日本大好き、好きです早稲田日記

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• 堀江君、それは君～捨てられたのだよ

  　永田町や霞ヶ関に関わっていると、「政治のさじ加減」というものを痛感するようになる。　例えばこうだ。ある問題が起きて、自民党首脳などが、ひっきりなしに警察庁長官や検察庁に対して、時に人脈、時に政治力を駆使して働きかけ、特捜部を動かそうとする。それが強制捜査でとまるか、書類送検で終わりか、略式起訴でお茶を濁すのかは、働きかける政治家の政治力による。　もちろん、そうした動きをする政治家が一人とは限らない。ことが国会議員の場合などは、派閥ごとの動きがあるし、政敵を貶めるためにタレこむなんてこともざらだ。　与党の議員が野党の議員を挙げようとする場合、与野党間での綱引きが生じる。西村真悟議員の場合は哀れだった。民主党で彼を守ろうとする動きは見られなかった。　ところがどうだ、例の山梨県教組ぐるみの政治資金問題、くだんの参院民主党幹事長、輿石東氏は意気揚々としている。　神奈川選出の那谷屋正義氏も同様だ。選挙の際運動員が金をばら撒いたのに連座制は適用されなかった。宮城の鎌田さゆり氏や今野東氏の時とは対照的だった。これは民主党の大物議員(といっても執行部ではないが)が検察に圧力をかけたらしい。どうも検察には「日教組はほどほどに」という不文律があるようだ。　さて、問題のホリエモンだ。昨年の衆院選で堀江氏を応援した自民党議員は、皆彼との過去を清算しようと躍起になっている。いやそれだけではない。あろうことか速めの捜査、逮捕を願った節がある。　春の大型連休頃やサミットの時期にはポスト小泉が本格化するし、株価への影響も今なら軽傷ですむ。何しろ予算成立後には株価は18000円を超え年内に20000円という予測も出ているくらいだ。来年の統一地方選、参院選を考えれば、早めに切っておいた方が徳だ。今ならくしゃみで済むが初夏から夏にかかると、少し重めの発作になるからだ。　つまりは堀江氏は自民党にとっては既に用無しとなった。堀江氏自身が、株価を上げるために選挙を利用したのだから、今更泣きついても仕方がない。お互いが利用しあったのだから恨みっこなしといきたい。　彼にとっては、武部氏らと会談した際、おとなしく会社役員を退いて立候補していれば、あるいは違った結果になったかもしれないのだが、時既に遅し、彼はそれを選択せず、そして選挙とマネーゲームに敗れた。　ホリエモンよ。今更「身に覚えがない。報道されている件は誰がどこで調べたかも分からないような代物」などと御託を並べずに、国民と株主に対して、少しは説明責任を果たせ。(以下引用)＜ライブドア＞堀江社長、ブログで初めて関与否定 (毎日新聞)　ライブドアの堀江貴文社長（３３）は２２日、自身の証券取引法違反容疑についてブログ（日記風の簡易型ホームページ）に「身に覚えがない。報道されている件は誰がどこで調べたかも分からないような代物」と記し、関与を初めて否定した。　堀江社長は１７日の会見で「全容把握に全力を尽くしている」と社内調査を実施する方針を表明。２０日には「資料が不十分で（調査結果を）公表できる段階ではない」とのコメントを出していた。【川辺康広】［毎日新聞１月２２日］

  2006年01月22日

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• ライブドアとスーパーフリー

  　いかんいかんと思いつつ、報道されるライブドア問題に、ついつい目がいってしまう。　特捜の強制捜査以降は、堀江人脈もその生い立ちから活動まで詳しく報道され、側近と呼ばれる連中の人となりがようやく分かりだした。　というか、これまでマスメディア自体が「美人広報」などという修飾句をつけて乙部綾子氏のみをクローズアップしてきた弊害については釘をさしておきたい。　最近の報道では、昨年の株主総会での堀江氏の涙やら、ライブドアの忘年会の様子やらが（誰がリークしたか知らないが）連日画面に溢れている。　比較するのもなんだが、だんだん馬鹿田大学のレイプサークル「スーパーフリー」と同じに見えてきた。近鉄買収騒動から、プロ野球参入、ニッポン放送買収劇から衆院選出馬、そして宇宙旅行企画などなど。　結局のところ、次から次へとメディアに露出して、様々なあの手この手のイメージ戦略で株主をかき集めて、その反面会社の内実は全く伴わない。「会社の時価総額を上げることだけ」が目的のいびつさ。堀江氏は自分はレイプなどしていないと怒るだろうが、投資家を欺き、敵対的買収で買収先と社員を冒し、今回の事件で日本経済をカオスに叩き込んだのだから罪は重い。　　もはや「ＩＴ産業」「ヒルズ族」などというカテゴリ分けでくくってしまうのは、真面目に事業を行いながら社会や株主にも成果を還元する企業に失礼な話であり、ライブドア問題は、堀江氏個人とその取り巻きの企業や経済、社会参加というものの捉え方に起因するものと限定しなければならないだろう。　堀江氏の顔と、スーパーフリーの和田氏、そしてオウム真理教の麻原氏とその側近たち、また組織経営とは異なるが、有栖川宮を語って詐欺を行った男女や、米国大学卒業を経歴詐称した古賀前議員などの面々と、オーバーラップして見えるのは私だけだろうか。　９０年代にバブルが終わり、バブル期を体験できずに遅れてやってきた３０代の起業家たちが、「夢よもう一度」と「プチバブル」作りにうつつを抜かし、自らの作った芝居小屋であたかもバブルが現実であるかのように演出する共同幻想、この事件は日本経済の回復期に咲いたあだ花であり、あだ花は早く摘み取った方が健全だ。　あるニュースでは、８００万人を超すというデイトレーダーの一人として、ライブドアショックで一日で三億円損をした２７歳の無職の人を取材し、一両日後に損害を全て株で取り戻したと伝えたが、そんな報道で個人投資家を煽ってはならない。　　メディア自身がバブルに浮かれているようでは国民をミスリードする。それだけマスコミにもこわもてのデスクやら、質実剛健のバンから報道局長がいなくなってしまったということだろう。

