文体が、読者の想像力を刺激する。 レビュー本文は、「本の宇宙」に掲載○こちらは第1部女魔法使いと白鳥のひな価格:1,155円(税込、送料別)○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 24, 2010
「はみだしちゃった魔女 (魔法の森3)」(パトリシア・C・リーデ / 田中 亜希子:東京創元社)。 魔法の森の王のもとから盗まれた、「魔法の剣」を求めて、ちっとも魔女らしくない魔女、モーウェンが大活躍。挿入されているイラストもなかなか魅力的だ。 レビュー本文は、「本の宇宙」に掲載○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 23, 2010
懸案だった手塚と柴崎の件も片付き、まさにシリーズの本当の締めくくりに相応しいような内容だったが、これで、堂上と郁の夫婦漫才のような話がもう読めないと思うと、少し残念だ。 レビュー全文は「本の宇宙」に掲載○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」○関連過去記事・別冊図書館戦争1
November 22, 2010
昨日、今日は、放送大学の面接授業だった。受講科目は「沿岸海域環境の保全と再生」。里山ならぬ里海の大切さについてを学んだ。 記事は、「文理両道」に掲載。 ところで、3年10カ月とブログをやってきたが、ここらで少し運用を変えようと思う。具体的には、「文理両道」は学びと発信の専門ブログ、「本の宇宙」は本のレビューの専門ブログという位置付けは変わらないが、この「時空の流離人」は、姉妹三ブログの本館としての位置付けをより明確化していこうということである。 これまでは、本のレビューは、過渡的に「本の宇宙」と同時掲載していたが、今後は原則として、「本の宇宙」だけに掲載し、こちらには、掲載の案内を載せようと思う。また「文理両道」は、他のブログから孤立していたような感じだったが、これも掲載の案内を載せたいと思う。○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 21, 2010
19日の金曜プレステージで放映されていた、渡瀬恒彦主演の「湯布院殺人事件」。内田康夫の同名小説を原作とする旅情サスペンスである。内田康夫の作品に登場する名探偵と言えば、浅見光彦があまりにも有名であるが、作品数は少ないものの、他にも幾人かの名探偵が存在している。 この「湯布院殺人事件」に出てくる和泉直人もその中の一人であり、元大学教授であり、犯罪者プロファイリングの専門家という設定だ。なかなか正義感の強い人物で、大学を辞めたのも、務めていた大学が不正に関わっていた疑惑が出て来たからである。 友人から退職のプレゼントとして贈られた湯布院旅行に妻の麻子と出かけた和泉は、男の子を湯布院の高梨家まで送ることになってしまう。湯布院では、高梨家の当主の弟が地元の相羽代議士と組んで進めている生涯教育センターで、相羽の秘書が首つり自殺をした事件が起きたばかりであり、今度は高梨家に関係する人物が次々に謎の死を遂げていく。 和泉が、いきなり犯人扱いされて警察に連行されるが、その素性を分かると掌を返したようになるというのは、浅見光彦シリーズと同じテイストであり、ちょっとワンパターンかなと思いながらも、内田作品のファンには、まるで水戸黄門の印籠のような安心感を与える。 悲劇の原因は、結局は「滅私奉公」ということ。高梨家の当主は人格者のようで、それに対して忠義を捧げたことが悲劇を呼んだ。確かにドラマでは、使用人に対しても思いやりのある優しい人物に描かれていた。しかし、事の原因は、詰まる所、自分の長男の結婚に反対して勘当したことだ。どうして、自分の息子には、思いやりが足らなかったのかは不思議である。湯布院の美しい風景の中で起こった、滅私奉公の悲劇は哀しい。 ところで、この高梨家、怪しげな女祈祷師がいつもいて、かなり大きな顔をしていたが、いくら旧家でも、いまどきこれはないだろう。(原作 )・内田康夫:「湯布院殺人事件」(出演)・渡瀬恒彦(和泉直人)・名取裕子(和泉麻子) ほか○関連過去記事・湯布院殺人事件○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
日本で初めての理学を学べる私立学校として、1881年(明治14)に「東京物理学講習所」が設立された。この学校は、やがて、「東京物理学校」へと発展する。今の「東京理科大学」だ。「物理学校 近代史のなかの理科学生」は、(馬場錬成:中央公論新社)はこの物理学校が、様々な試練を経験しながらも、関係者の努力によってどのように、日本の理科教育の中で重要な位置を占めていくようになるかを描いたノンフィクションである。 「東京物理学講習所」は、<理学の普及こそ国運の発展の基礎である。>という高い理想に燃えて、東京大学仏語物理学科に学んだ3期21名の同士によって始められた。ここで、学科名にわざわざ「仏語」というのが付くのは、当時は物理学はまだ外国語でしか学べなかったからだ。この学科は、大学の学制が整備される過程で、これまでフランス語で学んできた学生のために3年間の期限付きで設けられたものであり、それゆえに同士たちの結束は強かったようだ。 この学校の大きな特徴は、教師を同士たちが自ら務め、学校の運営も自らの力で行っていったことである。当初の同士の内中退の2名を除いては全員が理学士である。今のように石を投げれば学士様に当たるような時代ではない。この時代の学士というのは、超エリートであり、やがては社会の中枢を担うことが約束されているのだ。彼らは昼間はそれぞれ、本業の仕事を持っており、夜間に物理学校の教壇に立っていた。生徒たちからは、僅かな授業料をとっていたが、それは教室の借用料などに消えてしまう。教師たちは、ボランティアどころが、かなりの持ち出しをしながら、学校を運営していたのだ。もちろん、超エリートたちである。20代で東大教授になっている者もおり、彼らの大部分は、教育界での要職についていく。しかし、どのような要職に就こうとも、彼らの情熱は変わらなかった。財政の基盤を固めるため「維持同名」をつくり、「東京物理学校」になった際に、諸般の事情から同士は16名となったものの、途中で消息不明となった1名を除き、彼らは生涯物理学校を支え続けたのである。 物理学校は、誰でもはいれるが、卒業するのが非常に難しいので有名だった。本書中に明治18年から44年までの入学者数と卒業者数を示す表が掲載されているが、驚くことに、卒業率が10%を超えたのはそのうちの2年だけだ。卒業率僅か数%という年も珍しくない。それゆえ社会的な評価は高かった。物理学校はやがて財団法人化して、専門学校となるのだが、それまでは各種学校にすぎなかった。それにもかかわらず、卒業者には、東北帝大に入る際の特典など異例の厚遇が与えられている。ここを巣立った多くの人材たちは、我が国の理学教育の基礎を作ったと言っても過言ではないだろう。余談ではあるが、夏目漱石の「坊っちゃん」も物理学校卒業という設定である。 我が国は、科学技術立国を目指していながらその実態を見ると悲惨な状況にあると言えよう。最近になって、スーパーサイエンススクールというようなものを作り始めたが、理科離れは進んでおり、書店には理工学関係の専門書がだんだんと陳列されなくなっていく。実はこの原因は、明治時代にさかのぼれそうである。物理学校を作った同士の一人中村恭平が物理学校の中心人物であった寺尾寿にこう言っている。 「君のごとき人物は、法学を志し政治家になって天下国家の経営をしたら、一層、国家社会に貢献して名誉も博せられただろうに、君は惜しいことをした。」 官界では、当初から、法学を学んだものが優遇され、理工学を学んだ者は冷遇されてきた。そして、それは、一般の会社にも影響を及ぼしている。そのような先人の背中を見ていれば、理科離れも当然のことである。「理系白書」などでも指摘されている通り、これは、現在に至るまで我が国に悪影響を与えているのではないだろうか。 それにもかかわらず、理想に燃えて、「東京物理学講習所」を設立した21人の志。もし、これがなかったら、日本の科学技術の現在はいまのように発展していたのだろうか。○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 20, 2010
