津軽殺人事件
今日も、内田康夫の浅見光彦シリーズである。「津軽殺人事件」(内田康夫 :徳間文庫)を読んだ。「津軽殺人事件」(内田康夫 :徳間文庫) 今回の舞台は津軽弘前、そして、毎回の殺人事件を主食とすれば、今回の副食は太宰治である。 太宰については、「走れメロス」と「富士には月見草が良く似合う・・・」位しか読んだことはない。(早い話が国語の教科書に載っていたものだけですな。)ちょっと調べてみた。太宰は、1909(明治42)年、青森県の裕福な地主の家に生まれた。彼の人生は、一言で言えば挫折の人生だったようだ。東京帝国大学に進学するも除籍となり、1948年(昭和23年)に玉川上水で愛人山崎富栄と入水心中を遂げるまで何度も心中未遂や自殺未遂を繰り返している。心中の相手方だけ死んでしまったこともある。なんともはた迷惑な男である。デカダン的な作品で知られる反面、ユーモア溢れる小説も書いていたらしいが、彼の作品については特に興味は無いし、読んでみようとも言う気にもならない。なお、亡くなった日は桜桃忌(おうとうき)として有名であるらしい。太宰のことはこの程度で置いて,「津軽殺人事件」の話に入ろう。 東京のビジネスホテルで殺されたのは、弘前で古本屋を営む石井秀司。ダイイングメッセージは太宰の「ア 秋」という短編の一節、「コスモス、無残。マネク、ススキ。アノ裏ニハキット墓地ガアリマス。」。 光彦は、大学時代の友人村上の依頼により、弘前に帰っている石井の娘靖子と共に事件の真相を探る。 最初、太宰の肖像画がいかにも重要なキーワードのような書きぶりだったのに、あれはガセでしたって、それはないよね。 一言:愛情より友情