  2006年01月21日

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  藤岡弘先生からの年賀状

  俳優の藤岡弘先生から、年賀状を頂きました。激動の時代、人を思いやり、いたわり、慈しみ、奉仕、尊敬、感謝の心を…未来に責任を…そこに光あり悠久なる時を越え受け継がれる歴史の声に耳を傾けよ！伝統文化の継承の中に活路あり！藤岡　弘

  2006年01月19日

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• スカパーよくばりパックに韓国専門チャンネル追加か？

  　韓国紙「中央日報」は１３日、韓国ＫＢＳ放送が、日本のＣＳ放送のパックセットの一つとして加わることで交渉していると伝えた。　外国専門チャンネルが、共通パックセットに入るのは珍しいこと。　現在、韓国語放送のほかに、中国のＣＣＴＶなどが外国語放送チャンネルとして月額３０００～４０００円程度別途視聴料金がかかる仕組みとなっているが、韓国ＫＢＳが扉を開けば、ニーズは大きい。　在日外国人だけでなく、中国、ブラジル、フィリッピンなどの文化、政治、暮らし、音楽などに関心を持つ消費者は多いが、視聴料金の高さが敷居を高くしてきた。　なお、かつて朝鮮中央通信やアルジャジーラの進出が話題となったことがあるが、政治的過ぎて認可が下りなかったとの説もあり、詳細は不明。（以下引用）ＫＢＳ、日本衛星テレビにチャンネル開設...３月から放送スタート 公営放送・ＫＢＳテレビ（韓国放送公社）が日本の衛星テレビに進出し、今年３月から放送を開始する。 ＫＢＳの日本現地法人・ＫＢＳジャパンは、１３日「ＫＢＳワールドチャンネルがスカイパーフェクト・コミュニケーションズ（スカパー、日本全域に放送、視聴世帯３２０万）のチャンネル７９１として、今年３月１日から２４時間の有料放送をスタートし、４月からは同テレビの代表チャンネルを一つにくくった『共通チャンネル』に進入する」と伝えた。 １９０のチャンネルのうち６８の代表チャンネルを集めた「共通チャンネル」に入れば、別のＫＢＳワールドチャンネルを申請しなくても、月３５００円の視聴料を納めた視聴者ならば自由に見ることができる。外国語テレビのチャンネルが、スカパーの共通チャンネルに進入したのはＫＢＳワールドチャンネルが初めて。 金玄基（キム・ヒョンギ）特派員 2006.01.13 18:51:51 「中央日報」インターネット日本語版

  2006年01月15日

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• またぞろノストラダムスの大予言

  　ノストラダムスの大予言が、再び脚光を浴びているそうな。　いや、脚光を浴びているというより、いわゆるその手の話を生業にしている人たちが、１９９９年の７月ではなく、実は２００７年の話なのだと言い出したんだそうな。　それらの人々によれば、今度は「鳥インフルエンザ」が大流行するとか、温暖化や異常気象により、昨年以上の台風やハリケーンに見舞われるとか、巨大地震が頻発するんだそうな。　眉唾系オカルト出版社のお抱え執筆者ならともかくも、大学教授の肩書きを持つ人も騒いでいる。　異常気象は今に始まったことではない。鳥インフルエンザも深刻だし、新型の流行が７の年から８のつく年に起こることは科学的根拠がある。また、大地震への備えは怠れない。しかし、それらは科学的根拠によって啓蒙すべき事柄で、ノストラダムスの手を借りなければいけないところが涙を誘う。　もちろん、わが国は言論出版は自由なわけで、いかなる言説を発表しようと勝手なわけだが、テレビやクオリティーペーパーが取り上げるとなると、話は別だ。　「ならば見るな」「チャンネルを変えろ」とのお叱りが飛んできそうだが、民間放送といえど、「公共の電波」を使用している以上、テレビ局には注意を喚起したい。　ノストラダムスに限らず、心霊現象や怪談話は特番恒例だし、朝のニュースの終わりには、各局占いを挿入するのが日常だ。　宗教に寛容な民族性の表れといってしまえば聞こえは良いものの、ではわれわれどれだけ日本と世界の神々や仏について知っているのだろうか。　おそらくは「宗教」と聞いただけで普通の若者たちの反応は「年配者や弱い人がすがるもの」「危ないもの」「自爆テロなどの狂信者」といったネガティブなものしかかえってこないだろう。　そうした若者が週刊誌を買えば占い欄はチェックし、スナップ写真に不可思議なものが写りこめば心霊写真といって大騒ぎし、欧米に観光旅行をすれば教会や歴史的遺物の前であたりかまわず記念写真を撮り、巷ではクリスマスともなればサンタが溢れかえるのだ。　つまり、本来社会人として身につけるべき宗教や、民俗伝承に関する理解と、現実の日常生活で垂れ流されている情報との間に、驚くほどの格差があるように思えるのである。　毎朝のニュース・ワイドショーの終わりに流される「今日の占いカウントダウン」だの「今日のわんこ」だのに変わって、「今日の寺社仏閣」を流し、心霊現象とかオカルト番組の変わりに「○○の聖跡」といったものを流す方がよほど国民の精神の浄化に役立つし、地域の村おこし町おこしにもつながるだろう。　毎年二兆円ものスポンサー料を国民は商品代金という形で間接的に払っているのだから、声を大きくして要求しようではないか。　　