コメント(6)
魔女伝説の伝わる六軒島を舞台に何度も繰り返される惨劇を描いた「うみねこのなく頃に Episode2 Turn of the golden witch」」(鈴木次郎/竜騎士07 :スクウェア・エニックス)の第4巻。うみねこのなく頃にEpisode2(4)価格:600円(税込、送料別) 前巻での惨劇に、楼座おばさんは、完全に疑心暗鬼。鉄砲を振り回して、目つきが危ない。しかし、不気味な惨劇は続く。 これらの事件は、結局 舞台となる六軒島とは別の次元で繰り広げられているベアトリーチェと戦士(ばとら)とのゲームな訳だが。今回は、ベアトリーチェが絶好調。真実のみ述べると言う赤の言葉を多用して、戦士を追い詰める。ベアトリーチェの顔がすごい。美人台無しである。一方戦士の方は絶不調、ベアトリーチェに、とうとう「そなたは無能だ」と赤で言われてしまった。おまけに、裸になって靴を舐めろとまで言われている。ベアトリーチェ、いったい、戦士を裸にして、何をするつもりだろう(笑)。○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」○関連過去記事・うみねこのなく頃に Episode2 (3) Turn of the golden witch
November 19, 2010
先般、「消費者力検定試験」を受験したRCC文化センターの側を流れる太田川分流の一つ京橋川の風景。秋も深まり、川べりの木々の葉もすっかり色づいている。 そして、こちらは、RCC文化センターの窓から見た京橋川。見える橋は、川の名前尾由来ともなった「京橋」である。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・相生橋(広島市を歩く77)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 18, 2010
虚軸(キャスト)と呼ばれる、人を超えた力を持ったものたちの戦いを描いた、藤原祐の「レジンキャストミルク」の番外編「れじみる。」(メディアワークス)。 これは、面白い。全編笑いの連続。本編の方も、コミカルな会話は多いが、凄惨な戦いの場面も多いので、ずっと笑ってはいられない。そんな場面で笑っているところを人に見られでもしたら、危ない人だと思われてしまう。でもこちらは番外編ということで、まさにコメディ一色。笑える、笑える。 虚軸(キャスト)の特徴として、人として何かが欠けてるということがある。そのため、このシリーズは、変な人たちがが多く登場しているが、戦いといういわば非定常なの場面がなく、日常でのエピソードが描かれているため、その変さが良く目立ち、まさに城島晶君と愉快な仲間達といった感じである。 まずは、主人公の相棒である城島硝子。見かけは美少女だが、本体は異次元にある機械であると言う設定のため、感情が無いということになっている。本人も口癖のようにそう言っているが、マスターである晶の反応に舌打ちしたり、ボケぶりやツッコミの的確さを見ていると、とても感情が無いとは思えないし、マスターである晶が大好きだというようなところも垣間見れる。晶と二人の会話は何とも面白い。 面白いのは、硝子の同級生の舞鶴蜜という少女。虚軸になった時に、自分の感情を敵意でしか表されなくなったため、二言目には、「殺すわよ」と、言動は超過激だ。しかし、心根は優しく、蜜が虚軸になったために自分のことを忘れてしまったただ一人の友人(ちょっと訳あり)の事が心配で心配でしかたがない。この蜜と硝子のお弁当対決がすさまじい。蜜が料理をしている姿を覗き見た義母(蜜の性格から、あまりうまくいっていないようだ)が、そのすさまじさから、てっきり黒魔術のまじないをしていると思ったほどだ。あまりの状況に、混乱した義母は、きっと女の子らしく恋のまじないだと自分に言い聞かせて、「がんばってね」と心の中で応援したという場面は爆笑だ。もちろんお弁当対決の結果は皆さんの想像通り。こちらもかなり笑える。 変人ぞろいの晶の仲間でも極めつけの変人は、保険の先生の佐伯ネア。何しろ、すぐに、血だの内臓だのと物騒な電波的で超ネガティブな言動が出てくる。しかし、実は血が大の苦手であり、案外と生徒思いでもあるようだ。 でも、ちょっとしんみりするエピソードもある。柿原里緒の夏祭りでの体験だ。里緒は、虚軸になった際に、虚軸以外の普通の人間は区別がつかなくなっている。その里緒が迷子の男の子になつかれた。別れの際、自分はその子が見分けられないからもう会えないと思う里緒に、男の子は、自分が顔を覚えたからまた会えると言う。人間関係は一方通行ではないということだ。 本編の方も面白いが、ちょっと重いところもあるので、気分転換にこの番外編を読んでみるのもいいだろう。表紙イラストで硝子の周りに登場人物たちが二頭身キャラで描かれているが、まさにこのキャラが、頭の中で走り回ると言う感じだ。○関連過去記事・レジンキャストミルク・レジンキャストミルク2○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 17, 2010
ホラーとミステリーの融合を目指す三津田信三のデビュー作「忌館 ホラー作家の棲む家」(講談社)。元々は、副題の「ホラー作家の棲む家」という題名で発表されたようだが、文庫化の際に「忌館」と改題されたとのことだ。 ストーリーは、作者自身が主人公を務める話と、その主人公が「迷宮草子」という同人誌に書いた「忌む家」という題名の作中作が交互に繰り返す形で進んでいく。その作中作は、主人公が東京に越してきた際に、何かを感じて、借りて住むようになった洋館からインスピレーションを得て書いたものであり、やはり洋館を舞台としたかなり不気味な話である。ところが、その作中作の登場人物名で、何者かが、日本ホラー小説大賞に応募してきたという。そして、主人公も次第に家にとり憑かれたようになっていく。 実は、この家は、タイトルからも連想できるように、かなり訳ありの家だ。表紙イラストの、どこか不気味な感じを受ける美女は、主人公のファンといって、彼に近づいてきた稜子という人物なのだが、実は、この家とも因縁があり、驚くべき秘密を抱えている。 話が進んでいくにつれて、最初は別々の話のようだった本編と作中作が「家」を媒体に、次第に不気味な一体化を進めていく。そして迎える想像を絶するような結末。ミステリーとして、ある程度は謎解きをされる部分があるが、真偽の分からない部分も多く、ホラーの部分は、最後まで謎のままで残っている。そして、謎と一緒に恐怖もまた残っているのだ。○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 16, 2010
フジテレビ系列で、13日の土曜日に放映されていた「ストロベリーナイト」。異常な連続殺人事件に挑む女性警部補・姫川玲子の姿を描いたものだ。誉田哲也 原作の同名小説を原作にしたドラマである。 「ストロベリーナイト」というのは、作品中に出てくる殺人ショーを見せると言うサイト。うっかりこのサイトを見た者は、このショーに出席せざるを得ないようにされ、被害者は出席者の中から無作為に選ばれるらしい。 ちょっと現実離れしたような設定らしく、犯人は、かなりサイコな人物。こいつが一番怪しいと思っていた奴がやはり犯人たちの中心人物だった。しかし、イケメンでエリートが実は悪い奴という設定は、いかにもステレオタイプすぎると思う。確かに、いかにも悪そうな奴がそのまま犯人というよりは意外性があって、作品にはしやすいのだろうが、一種の偏見のようなものがあるような気がして、あまり好きではない。 それにしても、姫川警部補、犯人と二人きりのときに、疑惑を口にするかな。ノンキャリアながら若くして警部補になったやり手という設定の割には賢そうに見えない。賢明な人物なら、その場は、疑惑のあることなど感じさせないで、うまくごまかすだろう。 ところで、共演者の方だが、これは割と面白かった。武田鉄矢演じる勝俣健作警部補は、刑事役でもやはり説教くさく、生瀬勝久の井岡博満巡査長はおバカな感じが良く出ていた。二人の持ち味が良く表れていたと思う。(原作 )・誉田哲也 :「ストロベリーナイト」(光文社) ストロベリーナイト価格:700円(税込、送料別)(出演)・竹内結子 (姫川玲子警部補)・武田鉄矢(勝俣健作警部補) ・生瀬勝久(井岡博満巡査長)・林遣都(北見昇警部補) ほか○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 15, 2010
