潰れる寸前か・・・
この業界も16年を過ぎると、色々なことを知ります。私がこれまで働いた旅館・ホテルは、5件。遠く長野の白骨温泉や、阿蘇。今はF県。この業界が長くなると、わけのわからない人間関係のつながり(業者さんの飲み会で肩組んで飲んだおじさんが有名な旅館の会長さんだったとか・・・)が出てきたりします。それはそれで楽しいのですがね~ 実は最近、阿蘇のホテルで働いていたことを彷彿とさせる出来事がありました。もう10年以上も前のこと。当時、私は20代前半で、Sちゃんんと知り合って間もない頃。バブルの影が見えてきた頃でした。その旅館は、某バス会社の子会社で、とても大きく、修学旅行も受け入れるくらい大きなものでした。しかし、私が入って間もなく、親会社の経営が芳しくなく、いずれこの旅館も清算されるのでは・・・と憶測が飛んでいました。当時の私は大阪の建築資材メーカーを辞め3年ほど過ぎていましたが、バブル絶頂期の異常な不動産業界を知っているだけに、退職金もなく放り出されるの???と恐々としていました。しばらくして、その旅館で人員整理が始まりました。世間で言う、早期退職者を募るものでした。その旅館は、多くの女性が仲居さんとして住み込みで働いていて、離れて暮らす子供に仕送りをしているとか、別れたご主人の借金を背負って働いているとか、身内がだれ一人といなく、ここが終の棲家と思って働いている人とか・・・本当にいろいろな事情の人が働いていました。「60歳以上の人は、少し退職金を上乗せするから、さ来月には辞めてもらいます」「希望」では無く、早期退職勧告でした。「人では足りてるよ。ほらっ、ここに若い子が二人もいる。大丈夫だからね」支配人は私とSちゃんを見ながらみんなに説明しました。『これって・・・おかしくない????』いろいろ反対運動とかしたけど効果はなく、終の棲家と思って働いていたBさんは、泣く泣くふもとの市営住宅に移りました。その後、その旅館にはおかしなことが・・・。 冬には30センチも雪が積もる山奥なのに、「忘年会は北海道直送のズワイガニ食べ放題。1泊2食9,000円!!」 少し前には1泊2食で1万5千円だったのに・・・。 広告を見たお客様が怒涛のように押し寄せました。 毎日毎日満室。宴会も毎日。300ある客室が1か月満室って異常過ぎました。 その後、早期退職勧告が55歳になり、私とSちゃんは考えました。『一番若い自分たちが辞めたら、先輩たちが少しでも長く勤めることが出来るかも』23歳になったばかりの私たちは、翌朝、今月いっぱいで辞めることを上司に告げました。でも時はすでに遅しでした。翌年、佐賀県で働いていた私は、Sちゃんから「あの旅館、潰れたんだって・・・」と聞かされました。数年後、今のだんなちゃんと旅館の跡地を訪れると、廃墟となっていました。 長いですが、つまり、今、私が働いている旅館も同じようなことをしているのです。定年を作るとか、山の上なのに蟹食べ放題とか・・・・・。 旬や地産地消などお構い無し。そして安易な値下げ。「原価を考えてサービスをしなさい」と言うけど、一番考えるのは「親会社」では?「潰れる道」を突き進んでいる気がします。 そうならない