  2006年01月06日

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• 偽装問題に思う

  　耐震偽装問題は、越年しますが、宮城出身者として気になるのは、宮城コネクションの有無。　姉歯建築士は、宮城県の古川市出身。　ヒューザーの小嶋社長も古川市出身。　二人に何かつながりがあるのか。　それはともかくとして、これまでの日本では考えられなかったような事件、事故が多発した一年。　もちろん、手抜き工事や、さまざまなごまかし、詐欺行為は今も昔もありましたが、それを浄化して余りある実直な人々が日本社会を支えていました。　そうした人たちが少なくなったということでしょう。中国人留学生が、「日本ではこんなことがニュースになるのか」と驚いていましたが、振り子を元に復元する力、是正する力をつけなければ、と痛感する年の瀬です。　思えば、戦後日本は、鉄筋を間引きしながら、外装だけを美しく装ってきたマンションのようなもの。　やれ子供の人権だ、男女共同参画だ、個性の尊重だ、と上っ面を厚化粧しながら、血肉となる部分をおろそかにしてきたため、エイズの蔓延と、性感染症の低年齢化、ニート、フリーター、引きこもり、治安の悪化、公務員のヤミ年金やヤミ専従、異常な手当て、またゆとり教育から果ては子供の個食、孤食や体力低下まで、いわば社会生活を維持する上での基礎基本を放り投げてきたようなもの。　平成１８年は、まさに国家のあらゆる分野で基礎基本を定めなおす年としたいものです。