金曜プレステージで、12日に放映されていた山村美紗原作のサスペンスドラマ「京都・源氏物語殺人絵巻」。原作が、「大阪国際空港殺人事件」なので、「大阪と京都と違うやん!」と思ってしまうが、原作を読んでいないので、どこがどう原作から変わっているのかは良く分からない。 内容の方は、一口で言えば、「香道」を隠れ蓑にした、麻薬密輸入事件と、これに絡んだ連続殺人事件である。被害者のもとには、源氏香図が残されていた。源氏香図とは、源氏香という香道の催しで使われる図柄である。この図柄を使って、源氏香の参加者たちは、自分の聞いた香りを当てるようだ。 これを捜査するのが、大阪府警の麻薬捜査専門の今井陽子警部補と京都府警の殺人捜査専門の宗像勇吾警部というわけだ。二人は、最初はいがみ合っているが、実はお互いに過去にトラウマを抱える同士で、ある意味似た者同士のようなところがある。 どちらかと言えば、宗像警部が大人という感じなので、結局は、結構いいコンビネーションで事件を解決することになる。連続殺人事件の犯人は、こいつしかいないと、途中で見当はついたのだ、ドラマの方では、まったく見当違いの人物が犯人だと決めつけてしまう。これはちょっと飛躍のしすぎだろう。 原作が「大阪空港・・・」の割には、内容はドラマの題通り京都趣味がいっぱいだ。 仁和寺、嵯峨野といった京都らしい風景や美味しそうな京料理、刑事達が食べる昼食にも聖護院大根やすぐきといった京都らしいものが出てくる。今京都は秋の風景が美しいだろう。行ってみたいものだ。(原作 )・山村美紗:「大阪国際空港殺人事件」(出演)・浅野ゆう子(今井陽子 大阪府警警部補)・遠藤憲一(宗像勇吾 京都府警警部)・山村紅葉(及川華絵 税関検査員) ほか○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 14, 2010
有川浩による、ちょっと変わっているがピュアな恋愛物語「植物図鑑」(角川書店)。 主人公であるOLのさやかは、飲み会帰りに、行き倒れているイツキという名のイケメンを拾ってしまう。さやかの部屋に住みつくことになった彼だが、野草のことにとても詳しく、おまけに野草料理が得意。休日ごとに、彼に付き合って、食べられる野草を集めにいくさやかは、どんどん彼に惹かれていく。さやかが、野草採集をもっと楽しむために、こっそりと植物図鑑を買ったりしているのは、とても微笑ましい。その一方、彼女の心の奥には、いつか彼がいなくなってしまうのではないかという不安が潜んでいる。 二人は、一年近く一緒に暮らし、色々な野草を料理して食べるのだが、身の回りに、これだけ食べられる草があるというのはとても興味深い。出てくる草のカラー写真はついているし、野草料理のレシピもついているしで、いたれりつくせりである。小説を楽しむだけでなく、万が一のときのサバイバルのテキストとしても使えそうである(笑)。大体は、有川さんが作って食べてみたことがあるということなので、味の方もまあ大丈夫だろう(たぶん)。 ところで、この作品で一番重要な役割を果たす植物は、なんと「ヘクソカズラ」。花はとても可憐なのだが、とても臭いにおいを持っているので「屁糞」というすごい名前をつけられている。これが二人の思い出の植物であり、つまり、イツキは、「ヘクソカズラの君」なのである(笑)。 彼氏を拾ったり、その彼が料理の名手だが、何か秘密のようなものを抱えており、やがていなくなってしまうと言うようなところは、北森鴻のメイン・ディッシュを連想してしまった。しかし、「メイン・ディッシュ」の彼は名探偵という設定で話もミステリー仕立てになっているが、この「植物図鑑」のイツキ君の方は、野草専門の好青年で、話の内容も完全なラブ・ストーリーであるというのが大きく異なっている。おっと、もう一つ、彼氏が猫系と犬系という違いもあった。 二人の出会いのきっかけは、かなり変なものだったが、読み進めるにつれて、読者は、どんどんと二人の恋を応援したくなってくるだろう。そんな気持ちにさせてくれる作品である。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 13, 2010
山口県宇部市の中心地を歩いていると、歩道に白鳥の絵が描かれた蓋がされているのを良く目にする。上は、下水のマンホールの蓋。絵に色がついていないのが残念だが、確かに白鳥が描かれている。 そしてこちらは、下水マンホールよりかなり小さい蓋。割と数が多い。ハンドホールの蓋だろうか。ご存じの方がいれば教えていただきたい。 ところで、白鳥が描かれているのは、宇部市に常盤公園という公園があるためだろう。白鳥はそこのシンボルだ。○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 12, 2010
チープな感じのイラストがちょっと気になる「占星術殺人事件」(島田荘司:講談社)。文庫版の初版は1987年となっているが、発表されたのは、1981年で、文庫版の後ろの方にある解説によれば「伝説的な作品」と称されているらしい。実は、うちの子が買っていた(まだ読んでなかったようだが)ので、ちょっと先に読んでみたわけである。日本ミステリーの古典と言うには、まだ新しいと思うが、うちの子にとっては、自分が生まれる前に発表されているので、古典のようなものだろう。どうしてその本を買ったのかと聞いてみると、どうも、何かの漫画に出て来たらしい。さすがに漫画の影響力はすごいものだ。 さて、この作品で扱われているのは、かなり猟奇的な事件だ。画家とその娘(義理の娘を含む)や姪の合計8人が殺されたのである。問題は、この画家が遺した手記の内容だ。そこには、自分の娘や姪たち6人の処女から、それぞれ違う星の加護を受けている部分を取り出して、完璧な人体(アゾート)を生成しようという計画が記されていた。画家の娘たちは、手記に示された部分を切り取られている死体となって、日本の各地で次々に発見されたが、一番怪しいはずのその画家は、最初に殺害されていたのである。しかも殺害現場は密室。 実は、この猟奇的な事件は、実際に作中で発生する訳ではなく、発生したのは昭和11年。40年前の記録上の出来事として出てくるのである。余りのミステリアスぶりに、日本中のミステリーファンが散々謎解きに挑戦してきたが、これまで誰も解決できなかったという設定だ。これを名探偵ホームズ役の占星術教室を主宰している御手洗潔と、ミステリー好きのワトソン役石岡和己が追い求めていくというのが基本的な筋書きである。もっとも、御手洗は、ホームズのことを作中でけちょんけちょんにけなしているのだが。 最初は、石岡が事件を説明し、それに対して、御手洗が推理を述べるという形だったので、てっきり安楽椅子探偵ものかと思ったら、途中から行動的になって、京都まで手がかりを探しに行く。結局事件は、京都で解決した形になったのだが、使われていたトリックの意外さには舌を巻いてしまった。このトリック、作中にも述べられているが、よほど捜査が御座なりでない限り、今だったらまず成立しないものである。ところが、事件の舞台を昭和11年としているために、不可思議な事件として成り立ってしまったのだ。だから、40年後の謎解きというのは、作品の中できっちりと意味を持たされているのである。最後に犯人が分かるところは少しあっけない感じはあるが、なかなか読みごたえのあるミステリーだった。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 11, 2010
女の性と猟奇的殺人を描いた、メグ・ライアン主演のサスペンス映画「イン・ザ・カット」。2003年のアメリカ映画だ。 メグ・ライアン演じるフラニ―は大学の講師。スラングなどの言葉を集めるのが趣味のようだ。彼女の住居の近くで猟奇的な殺人が発生する。その事件の調査で、警官のマロイが、フラニ―の家を訪れたのだが、二人はやがて、男女の関係になる。ところが、腹違いの妹であるポーリーンが、同様の猟奇的な手口で殺害されてしまう。フラニ―は、マロイに疑惑を向けるのだが。 中心に描かれているのは、どろっとした「女の性」だろう。もちろん、その相手として男も出てくるのだが、それはわき役だ。この映画のもう一つの柱になっている猟奇殺人も、そのどろっとしたところを盛り上げるために使われているように思える。事件の犯人は、犯人としてはお約束のような人物だったが、とくにそのような猟奇的事件を起こした背景のような者もの描かれていないし、犯人と分かったら意外とあっけなく舞台から退場している。出てくる人間が、みんなどことなく不健康そうなので、これが映画のムードをよく盛り上げていると思う。 主題曲として使われている、けだるいような感じで歌われる「ケセラセラ」が何ともいい感じだ。(ツッコミどころ)・フラニ―が何者かに襲われて、逃げるときに車に撥ねられてもピンピンしていたが、不死身か?武道の心得はなさそうだが。・マロイが、フラニ―に水面に浮かぶゴミ袋を、自分の拳銃で撃たせていたが、いいのか?マロイの勤めている警察は弾の管理はしていないのだろうか。もっとも、これが伏線で、後々、フラニ―は助かるのだが。(監督)・ ジェーン・カンピオン(出演)・メグ・ライアン(フラニ―)・マーク・ラファロ(マロイ) ほか○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 10, 2010
コメント(1)
異世界より現れ、人間の存在の力を喰らって世界のバランスを乱す「紅世の徒」(ぐぜのともがら)と、それを阻止しようとするシャナ達フレイムヘイズとの戦いを描いた壮大なサーガ「灼眼のシャナ」( 高橋弥七郎:アスキー・メディアワークス)の第19巻。 この巻では、フレイムヘイズたちと「仮装舞踏会」との全面戦争の中で、敵の首領である創造神「祭礼の蛇」が復活するのだが、メインは、強大な力を持った、最強の殺し屋「壊刃」サブラクとの戦いの話である。 サブラクは、その恐るべき力で、「祭礼の蛇」の復活を阻止しようとするフレイムヘイズたちを苦しめる。彼には、「スティグマータ」という恐るべき技がある。受けた傷が、じわじわと広がっていくという自在法「スティグマ」を解呪不能の一点に絞って強化したものだ。しかし、サブラクの圧倒的な優位で進んでいた戦いも、思いもかけない終結を迎える。 サブラクは大きな力を持っていた。それは、圧倒的なものである。しかし、彼には「志」というものが無い。 「大きな力があるとて、なにが変わるわけでもない。」 彼ら紅世の王たちの寿命は人間よりははるかに長い。ほぼ永遠といっても良い生である。その長い生を、「志」もなく、殺し屋として殺伐と生きていく。彼はその生を既に生き飽きていたのかもしれない。いくら強くても、そのような生き方に、どんな意味があるのか。「祭礼の蛇」という自分を遥かに凌駕する存在と出会ったときのサブラクの行動は、彼の心の虚無の大きさを感じさせる。 一方、愛する悠二が「祭礼の蛇」の代行対として敵となったシャナの方は完全に吹っ切れたようだ。 「私は、悠二が好き」 ・ ・ 「この私の抱く気持ち、愛こそが、最強の自在法」 一度でいいから、こんなセリフを言われてみたいものだが(笑)、具体的にはどうするのかというと、 「腕づくで倒して、従わせる」そうだ。さすが、シャナらしい、一直線の思考法である。かかあ殿下の方が、夫婦はうまく行くと俗にも言われている(まだ夫婦じゃないけど)。がんばって、腕づくで悠二を従わせて欲しいと、つい思ってしまう(笑)。○関連過去記事・灼眼のシャナ18○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
November 9, 2010
今の日本の地方都市はどこも衰退の一途である。私の故郷なども過疎化が進み、出身高校は、近くの高校と統合されて廃校になってしまった。しかし、これは日本だけでなく、世界中で進んでいることのようである。そんな都市縮小の現状をよく描いているのが「「都市縮小」の時代」(矢作弘:角川書店)である。 本書によれば、世界の多くの都市が人口を減らしており、1990年から2000年の10年間で人口を減らした人口10万人以上の都市は4分の1以上にものぼると言う。著者は、その原因として「産業の衰退」、「出生率の低下」、「居住の郊外化」、そして日本独自の原因として「東京への1極集中」をあげている。いずれも妥当なものだろう。それでは、衰退を続けている地方都市が、再び繁栄することは可能なのであろうか。繁栄が、人口を増加させることというなら、それに対して本書は必ずしも肯定的ではない。地方都市が再び人口を増やそうという夢を捨てて、都市が縮小することを否定的に考えずに、良い面を積極的に活かし、賢く縮小していこうというのがこの本の主張だ。 伝統的な経済学では、成長することを前提に議論が行われる。つまりは、拡大は善であり、縮小は悪なのだ。しかし、どの都市もどこまでも発展できる訳はない。経済成長といっても、所詮は同じパイを争うねずみ講のようなゲームだ。パイの大きさがよく分からないと言うのが救いではあるが、地球という閉じた系に中で行われている限りは、結局はどこかで行き詰らざるを得ない。賢く衰退するというのは、そのような時代の有力なオプションであるように思える。 それでは、どのように都市は衰退するべきだろう。本書には、具体例として、米独日に渡っていくつかの都市の取り組みが紹介されている。行われている施策は様々で、共通の方程式など導け出せそうにないし、これらの都市の取り組みが将来に渡り実を結んでいくかも実際のところ良く分からない。しかし一つ言えるのは、自分たちの都市の強みを活かして、課題を解決していこうと言う努力が大切だということだろう。都市の強みというのは、それぞれに違う。他の都市に真似をしても、成功すると言う保証はどこにもないのだ。自分たちの都市には何もないというのは、見ようとしていないだけではないか。本当に何もなければ、何もないことを活かすことを考えれば良いのだ。○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 8, 2010
写真は、広島市内の、原爆ドームのすぐそばに架かる「相生橋」。写真では分かりにくいが、珍しいT字型の橋で、旧太田川(本川)と元安川の分岐点に架かっている。橋の名前は、二つの橋が出会うことから付いたそうで、少しロマンチックな香りがする。○ランキングの順位は? ○関連過去記事・宇品花火大会(広島市を歩く76)○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 7, 2010
テレビドラマ「新参者」で阿部寛の演技が光った加賀恭一郎シリーズの第7番目の事件を扱った「赤い指」(東野圭吾:講談社)。事件的な設定は、加賀刑事が日本橋署に異動する前で、まだ練馬署に在籍していた時代となっている。 幼女の死体が、住宅街にある公園のトイレで発見され、その真犯人を加賀が追い詰めると言うのが基本的な筋書きだ。この作品は、ミステリーに分類されるのだろうが、実は、加賀が真犯人を探し出すと言ったものではない。実は真犯人は早い段階から分かっている。加賀が明らかにするのは、犯人の家族に隠されていた秘密であり、そこがこの作品をミステリーたらしめていると言っても良いだろう。 私は、以前、湊かなえの「告白」のレビュー記事に、「現代社会は、父性喪失の時代だ。」と書いた。この作品にも、「告白」程ではないが、「父性」の弱さが現れていると思う。本来は父親のロゴスと母親のパトスのバランスが必要なのだ。しかし、今の日本は、あまりにもパトス優位が目立つのではないだろうか。犯人であるわが子の犯罪を警察に通報しようとする父親。しかし、母親はヒステリックに子供の罪を隠そうとする。結局父親は、母親の論理を超えた感情に負けて、隠ぺい工作を行ってしまう。ところが、肝心の犯人の方は何の反省もないように見える。その結果、親子共々犯罪者となってしまうのだ。 この作品は、日本の家族システムに潜む問題点や福祉の貧弱さといった問題点を浮き彫りにしているように思える。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 6, 2010