  2005年12月31日

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  劇団四季「南十字星」

  １２月２５日、クリスマスの日、劇団四季の「南十字星」を見た。昨年の初演に引き続き二度目になる。昭和の歴史三部作中、二作目の「異国の丘」を既に観賞した後、今年が終戦六十年であるということであり、自分自身はやる気持ちで竹芝の四季劇場へ向かった。「南十字星」のあらすじはこうだ。主人公の保科勲は京大卒業後、徴兵された学徒上がりの将校。インドネシア進駐後に軍政に携わり、インドネシアの独立運動指導者たちを支援する。だが、戦局の悪化に伴って、大本営の占領方針と、インドネシア側の要望とに齟齬が生じ、そのはざまで苦悩する。また拘束したオランダ人捕虜に対しても善意で接しようと努力するが、彼の真意は理解されずに返って反目が強くなる。やがて日本の敗戦とともに、オランダとの立場は再度逆転、日本は占領行政の数々を戦争犯罪として処断される側に回る。日本の敗戦を独立達成へのラストチャンスと考えたインドネシア人は、一気に独立へと踏み切り、再占領を目論むオランダ・連合軍との激しい戦闘状態に入る。しかし現地人には武器がない。作戦指導できる幹部がいない。頼みの綱は降伏した日本軍だった。かつてアジア解放を戦争の大義の一つに掲げた現地日本軍はその中で揺れ動く。保科の義兄原田大尉は、インドネシアへの武器譲渡を進め、自らも軍事顧問として独立戦争に身を投じるが、部隊に残った保科は武器横流しについて責任を追及される。戦犯として身柄を拘束された保科は、オランダ人捕虜に対しての収容所内での不当な虐殺の咎、更に武装解除に応じず武器を横流ししたかどで訴追され、死刑宣告を受ける。舞台は、絞首台に向かう保科が、未来の日本の若者へのメッセージを語り、刑を受けるところで終わる。あらすじはざつとこうなるが、ここに主人公保科とインドネシア人との間の淡い恋が盛り込まれ、果たせぬ恋が涙をさそうというありがちのパターンだが、こうした話は事実いくらでも起こりえた例があり、違和感はない。しかしながら、なんとも、ミュージカルに仕立て上げるのには重苦しいテーマであり、上演に踏み切った浅利の情念には感服する。一方、このミュージカル「南十字星」にはインドネシアの民俗音楽である、ケチャやガムランもふんだんに盛り込まれており、インドネシアの民族の多様性と、文化の奥深さを楽しませてくれ「豪華絢爛」「異国情緒たっぷり」というフレーズが容易に口をつくのだが、いかんせん、全体に占める比重が大きすぎた。いわゆるミュージカル特有の「覚えやすいナンバー」「耳に残る旋律」というものが乏しいために、そこだけ特異な印象を受ける。「僕たちこんなにがんばりました」という趣きが観客に伝われば、一気にしらける危険性をはらんでいる。そのことが、ますますこの舞台を重くしている。この点は前作「異国の丘」と異なる点であった。果たしてこれも演出家浅利慶太氏の狙いなのだろうか。もともと、劇団四季の他のミュージカルは小気味のよいナンバーを数々おり込み、多数のリピーターを生み出してきた。「南十字星」の場合、何度も足しげく通うというのは、おそらくは四季愛好者の中でも比率として小さいはずだ。興行的にリピーターや、口コミでの拡大ということを、はなから度外視しているということなら、なおのこと浅利の熱意が突き動かした産物だということができよう。さて、主演の保科勲役を演じたのは阿久津陽一郎。25日深夜の日本テレビ系「ドキュメントNNN’05」で、阿久津の役作りとBC級戦犯問題を取り上げた番組が放映された。役作りに苦しむ阿久津がBC級戦犯裁判を知る教誨師をたずねるシーンもある。また演出家の浅利氏がリハーサルでこの演目はもっとドラマティックだと指導し、今の若者は過去の書物を読もうとしないと嘆いていた。　番組中、役者たちが役作りに苦慮している舞台裏が紹介されていたが、成る程と思った。実際、出てくる役者がおしなべて台詞を棒読みしていたからだ。劇中、配役の大学教授によって途中途中に挿入される、第二次世界大戦の戦況解説も、台詞が自分のものになっていないから、やたらと説明口調だ。長々とまくし立てるから聞いているほうはついていけない。初日から一週間なので、こなれていないといってしまえばそれまでだが、役者が乗り切れていない点には理由があると思う。一つは、先にあげたなじみやすいナンバーが乏しいということが挙げられるだろう。保科とインドネシア人の悲恋にまつわる歌曲の少なさによって、演じる役者自身が感情移入できていない。役者が役に徹し切れていないものを見せられても観客は心打たれないという悪循環につながる。もう一つ重要な点がある。戦争当時日本が掲げた「大東亜共栄圏」「アジアの解放」、遡って大航海時代から約四百年にわたる西洋によるアジア抑圧の悲劇と、日本の明治維新以降の大アジア主義への理解不足である。今日「大アジア主義」とか「大東亜共栄圏」という言葉は、戦時プロパガンダの一つ、アナクロニズムの代名詞としての役回りしか与えられていない。しかし筆者の視点はいささか異なる。二十世紀の様々な東西政治思潮を省みたときに、「共産主義」「全体主義」「冷戦」「イスラム原理主義」などのフレームの一つに「大アジア主義」という言葉は加えられてしかるべきだと常々考えている。世界史上、最も早く共産主義の危険性に気づき、これと対峙し続けたのはアメリカではなく日本であったし、十九～二十世紀初頭に「アジア」という空間を単に地域としてではなく、歴史的、文化的、人種的タームとして捉え、これを積極的に打ち出し、西洋に対するアンチテーゼとして行動したのもほかならぬ日本であった。そのことは、もっと評価されるべきであるし、歴史や公民の教科書において重点を置くべきであると考える。　この点、戦後の歴史学界は社会主義・共産主義シンパ勢力の牙城であったため、今日に至るまで国内における研究はお寒い限りとなってしまった。教育界や主要マスメディアにおいても同様である。このような積み重ねが、今日、戦争を、ことに大東亜戦争という日本側の姿勢を演ずるときに、役者が役を演じ切れない要因となっていはしまいか。なぜ日本が開戦以前から数多くの国々の独立の志士を受け入れ、これを支援していたのか。なぜインドネシアをはじめとする東南アジアでは「ジョヨボヨ伝説」など、解放者への憧れが強かったのか。なぜ数千名の将兵が敗戦後も現地に滞留し独立運動に命を捧げたのか。なぜオランダ人は「かくも」日本人への憎悪を抱いているのか。などなど……。役者が役作りに苦労しているというその淵源に、戦後思潮の呪縛があることに、果たして浅利慶太自身は気づいているのだろうか。このあたりの問題が解決すれば、死刑台上の保科の今際の遺言も、もっと奥深い言葉になったに違いない。ヒロインの歌う「ブンガワンソロ」と、インドネシア民衆の「インドネシアラヤ」だけが、いたく心に残った公演であった。(余談)公演内容とは関係ないが、クリスマスのせいなのか、観劇マナーの悪い客が目立った。歌の最中に中央前列で席を立って移動するわ、一シーンごとに感想をぺちゃくちゃおしゃべりするわ、コンビニ袋をカシャカシャ鳴らして食べ物を口に運ぶわ。映画館と違うということにまるで配慮がない。ことに家族ぐるみとか、ツアーの一環として「はじめて劇団四季を見に来ました」、といった見るからに観劇初心者のてあいにはほとほと泣かされた。年齢の高低を問わず、客席マナーが年ごとにひどくなっているのが嘆かわしい。このあたり、昨今、電車内でべたっと床に座り込んで談笑する若者たちや、平気で化粧をする女性(中には電気シェーバーでひげをそる男性もいる)が当たり前の世の中になっていることとも無縁ではあるまい。しかしながら、「公」と「私」、「国策」と「個人の良心」という深刻なテーマと密接に向き合うことが必要な、この「南十字星」の客席において、あくまでも個人の欲求・都合で行動した観客の存在は、ある意味滑稽、ある意味劇中の悲喜劇ともいえるものであった。私個人としては大枚はたいて見に来たのに、「環境が悪すぎるが、これも運命に翻弄される個人の小さな感情として享受するしかあるまい」と割り切るのも立つ瀬がないが、高い授業料を払って平成日本の国民道徳の一段面を学んだといえなくもない。このように、なんだかんだと批評してきたが、千秋楽までのあいだに、浅利の真意を解くため、また演技の完成度を確かめるためま、再度四季劇場へ足が向くかもしれない。さて、三部作中の第二作「異国の丘」は２月１２日から京都劇場で公演するとのことである。「異国の丘」への渇望感が高まるこのごろである。

  2005年12月28日

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• 年の瀬の安全確認。自己虫が起こした事故は極刑に値する。

  　今年一年、公共交通機関や自動車による不意の事故という理不尽な出来事によって奪われた命は数知れない。また旅客機の整備ミスの問題も連日報道された。　交通手段の安全確保と、不意に襲う日常の死について考えさせられる一年だった。　先日の羽越線の脱線事故は記録的な寒波の影響が大きいが若い年齢層の方が多くなくなられているだけに痛ましい。　宮城県では、今年相次いで自動車関連の暴走事件が起きた。４月には、自殺志望の運転手が、トラックを商店街で暴走させ、７人の死傷者が出た。トラックごと港で入水しようとしたが死に切れず、人をはねることで死刑になろうとしたと伝えられている。　５月には、仙台育英高校のウォークラリーの列に、泥酔した４駆が突っ込んだ。同僚と車で飲みに出かけてはしごし、泥酔状態での居眠りだった。同僚は助手席で寝ていた。本人の弁では「この程度なら大丈夫」というものだが、酔っ払いに自分が大丈夫か大丈夫でないかなど判断できるわけはないし、そのような理屈は認められない。４駆の事故では、中の乗員は守られるが、はねとばされた人間はたまったものではない。　そして、今回、またしても商店街での暴走事件が起こった。この仙台市の中央道り商店街で起こった自動車暴走には、激しい憤りを感ずる。　今年４月に自殺願望のあるトラック運転手の暴走で死傷者が出たばかりだ。しかも今回の容疑者は、前回の事件の報道を知って真似たとの供述もされている。たちの悪い模倣犯によって、年の瀬の繁華街は、またしても修羅場と化したのである。　仙台市の「中央通り商店街」は仙台駅前からスタートし、１キロほどの距離を歩いたところで「一番町商店街」とＴ字で交差する。仙台市の商店街としては一番のメインストリートであり、老舗と、東京から出店したチェーン店がほどよくミックスしている東北でも随一の場所である。路地を一本入ると夜の歓楽街国分町に抜けられるし、隠れ家的な店にも事欠かない。　１月２日には、恒例の初売りがおこなわれ、福引や老舗のお土産に長蛇の列ができる。８月に開催される仙台七夕では、各の店が七夕飾りを店先に飾る。定禅寺通りジャズフェスティバルでは、全国から駆けつけた音楽家たちが、商店街のあちこちでジャズや民俗音楽を奏でる。アジアからの松島や東北温泉ツアーの際、中国や韓国の観光客が散策するのもこの商店街だ。　こうした身勝手な運転手の行為には、厳罰を持って臨んでもらいたい。しかし、自殺願望のあるものに対しては、困ったことだが、自衛手段を強化するしかないだろう。　１年に２回の凶行には、商店街に気の緩みがあったと指摘されても仕方がない。前回の事件を教訓に「プランター」を設置したというが、運転手がいわば死を決した自爆テロのように暴走すれば、公園などに置かれているプランターでは軽く跳ね飛ばされてしまう。商店街の景観や、通行人の動線確保などの課題はあろうが、それこそ簡単な車止めから米軍仕様のものまで検討してもらいたい。　以前、韓国でも地下鉄内で灯油を撒いて焼身自殺を図ろうとした事件があったが、わが国でも他人を巻き添えにする事件が増えてきているように思う。統計上の数字は分からないが、皮膚感覚として尋常ならざるエリアに立ち入っているような気がしてならない。池田小学校の殺傷事件でもそうだったが、宅間被告も確か「死刑になりたくて起こした」といっていた。　最近の日本人のメンタリティーが変わり始めたのだろうか。何故他人を巻き添えにしなければならないのか。どうして人知れず、一人で岬から飛び込むことができないのか。　ネット自殺というのもそうだ。有志を募って集合して山野の車中で練炭を炊いて死ぬ。戦後の一時期まで見られた身分の異なる恋仲の男女が、かなわぬ恋で心中するのともわけが違う。　この問題、早期に解明して教育にフィードバックしなければ、いつ何時、自分や自分の家族が犠牲者になるかもしれない。そう考えると、うかつに商店街も歩けないこのごろだ。(以下引用)仙台育英高生１８人死傷事故　被告に懲役２０年求刑　宮城県多賀城市で５月、仙台育英学園高校の生徒の列に乗用車が突っ込み３人が死亡、１５人が重軽傷を負った事故で、酒を飲んで正常な運転ができないことを知りながら車を運転したとして危険運転致死傷罪に問われた同市山王、解体工佐藤光被告（２６）の公判が１２日、仙台地裁（卯木誠裁判長）であった。検察側は「事故を起こすかも知れないと思いながら運転したことは無差別殺人に匹敵する」と述べ、佐藤被告に同罪の最高刑に当たる懲役２０年を求刑した。 　佐藤被告の弁護側は最終弁論で「被告は飲酒後、足がふらつくこともなく注意して運転すれば家にたどりつけると考えていた」として、危険運転の故意はなく、泥酔状態での事故などに適用される危険運転致死傷罪にはあたらないと、無罪を主張した。 　検察側は論告で「被告は運転中、青信号でも停止し続けたり、蛇行運転をしたりしていることを自認していた」などと、佐藤被告が酒に酔ったことを自覚しながらも運転に踏み切ったと指摘。そのうえで「被告の車は飲酒の影響で制御できず、走る凶器と化していた」とした。 　公判はこの日で結審し、判決は来年１月２３日に言い渡される。 　起訴状などによると、佐藤被告は５月２２日、仙台市内などで飲酒したあと、乗用車を運転。午前４時ごろ、ウオークラリーで多賀城市内の国道を横断中の仙台育英学園高校生らの列に赤信号を無視して突っ込み、３人が死亡したほか、１５人にけがを負わせた。2005年12月12日11時06分(asahi.com)　酒を飲んでハンドル握ること事態を危険運転致死罪にできないものか。　