藤原祐による「レジンキャストミルク」(メディアワークス)の第2巻。 虚軸(キャスト)と呼ばれる人を超えた力を持ったものたちが、その存在を賭けた戦いを繰り広げるという学園SF小説である。この2巻では、敵である「無限回廊(エターナル・アイドル)」により、柿原里緒(形式名「有識分体(分裂病)」)が襲われる。、無限回廊は、更に、城島晶や硝子たちの友人の心の隙に付け込んだ卑劣な攻撃を仕掛けてくる。 この巻では1巻で名前だけ登場していた、晶の仲間である2人の虚軸が登場する。言動がハチャメチャで、虚軸の中でも最も厄介な性格破綻者という速見殊子(形式名「目覚まし時計(ハラハラ)」と、超ネガティブ思考で、虚軸の中でも最も陰気な言動破綻者という佐伯ネア(形式名「アンノウン(ゆらゆら)」だ。これは、晶の評価ということなのだが、確かに、とても他では見られないようなユニークなキャラクターだ。 この作品、本来は非常に重いテーマであり、コアの部分では、登場人物の心理描写をうまく描いて、そういった雰囲気をよく醸し出しているのだが、その反動なのか、普段の会話は非常に軽く、ボケとツッコミの応酬で、これが何とも言えず楽しい。主人公のパートナーである城島硝子にしても、本体は異次元のコンピュータで感情が欠落しているという設定なのだが、無表情で行う絶妙のツッコミと的確なボケ。これを楽しむだけでも読む甲斐があるというものだ。もちろん、本筋の部分もとても面白いのだが。○関連過去記事・レジンキャストミルク○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 5, 2010
東広島市にある「広島中央サイエンスパーク」は、「頭脳立地法」に基づく集積促進地域の承認を契機に整備された業務団地で、広島テクノプラザをはじめとする多くの研究施設が集まっている。 先般用事があって、ここを訪れた際に、たまたま見つけた、「明鏡調節池」。言われはよく分からないが、石の標識が何とも時代を感じさせて、風情がある。 ○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 4, 2010
「ぼっけえ、きょおてえ」などにより、ホラー小説に新たな境地を開いた岩井志麻子の「魔羅節」(新潮社)。 ちょっと書くのがためらわれるような表題で、ほとんど反則といってもいいくらいだ。まあ、最近はあまり使わない言葉なので、かろうじてセーフということか?現代語に直したら、とても書店で大っぴらに並べる訳にはいかないだろう(笑)。 しかし、表題で驚くなど、まだ甘かった。実はこの作品は全部で8編の短編から構成されているのだが、一つ一つの作品に付けられているタイトルの方は、とても紹介できないようなすごいものだ。これは、自粛しておかないと、このブログの品位にも関わりそうなくらいである。 内容の方であるが、どの短編を読んでも、どろどろとした淫猥な世界が広がる。淫猥だが、決して軽薄なエロ小説ではない。ずっしりと、体にまとわりついて来るような重苦しさだが、確かにこれは文学だ。帯に「よくぞ魑魅魍魎の世界へ」と書かれているが、まさにそんな感じである。使われているのはもちろん岡山弁。岡山弁は、他県の者が聴くと、ちょっときつい感じを受けるかもしれないが、それが、この独特の作品世界にはよく似あっている。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 3, 2010
フィリップ・リーヴによるこのシリーズ第1作目に当たる「移動都市」(東京創元社)。日本SF大会の参加者の投票により選ばれる星雲賞を受賞した作品である。既に2作目の「略奪都市の黄金」と3作目の「氷上都市の秘宝」は読んでいるので、すっかり読む順番が逆になってしまった。 このシリーズが面白いのは、都市が巨大なメカでできてあり、移動することができるという設定になっていることだ。更に、強い都市は弱い都市を狩り、食べてしまうという物凄い設定である。食べられた都市は、食べた都市の中で解体、リサイクルされ、住民は奴隷にされてしまうのである。また、移動都市に所属していない人々もあり、反移動都市同盟という組織を結成して、移動都市と反目し合っている。 主人公は、トマス・ナッツワーシー(トム)と ヘスター・ショウの二人である。トムはロンドンの史学ギルドの三級見習いだ。もちろんロンドンも、他の都市を狩るために動き回っている。ロンドンの史学ギルド長はヴァレンタインという冒険家だが、彼に因縁のあるへスターが、ロンドンに侵入してきた。あわやというところで、ヴァレンタインの命を救ったトムだが、ヴァレンタインは彼を、ロンドンから外界へ突き落してしまう。 この後、二人は、海賊都市につかまったり、ストーカーに襲われたりと冒険を繰り広げる。ここでストーカーとは、死者をサイボーグ兵器に改造したものだ。この話は、つまりはやがて夫婦になるトムとへスターのなれそめの物語という性格が強い。 このへスターだが、顔に大きな傷があり、ヒロインとしては全く異色の存在だ。実はその傷を付けたのはヴァレンタインであり、その因縁で、へスターは彼の命を狙っていた訳だ。ヴァレンタインはどうもへスターの父親の可能性が強いようであり、実の娘かも知れないへスターに酷いことをした割には、娘のキャサリンは溺愛している。そんな父親に溺愛されているキャサリンであるが、彼女は父親に似ず高潔な人物として描かれており、古代の破壊兵器メドゥーサの復活を阻止しようとしたり、へスターを助けようと自分の身を投げ出したりしている。キャサリンの活躍には、つい引き込まれてしまうのだが、最後はとても残念な結果になり、涙する読者もいるのではないかと思う。 ヴァレンタインとへスターの因縁もつまるところ古代兵器メドゥーサを巡るものなのだが、邪悪な力を求めるものは、結局はその力により滅んでしまう。この物語も、そんなお約束のようなラストで終っているが、トムとへスターの物語はむしろここから始まると言っても良い。既に、このブログにもレビューを掲載しているが、続編も、期待を裏切らない面白さである。 一つ残念だったのが、キャサリンのペットであるウルフ(本物の狼)。もっと活躍するかと期待していたのだが、意外にもあっさりと作品から退場してしまった。結構存在感があったので、もっと重要な役割を与えても良かったのではなかったか。 ○ランキング今何位? ○関連過去記事(「本の宇宙」掲載)・略奪都市の黄金・氷上都市の秘宝○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)
November 2, 2010
写真は、備中高梁を代表する寺である、頼久寺。、足利尊氏が、諸国に建立させた安国寺の一つだという。ここは、小堀遠州作という庭園で有名である。国指定名勝の庭園だ。ここも昔一度入ったことがあるが、今回は開園時間外ということで外から寺を眺めただけ。○関連過去記事・紺屋川(備中高梁7)○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
November 1, 2010