  2005年12月26日

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• レコーダーもテラバイト時代へ

  　かつて「日本電算機」だったであろうか。８チューナー内蔵で、２５０ギガのＨＤＤを８台乗せた２ＴＢのビデオレコーダーがあった。価格は１００万円程度だったと思う。　どういうユーザーが購入するのか、おそらくは広告代理店とか、大広告主とかが、自分の企業のＣＭが確かに放映されているかどうか確認するために導入しているのだろう。そうしたサービスをしてくれるビデオ屋があるという話も聞いたことがある。　いずれにせよ、いくらコアなユーザーでも１００万という価格は手が出ない。　それから２年、民生用のビデオレコーダーもいよいよテラバイト時代に突入した。　一方の雄は、東芝ＲＤ－Ｘ６Ｔ１である。東芝のレファレンス機であるＲＤ－Ｘ５をＢＳ・ＣＳデジタルチューナーを載せ、それまでの５００ＧＢから１ＴＢへと倍増した。これからのハイビジョン時代のレコーダーを牽引する役割を担う。　もう一方は、ソニーのＸビデオステーション。４チューナーか、８チューナーを選べ、２ＴＢまで拡張できる。バイオなどパソコンとの連携を前提とし、ＤＶＤは搭載していないが、バイオに転送して書き出すことができるという。録画レートを落とせば、約三週間にわたって全てのチャンネルを２４時間録画し続けることができる。　これがあれば、急な残業も、見逃した特番も恐れることはない。コクーンの発展系とも言えるが、返す返すも残念なことは、スカパーと連動する端子を搭載していないことだ。　東芝機にも不満がある。いくら容量をふやしても、予約録画の件数が４０～６０件程度では、２～３日おきに予約を書き換えなければならない。それは煩雑だ。確かコクーンでは１５０件程度予約できたはずだ。　ハードディスクが大容量、低価格になるに従って、ビデオレコーダーのディスク容量も４０＜６０・８０＜１２０・１６０＜２５０・４００＜５００・６００と増量の一途をたどっている。　その一方で、リモコンをはじめ操作画面の利便性は必ずしもよくなっているとは言えない。　コクーンがシステムエラーによるハードディスクの完全初期化を余儀なくされたように、こうしたハードディスクのトラブルの事例は、ソニーに限らず今後も増加するであろう。　メーカーには、大容量化に伴い、アフターサービスも比例するように望みたい。

  2005年12月25日

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• ｉＰｏｄの進撃は来年も続くのか

  　この一年を振り返ると、ＡＶ（オーディオ・ビジュアル）業界では、携帯プレーヤーの大躍進が進んだが、特にｉＰｏｄの大進撃が目を見張るものがあった。　昨年秋の「ｉＰｏｄミニ」の発売に始まり、今年の春には、「ミニ」の大容量化、バッテリー持続時間の改善が図られた。さらに、「ｉＰｏｄフォト」によるカラー液晶導入、「ｉＰｏｄシャッフル」によるハードディスクを使わないタイプが市場に投入された。８月には「ｉＴＭＳ」が始まり、いきなり１００万曲のライブラリからダウンロードできるようになった。すぐさま「ｉＰｏｄナノ」が投入され、薄型、カラー液晶、メモリタイプが市場を席巻した。そして秋の「ビデオダウンロード」や、ミニ放送局として個人や企業が音声のコンテンツを公開する「Ｐｏｄｃａｓｔ」が始まり、新しいスタイルでのラジオ番組や情報番組の聴き方が生まれた。　筆者は、落語や、読売新聞ニュース、ジョンカビラのサッカー情報を楽しんでいる口である。　その一方で、めまぐるしく変わるために困ったことも起きている。　例えば、様々な規格が混在しているために、保護ケースなどは、どれを購入したらよいか分からないという不便も生じている。旧い型で通用した、外付けマイクなど新型には未対応のものも多い。サードパーティーとしては、その都度新しい規格に合った製品を開発しなければならず、どこまで体力が持つか心配だ。　新型の「ナノ」は聞くところでは、ボイスメモには対応していないという。旧型を使い続けるしかあるまい。　この一年のアップルの戦略は、一見リーディングカンパニーとしての横綱相撲のようにも見える。　しかし、どこまで既存ユーザーをサポートしてくれるのか不安が残る。　ジュークボックスソフト「ｉＴｕｎｅｓ」が圧倒的な快適な使用感を確保している以上、アップルの優位性は動かないともいえるが、新製品投入のペースはもう少し、スローダウンしたほうがユーザーに飽きられることもなかろう。　現状は、アメリカの大物量作戦による絨毯爆撃と艦砲射撃により、ソニーを始めとするアジアのメーカーは塹壕に釘付けになっている状態だが、２００６年には、この状況に変化が生まれるのか注目だ。

  2005年12月22日

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• 藤原歌劇団の「蝶々夫人」再演

  　粟国安彦演出の藤原歌劇団「蝶々夫人」が平成１８年２月の３～５日、上野の東京文化会館で公演される。　粟国演出は２１年ぶりだ。　筆者は、昭和６０年の公演を聞いた。蝶々夫人は佐藤康子だったか、渡辺葉子だったか記憶が定かではない。どちらにしても当時の日本オペラ界にとって望みうる最良の蝶々夫人であったことは間違いない。　粟国氏の演出は、シンプル且つ正統なもので、少しも奇をてらったところがない幕末維新の日本の風景を的確に抽出したものだった。　プッチーニ作曲の「蝶々夫人」には、随所に日本の旋律が出てくる。「さくらさくら」「越後獅子」「君が代」などが登場し、プッチーニ特有の旋律美もあり、オペラ初心者にも聞きやすい。　問題は演出である。初演にしてから大失敗、一日で打ち切りといったいわくつきだが、それよりも問題は日本の描き方である。デフォルメされた着物や建築物、土派手な化粧と、西洋的な大げさな立ち居振る舞い。そして終幕の「恥に生きるよりは、名誉のために死ぬ」という蝶々夫人の自害シーンの過度な演出。「演奏は素晴らしいけど、演出がね」といわれやすいのが「蝶々夫人」であった。　そうした中で登場したのが日本人演出家による「蝶々夫人」である。　有名な演出は劇団四季主宰の浅利慶太演出だが、粟国安彦演出も八十年代の演出では双璧だった。　惜しむらくは粟国氏は平成２年、４９才の若さでこの世を去ったことである。あまりにも早すぎた死に、当時その夭折を悼む声が各界から寄せられたことを覚えている。　生前粟国氏は、藤原歌劇団や昭和音楽大学で、多くの若者たち後進の指導に当たった。今はその遺志を、忘れ形見の粟国淳氏が継いでいる。海外経験も長いが、沖縄南大東島出身の父の血を引く風貌は、太い眉と天然パーマが印象的。　　２１年ぶりの粟国演出の再演は、二時間半の上演時間をおとぎの国の日本へといざなってくれることだろう。　千秋楽翌日は、粟国安彦氏の生誕６５周年。きっと素晴らしい公演になるに違いない。　

  2005年12月20日

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• 今年の映画ベスト・ワースト

  　今年公開映画の上位下位それぞれ５位をリストアップワースト５１位　ステルス　　　Ｃ級戦争映画の極めつけ。青春映画に特化するか、特撮映画に特化するか中途半端なところ。ボケとツッコミどころ満載。空中給油機が飛行船もどきなのには笑える。悪役ステルス機が終盤改心するのには泣ける。「ステルス機」は「捨てる隙」。２位　亡国のイージス　　　見掛け倒しの仮想戦争大作。北朝鮮の工作員を「北朝鮮」と呼べないところに限界。真田博之が衛星に手旗信号で合図を送る様は、なんとも日本的「竹やり突撃」の情緒が溢れる。この落ちは、ニコラスケイジ主演の「ザ･ロック」をパクって、スケールダウンしたもの。小説を読まないと分からない描写が多く、思い切って削除した方がスピーディな展開になる。途中途中の回想シーンなど急ブレーキを踏む見習い運転士のようなもので、乗客のことを考えていない構成。３位　蝉しぐれ　　　ほとんど盛り上がりらしい盛り上がりもないまま終わるという珍作。原作を二時間程度にまとめるのには無理があった。ふかわりょうや今田耕司のキャスティングも必然性がない。あまりにも淡白。４位　宇宙戦争　　　崩壊家庭の親子を描くことにどんな意味があったのか。トムクルーズの息子訳、ロビン、パニック障害のダコタハミングは終始父親にたてつき続けている。宇宙人の攻撃よりそちらが気になって仕方ない。「宇宙戦争」とは名ばかりで、「家族戦争」と改名すべき。宇宙人襲来のさなかに、よく喧嘩していられると感心する。ひたすら逃げ回ったあげく、旧作と同じ落ち「細菌・微生物による生物感染」で大団円。割り切れなさが残る。現代科学技術の粋を結集した米軍でもできなかったことを、名前も知らない細菌･バクテリアが退治して見せた。　この映画、キリスト教的な「万物を支配する人間」という価値観を、微生物の力を借りる事によってガイア理論のような自然観・地球観に、アメリカの象徴たるハリウッドがわずかながら理解を示したとも取れるが、それは深読みか。戦闘場面の描写が少ないのが残念。５位　フォーガットン　　　失踪した子供の記憶や記録が、周囲の人々から消去されていく中で、母親だけが子供の「存在」を信じ続け謎解きに迫るという、ＳＦサイコスリラー。問題の失踪事件を起こした「宇宙人」の意図がしまいまで分からないで、子供が取り戻される。悶々とした感情のみが残る。ベスト５１位　ALWAYS三丁目の夕日　　　堤真一の父親役、薬師丸ひろ子の母親役が光る。２０ほどのエピソードが盛り込まれているが、過不足なく味わい深い。一平役、準之介役の子供も要所を占めている。時代考証、ガジェットの配置も秀逸。当時を生きた世代が追体験できるもの。一つ一つのシーンで家族や同世代で対話ができる作品に仕上がっている。道徳教育の教材にも使えるレベルの高いもの。日本映画がハリウッドを目指さなくてもよい部分をうまく描いた。２位　ローレライ　　　「亡国のイージス」と異なり、潜水艦という狭い空間での限られた人間心理を中心としているため成功。キャストもよい。潜水艦に女性が乗り込むことの是非や、潜水艦の艦砲でＢ２９を撃墜することへの違和感を感じる人もいようが、実話ではないので気にするほどではない。樋口真嗣監督の画作りの細かさが随所に現れている。３位　スターウォーズエピソード３　　　10年20年の視聴に耐えられる。古典的なストーリー展開だが、安心して視聴できる作品。人間の弱さ、はかなさ、もろさ、そして強さ、愛深さ、自己犠牲、信念が全て盛り込まれている。４位　アイランド　　　「マトリックス」的な世界観、「ソイレントグリーン」「ブレードランナー」的な終末観に、アメリカの商業主義のスパイスをかけたもの。５位　ナショナルトレジャー　　　　宝探しものは、これまでも多数あるが、アメリカ合衆国建国という近代をテーマとしたところがみそ。確かにありうるかもしれないと考えさせられる。二百数十年前の出来事が伝説を生み始めたということか。