「時をかける少女」、「魔法少女」、「文学少女」のように、「少女」と言う言葉が付くタイトルを見ると、どこか心ときめくような思いのする殿方は多いのではないか。もっとも、「地獄少女」とか「壊れた少女」となると、少し微妙かもしれないが。こういった場合の少女とは、たいてい「美少女」を指しており、美少女が、一生懸命何かをやっている姿というのは、おじさんたちには(いやおにいさんたちにも)非常に好ましく映るのであろう。 もちろん、こんな物語がつくれるのも、少女が活躍できるという社会が前提になっているからであり、「○○少女」というタイトルは、現代社会特有のものかと思っていた。ところが、封建社会である江戸時代にもそんな本があったことを知って少し驚いた。「算法少女」である。ここで紹介する「算法少女」(遠藤寛子:筑摩書房)は、その江戸時代に著された同名の本をモチーフに、作者が豊かな想像力を使って、和算好きな少女のお話として織り上げたものだ。 主人公のあきは、町医者である父の千葉桃三から上方流の算法を習っている、利発な少女である。ある日、神社の算額の間違いを指摘して、それが、久留米藩主の耳に届き、姫の算法指南役にという話がもちあがるのだが、江戸の算法の権威で関流の宗統である藤田貞資から横槍が入る。 江戸時代は、多くの分野で家元制度があった。実力の差がよく分からない、最後は見解の相違で終わらせることが可能な芸事と違って、実力がはっきりと分かる将棋などにも、家元制度があったというのは、今の感覚からは不思議なことである。ましてや数学の世界など、家元制度とは一番遠いと思うのだが、この作品の舞台である安永年間では、関流から分かれた諸流派を中心にして、勢力争いをしていたようだ。作品中にも、円周率の計算方法などが、まるで流派の秘伝のような扱いで描かれており、苦笑してしまう。 政治学者の故丸山 眞男氏によれば、日本はタコつぼ文化だそうだ。この時代は、算法もまた各流派が自分のタコつぼに閉じこもっていたのだろう。それは、上方流算法を学んだあきの父親も例外ではなかった。父親の算法に関する考え方に納得がいかなかったあきだが、関流を学びながら和洋の算法を広い視野でく研究している本多利明と出会うことにより、自分の本当の生き方を見出す。この作品は、江戸時代の「算法少女」成立までの話だけではなく、あきの成長の物語でもあるのだ。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 31, 2010
QEDシリーズなどで知られる高田崇史の「麿の酩酊事件簿」シリーズの第1弾、「花に舞」(講談社)。 舞台は古都鎌倉。主人公の勧修寺文麿は、旧家のお坊ちゃまである。何しろ、家に執事がおり、実際に「お坊ちゃま」と呼ばれているのだから掛け値なしのお坊ちゃまだ。もっとも、お坊ちゃまといっても三十歳を超えているのだが。文麿は、ベンチャー企業のオーナーで旧家のボンボンなのに、いまだ嫁の来てがない。ただ一人の肉親である祖母から、早く嫁をもらうようにせっつかれているのだが、嫁の来てが無いのは、必ずしも彼のせいであると言う訳でもないようだ。 なにしろ、勧修寺家には、婚姻家訓というとんでもない家訓があるのだ。 1.見合厳禁 2.手助け無用 3.独力発掘 ・ ・と、この調子で、前文7条と本文86カ条もあるのである。こんな嫁取りに関して悲惨な状況にある文麿だが、女性との出会いはもちろんある。ところが、どういう訳か、出会う女性は皆、何か心にわだかまりのようなものを抱えているのだ。彼女たちのわだかまりを文麿が解決するのはよいのだが、結局はふられてしまうというのが、この作品の基本的なストーリーである。 収められているのは4つのエピソード。○ショパンの調べに 美人ピアニストの人生を変えた事件○待宵草は揺れて 茶会で起きた毒殺事件○夜明けのブルー・マンデーを 女性バーテンダーのわだかまり○プール・バーで貴女と 女性ハスラーの悩み ところで、文麿には、変な性質がある。酒に弱いのだが、究極まで酔っ払ってしまうと、キザ男君に変身してしまう。しかし、このキザ男君、やたらに頭が冴えている。素面の時より、頭の働きが格段にあがり、名探偵になってしまうのだ。 水戸黄門の印籠ではないが、この作品のパターンも決まっている。思いを寄せた女性と飲みに行ったのはいいが、酩酊して呆れられているときに、急に、キザ男君に変身して、見事に彼女たちの悩みを解決してしまうのだ。これも、日本的な様式美のうちだろうか。しかし、文麿が彼女たちの悩みを解決することは、彼女たちが新たな人生に踏み出すきっかけを与えることにもなってしまい、結果は失恋というのは、少し悲しい。(笑)○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」 (本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 30, 2010
JR宇部線の宇部新川駅前の通りの風景。向こうに見える円筒は、宇部興産の工場。○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 29, 2010
写真は新下関駅で見掛けたフグ君。フグは下関の名物だ。こちらでは縁起を担いでフクと呼ぶ。○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 28, 2010
写真は広島駅に入って来るこだま号。こちらでは珍しい16両編成のこだまだった。○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 27, 2010
写真は、高梁市内を流れる紺屋川。風情のある小さな川だが少し下ると、岡山県を代表する大河である高梁川に続いている。かっては、備中松山城の外堀の役割を果たしていたとのことだ。この道筋は、情緒のある風景が続いており、「日本の道100選」にも選ばれている。春に来れば桜が綺麗らしい。 下の写真は、紺屋川河畔にある高梁キリスト教会堂。こちらもなかなか風情がある建物だ。○関連過去記事・高梁市郷土資料館(備中高梁6)○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 26, 2010
うちの子といっしょに本屋に行った時に、教えられて出ていることに気が付いた「真月譚月姫 (9)」(佐々木少年/アスキー・メディアワークス)。「直死の魔眼」 を持つ志貴と、吸血鬼の「真祖」の姫君アルクェイドらの数奇な運命と、戦いそして愛を描いた作品だ。もともとは、うちの子が買っていたものだが、最近はなぜか親が引き継いで買っている。まあ、この手のものは、昔から嫌いではないので、それはどうでもいいのだが、この巻についていえば、何とも表紙が地味だ。奥付を見ると、発行は9月27日だが、先日気がつくまで、何度もこの本の置いてあるコーナーを覗いているはずなのに気が付いていない。表紙が、周りのコミックスにすっかり溶け込んでいる感じで、「保護色か!」と思わずツッコミ。色合いも地味なら、書かれている人物も地味だ。いくらその少年が主人公でも、やはり表紙は、華やかな美少女の方が目立つだろう。 そんな戯言はさておき、今回は強敵ロアとの最終決戦。ロアの攻勢に前に、アルクェイドは力尽きるが、最後の最後で志貴は、本来の力を見せつける。主人公はまだ自分の能力を十分に引き出せていないまま敵と戦いに臨むのだが、大事なものを傷つけられて、初めて真の力が目覚めるというのは、青少年向けのこの手の作品の伝統的なパターンである。とはいいながら、決してこの手の話は嫌いではないので、「そんな力があるんなら、はよう出さんかい!」とツッコミながらも、展開を楽しみながら読んでしまう。作者の筆が走り過ぎて、1巻に収まりきらず、フィナーレは次巻への持ち越しになったようだが、発売が待ち遠しいものだ。○関連過去記事・真月譚月姫(8)○面白かったらポチっと1票! ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 25, 2010
藤原祐の「レジンキャストミルク」(メディアワークス)。「アカイロ/ロマンス」のひとつ前のシリーズの第1巻に当たる。 この作品世界では、虚軸(キャスト)と呼ばれる存在が、実軸(ランナ)と呼ばれるこの世界に入り込み、脅威的な力をふるう。虚軸とは、人の思いによって生まれた仮想世界、パラレルワールドである。本質的に不安定なもので、やがては崩壊して、実軸に吸収されてしまう。ところが、強い思いによって出来た虚軸は、この実世界のだれかに寄生もしくは強制することにより実軸への存在固定を行うのである。虚軸が寄生もしくは強制する実世界の誰かを固定剤(リターダ)と呼び、寄生型とは、虚軸と固定剤が一体となっているもので、共生型とは、虚軸と固定剤が別々の個体となっているものだ。そして、彼らもしくは彼女らは、何かしら欠落を抱えている。 主人公の城島晶は、見かけは平凡な高校2年生。超美少女の従妹である城島硝子と二人暮らしである。実は、硝子は形式名(モデリング)を「全一(オールインワン)」と言う虚軸であり、晶は硝子の固定剤なのだが。彼らの通う高校には、他にも柿原里緒(形式名「有識分体(分裂病)」)、舞鶴蜜(形式名「壊れた万華鏡(ディレイドカレイド)」といったような虚軸たちがおり、彼女たちとともに、敵である虚軸、「無限回廊(エターナル・アイドル)」一味と戦うというのが基本的なストーリーだ。 主人公の男子とそのパートナーの美少女が仲間の美少女達と敵方と戦うと言うのは、この後の作品の「アカイロ/ロマンス」の原型とも言える。前作の「ルナティック・ムーン」では、まだ仲間の美少女軍団といったものはなかった。また、この作品では敵方は男女半々といったところだが、「アカイロ/ロマンス」では敵方も美少女だけといったように進化?しており、前作とこの次の作品を繋いでいる作品としての性格が強いだろう。 こちらも、他の作品同様、椋本夏夜のイラストがすばらしい。表紙は、城島硝子。虚軸で、感情が欠落しているという設定のため、しゃべり方が機械的なのだが、結構ツッコミがうまく、晶と夫婦漫才のような掛け合いをしたりしているところが何とも面白い。 もう一人、魅力的な人物が舞鶴蜜。虚軸のため、敵意でしか自分の感情を表せないため、ツンデレではなくツンツンキャラという設定だが、敵と戦う時に、黒づくめのゴシックドレスに身を包んで戦う姿は、きっと、その筋のマニアを萌えさせるに違いない。 ○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 24, 2010
山口県萩市にある萩バスセンターというところで、帰りのバスを待っていると、たまたま目の前に停まった、ループバスの「晋作くん」。 萩市は、東回りと西回りの2系統のループバスが循環しており、「晋作くん」は西回りの方だ。東回りは「松陰先生」という愛称が付けられている。観光地も回るようなので、「龍馬伝」で明治維新に興味を持った人は、話の種に乗ってみるといいだろう。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
October 23, 2010
写真は新山口駅の新幹線口に屋外展示されている、D51(デコイチ)の動輪。新幹線開通記念のモニュメントらしい。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
October 22, 2010
藤原佑による新シリーズ「煉獄姫」(アスキー・メディアワークス)。絵師が、これまでずっとコンビを組んできた椋本夏夜でないのは、少し寂しいが、表紙のkaya8によるイラストも素晴らしく、旅先で見かけて、思わず衝動買いだ。 本来煉獄とは、キリスト教において、一応の救済は約束されているものの、小さな罪があって、そのままでは天国に行けないような人が、浄化を行う期間身を置く場所である。しかし、この作品の煉獄とは、現世に隣接した異世界のことであり、キリスト教徒は直接の関係はない。煉獄の毒気を含む大気は、人の意思により、あらゆるものに変化し、それを行うことのできる者は「煉術師」と呼ばれているという設定だ。 アルテミシア(アルト)は、瑩国の第一王女でありながら、煉獄の扉をその身に宿しており、近寄る者に死をもたらすために、普段は幽閉の身だ。彼女に近づける者は、煉獄の大気に完全態勢を持つ少年騎士フォグただ一人。アルトが外に出られるのは、王家からの密命で、「煉術師」としての働きをする場合だけなのである。 藤原佑の作品に登場するヒロインたちは、誰も「訳あり」だ。アルトはその体質のために、生まれるときに母親を殺してしまい、父王からも疎まれている。しかし、特異体質はアルトのせいではない。父親に喜ばれようと、汚れ仕事に手を下すアルトの姿は、いじらしくも痛ましい。 ところで、アルトの相棒のフォグだが、彼の正体もまったく意外なものだった。こういった設定なら、二人は理想的なコンビだろう。裏切りと陰謀渦巻く世界で、これから二人がどのような戦いを繰り広げていくのか、目が離せない。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 21, 2010
冒頭にいきなり 「天城さんは鷺森神社の近くに住んでいた。」というフレーズがあり、思わず買ってしまった「きつねのはなし」(森見登美彦:新潮社)。鷺森神社は、修学院の近くににある古い神社で、私も学生時代にこの近くに住んでいた。 読んでいくうちに、自分の学生時代の行動範囲と重なる部分が出てくるためか、どんどんと話に引き込まれていく。なにしろ、作品中に出てくる骨董屋・芳蓮堂のある一乗寺は、私の学生時代住んでいたところだし、出てくる大学は森見氏の経歴からも、私の通っていた京都大学がモデルであることが推測できるからだ。京都大学のすぐそばにある吉田神社も重要な役割を果たしている。 作品は、芳蓮堂とケモノを主なキーワードとした連作短編になっている。また、この他にも、狐の面、からくり幻燈や龍などもサブ的なキーワードとなっているように思える。収録されているのは、以下の4編。・きつねの話 芳蓮堂でアルバイトをしていた学生が体験した恐ろしくも不思議な話。・果実の中の龍 先輩の語る、ほら話。しかし、ほら話ながら、内容は、他の話とリンクしている。・魔 ケモノにとり憑かれた男の話・水神 実業家の葬式で起こった不思議な出来事の話 いずれも、かなり不気味な話だが、京都という舞台には、よく似合っているように思える。風水には四神相応という考え方がある。「東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武」という結界をはるというものだ。京都は、この考え方に基づいて、鴨川、巨椋池、山陰道、船岡山が四神に見立てられていると言われている。1200年以上の歴史を誇る古き都。その古さゆえに、どんな魔が潜んでいても不思議ではない。そんな京都の一面をよく描いた作品だろう。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 20, 2010
写真のしゃれた建物は、高梁市の郷土資料館。1904年(明治37)に建設された、旧高梁尋常高等小学校の本館を利用したものだ。高梁市の重要文化財でもある。 昔、一度訪れたことがあるのだが、既に記憶からはすっかり薄れている。今回は夕方の散歩で前を通っただけであり、当然閉館時間を過ぎているので、入館はできなかった。中は、江戸時代から昭和初期ごろまでの生活用具が展示してあるようだ。機会があれば、また中に入ってみたいものである。○関連過去記事・高梁市役所(備中高梁5)○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 19, 2010
大きな話題を呼んだ「ブラックスワン」だが、それに先立つタレブの著作「まぐれ」( ナシーム・ニコラス・タレブ/望月衛:ダイヤモンド社)。これは面白い。私が普段思っていることにも通じるところがあり、まさに「壺にはまった」ような感じのする著作である。 この本での主張は、成功の多くは、結局は「まぐれ」だということである。昨日までの勝者は、明日の敗者なのだ。恐るべきは確率のなせる技である。たまたまの「まぐれ」を自分の実力と勘違いした者はいつかは確率に裏切られるのだ。副題に「投資家はなぜ運を実力と勘違いするのか」とあるように、タレブはトレーダーを例にとって、このことを説明しているが、これは、色々な分野でいえることだろう。しかし、このような勘違いは世の中に溢れているのではないだろうか。 よく知られているように、論理を展開する方法には、演繹法と帰納法がある。演繹法は、厳密に形式論理を積み重ねていくもので、出発点となる原理が間違っていなければ、そこから得られる結論は正しい。一方、帰納法の場合は、たった一つの反例でひっくり返ってしまう恐れがある。タレブの言うように、人間の脳は、帰納的推論を行う機械なのだ。だから、実務的には色々な場面で帰納法的な推論が使われている。しかし、いつ「ブラックスワン」の出現で、根本から覆るか分からないのだ。よくビジネス本などで紹介されている著者の経験則だって、所詮は帰納法のひとつにすぎない。話半分くらいで聞いておいた方がよいのである。くれぐれも、ランダム性のもたらしたいたずらである可能性があることを忘れてはいけない。 それでは、ランダム性にもてあそばれないためには、どうしたらよいのだろうか。吉田兼好の徒然草百十段に「双六の上手といひし人に、その手立を問ひ侍りしかば、『勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。』」という一節がある。タレブの言うことも、これに繋がるのではないだろうか。「ブラックスワン」はどこにいるか分からないのだ。これまで、「まぐれ」によって勝ち続けたとしても、それが「吹き飛ぶリスク」をとっていることに気が付かなければ、いつかは足をすくわれてしまうということだ。そして、そんなリスクの確率は、決してベルカーブのような左右対称の綺麗な確率分布でなどで表すことはできないのである。だが、そんなブラックスワンの存在を考慮に入れて行動すれば、普段は勝てなくても、負けは小さく、その時が来れば大勝ちすることができるのだ。 全体に、いかにもタレブらしいシニカルな文体で書かれているが、その内容は多くの警鐘に満ちている。100のビジネス本を読むよりは、まず読んでおくべき本だろうと思う。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。) 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 18, 2010
日本テレビ系列の「金曜ロードショー25周年記念月間」の第3弾として放映していた、「カイジ 人生逆転ゲーム」。 観た感想だが、何と言っていいのか・・・・・。ストーリーは、友人の借金の連帯保証人だったカイジが、借金返済のために文字通り命を賭けたゲームをしたり、地下のタコ部屋で強制労働させられたりという、ハチャメチャなストーリー。一体どこの国のいつの時代の話だと思うことはさておき、いくつかのツッコミを入れてレビューに代えたい。1.敵の親玉である兵頭は、借金を返せないものを地下で強制労働させて、地下王国を建設していたが、見た感じかなりの高齢のようだ。果たして、彼が生きている間に完成できるのか?2.無理に感動的な場面を挿入しているが、内容がハチャメチャなので、感動は無理。3.強制労働させられるものは、焼印を押されたりマイクロチップを埋め込まれたりされていたが、そんなことしたら、犯罪組織の存在を自ら証明するようなものだ。また、いくら負債を負っている者でも、あれだけ人間が大量に行方不明になれば、世間で目立たない訳はないだろう。4.藤原竜也の顔が時々、郷ひろみに見えた。5.天海祐希演じる遠藤凛子。最後のオチ、お前は峰不二子か!? 本日は以上。(原作)・福本伸行:「カイジ」(講談社ヤンマガKC刊)(監督)・佐藤東弥(出演)・藤原竜也(伊藤カイジ)・天海祐希(遠藤凛子)・香川照之(利根川幸雄)・松山ケンイチ(佐原誠)・山本太郎(船井譲二)・佐藤慶(兵頭和尊) ほか○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」
October 17, 2010
上の写真は、備中高梁駅からほど近いところにある「高梁市役所」。別にここを訪れた訳ではないが、せっかく前を通ったので、敬意を表してパチリ。一応この辺りを通ったという記念だ。 そして、上の写真は、高梁市に行った時に食べた弁当。確か値段は400円だったと思う。仕事で外に出ているときは、大体、こんなつつましいものを食べている。○関連過去記事・安正寺(備中高梁4)○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 16, 2010
架空の村雛見沢村を舞台に、昭和58年に繰り広げられた惨劇を描くいた「ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編」(桃山ひなせ/竜騎士07:スクウェア・エニックス)の第5巻と「皆殺し編」の最終となる第6巻。 雛見沢村で祀られる神・オヤシロさまの生まれ変わりとも言われる少女・古手梨花は、惨劇が起こるたびに、彼女だけに見える守り神・羽入(オヤシロさま?)の力で、時を巻き戻し、少しずつ位相のずれた世界をやりなおしてきた。何度も絶望を繰り返して来た梨花は、こんどこそはという手ごたえを感じていたのだが、物語は、後半で大きく動いていく。 この「皆殺し編」を一言で表せば、「鷹野三四の暴走が止まらない」ということだ。自分を地獄のような境遇から救ってくれた老科学者の故鷹野一二三の遺志を受け、雛見沢症候群の研究を世に出そうとした三四だが、最初の高潔な志を持った少女が、いつの間にか、目的のためなら、手段を選ばないような人物に変わってしまった。その姿は、もはや人間ではなく鬼女である。 「祭囃し編」では、便所の糞ツボにたたき込まれたりしているのを鷹野一二三に助けられた三四だが、いっそあのまま、ウ○コの中に沈んでしまっていた方がよかったのかも(失礼)。そう思わせるような悪逆非道ぶりである。間違いなく、シリーズ中で最低最悪のキャラといっても過言ではないだろう。 それに対し、決してあきらめない梨花の心の強さは対照的だ。事件は、巻き戻された世界の中で、少しずつ真相を明らかにしながら進んでいる。どうも今残っている「祭囃し編」が最終になりそうだ。 ○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」 楽天ブックスの「ブログネタ」をブログで紹介して10万ポイント山分けに参加しよう
October 15, 2010
小市民を目指してどうしてもなりきれない高校生二年生の二人、小鳩くんと小山内さんを描いた、青春スイーツミステリー「夏期限定トロピカルパフェ事件」(米澤穂信:東京創元社)。「春期限定いちごタルト事件」に続くシリーズ第二弾だ。 二人は、一緒に行動していることが多いが、恋愛関係にある訳ではない。二人ともその性格と頭が切れすぎるために、中学時代共にいろいろとあったようだ。そのため、小市民こそ理想だとして、共に小市民を目指す互恵関係にあると言う設定である。だから、学校の外で、ましてや夏休みに会うような必然性は全く無いはずなのに、なぜか、小鳩くんは、小山内さんに誘われて、<小山内スイーツ・セレクション・夏>につきあうことに。つまりは、二人で夏休みの間に甘いもの屋巡りをする訳だ。 「今年の夏の計画を完遂するには・・・・・・、どうしても、小鳩君みたいな人がいて欲しいの」 ところが、実はここに、小山内さんが、大きな仕掛けを仕込んでいたのである。 小鳩君は、前作で、友人の堂島健吾にこう言っている。 「ぼくが狐だったとたとえるなら、あれは昔、狼だったんだ。」 しかしこの二人、狐と狼というよりは、息のあった夫婦狐のように見える。狼なら、智恵を使うよりは、もっと力技が出てきそそうなものだ。実は、小山内さんが、見かけによらず、カンフーの達人だと言うことなんていうことは全然ない。動作は素早いようだが、体はちっちゃくて、どう考えても肉体派ではないのだ。その分智恵の方はよく回り、ずる賢いといっても言いすぎではないだろう。そんな小山内さんは、まさに女狐といった表現がぴったりだと思うのだが(笑)。 今回のお話は、小山内さんの女狐ぶりがいかんなく発揮されている。しかし、これにより、最後に二人の関係に大きな変化が生じて、後は次回作のお楽しみといった終わり方だ。いったい、この二人、本当に小市民になれるだろうか。○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」(本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。)
October 14, 2010
ここは、備中高梁駅からそう遠くないところにある「安正寺」。備中松山藩主である板倉家の菩提寺であり、旧制高梁中学校発祥の地だということだ。夕方散歩中にたまたま通りかかったのだが、知らない街を歩くと言うのは、色々な発見があって良いものである。○関連過去記事・阿部神社(備中高梁市3)○ランキングの順位は? ○姉妹ブログ・文理両道・本の宇宙(そら)
October 13, 2010