  2005年12月20日

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• チャンネルサーバー「コクーン」故障の顛末

  　「システムにエラーが発生しました　エラー1800」。悪夢の始まりである。　500ギガバイトのHDDを内蔵したソニーのコクーン。この二年間というもの、休むことなく律儀に毎日15時間は働き続けてきた。　途中、正月に番組表をダウンロードできなくなり、二週間程度の植物状態があったが、直感的に操作でき、DVDを内蔵していないことなど問題にならないマシーンであった。番組表の検索も抜群だった。　ところが突然のクラッシュ。　メーカー修理担当に寄れば、ハードディスク上にあるソフト書き換えなどのため、250GのHDDを交換し、500G丸ごと初期化するとのことで、つまり中のものは全て吸い出せないということ。　スカパーで撮りためた約100時間のデータが一瞬にしてパーである。ほとんどがフジテレビ721と739の十年ほど前のバラエティだが、今後再放送が何時になるか分からないだけに痛い。　ディスク換装代、技術料込みで約40000も高すぎる。「だから言わんこっちゃない。バックアップしないと」と人は言う。　しかし、そもそもコクーンはバックアップを前提としないために500ギガものディスクを乗っけてるはず。ディスク壊れるの早すぎまっせ。　それならソニーさんDVDコンパチ機の新型コクーン出してよ。　容量は1TB程度。スカパー連動で、BSデジタルチューナー、地上デジタルチューナー内蔵で、PSPにも書き出せるようにして。　絶対売れると思うんだけどなあ。　　

  2005年12月18日

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  劇団四季、昭和の歴史三部作いよいよ佳境

  　劇団四季というと「ライオンキング」「キャッツ」などの、老若男女楽しめるミュージカルが有名だが、終戦六十年の今年は、これまで過去上演した「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」の三部作を順次再演している。　この12月18日からは、いよいよ最終の「南十字星」の公演が始まる。　「李香蘭」は、戦時中、映画俳優として満洲を中心に活躍し、五族協和、王道楽土といった日本の国策を宣伝する役割を担ったために、終戦後に中国側から反逆者として裁かれる李香蘭、実は日本人の山口淑子をモデルとしている。(残念ながら、見そこねてしまった。)　「異国の丘」は同名の国民歌謡にあるように、日本の降伏の後、侵攻してきたソ連軍によって強制的に拉致されたいわゆる「シベリア抑留」の日本人のうち、支那事変のさなかに日中和平に奔走し、夢ついえて囚われの身となり、やがてソ連の対日工作を拒み毒殺された近衛文麿の子息、近衛文隆を、不撓不屈のプリンスとして描く。　最後の「南十字星」は大東亜共栄圏の大義を信じて、インドネシアでの軍政に従事し、日本の敗戦後、インドネシア独立の為に日本軍の武器を住民に渡した罪で戦犯として処刑された青年将校の物語である。　この三作品、単純な反戦平和作品には終わらないところがみそである。　戦争の理不尽さや、国家の冷酷さ、人間の信念のはかなさやもろさを叫ぶのはたやすい。　現にこれらの作品の中には、自己の保身や、相手を貶めようとする醜い人間も大勢出てくる。　これらの作品が従来の反戦映画などと異なるのは、そうした醜い人間というものは、日本に限らず、どこの国にでもいるのだという、至極まっとうなことを、まっとうに描いていることだ。　そして、戦争という運命にあらがいながらも、国家と自らの関係を位置づけようと苦悩し、自らの信念に忠実に、積極的に生きよう(死のう)ともがく人々の言葉や祈りを、現代の我々に呼びかけている。　こうした歴史認識は、演出家の浅利慶太自身が語っている。　氏は、「先生はこれらの作品を通じて戦争反対を訴えていらっしゃるのですか」と質した俳優に触れ、「私は戦争ならなんでも反対というような、単純な反戦論者ではない。人間の歴史の中には、戦わなければならない戦争もある。外国が我々の国土を軍事占領し、民族を隷属させようとしたらどうだろう。当然、武器を取って立ち上がり、家族を、民族を、祖国を護るために戦う。侵略者を撃退し、二度とそうした事態を招かないようにしなければならない。そのためには命も捨てる。これは私自身が日本人であるための最低の覚悟だと思っている。ナチズムやテロリズムのように、無辜の市民を襲う暴力に対しても戦うだろう」(公演パンフより)　と語っていることからも分かる。　その上で、政治の中枢にあって国策を定め、情勢判断をなす政治家に対しては、召集令状を受け取り、戦地へ赴く兵たちの痛みを忘れるなと語るのだ。　私にとって最も心に響いたのは、「異国の丘」において、手紙を書き残すことを許されない捕虜たちが、帰国のかなわない戦友の遺言を皆で暗誦する場面である。　そしてフィナーレには、この遺書の内容をモチーフにしたナンバー「明日への祈り」のコーラスで幕を閉じる。「明日への祈り」涙さえ　凍りつく最果ての　白い野につながれた　わが友よ明日を信じよう音もなく　降り積るシベリアの　雪の原魂は　彷徨いつ異国の丘に苦しみの果てに　はかなく消えた名もなき命　祈り続けた愛する人の　明日の幸せを国破れて　山河あり父母を敬い　兄弟結ばれ妻を愛し　友を信じ幼きを護れ　愛しき者たちよ時はうつろい　生命果ててもいつかはとどけ　わが心の声いつの日か甦る　故郷の青い空妻よ　子よ　父母よ燃ゆる思いをいつの日か甦る　故郷の青い空妻よ　子よ　父母よ燃ゆる思いを　「あなたはいかに生きて、いかに人生を終えますか」「真剣に生き、真剣に人を愛していますか」昔気質の日本人からの問いかけである。〔関連文献〕「収容所から来た遺書」辺見じゅん　文春文庫「夢顔さんによろしく　最後の貴公子近衛文隆の生涯」西木正明　文春文庫収容所（ラーゲリ）から来た遺書

  2005年12月13日

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• ソニーのコクーン＋ロケーションフリー＋PSPの使い勝手は

  　鳴り物入りで登場したロケーションフリー、自宅のビデオやテレビをネットを介在して外出先のパソコンで視聴できるという、さすがのソニーの製品が、このたびPSPとの連動を果たした。PSP上に記録装置のリモコンを仮想配置し、PSPのボタンでそれを操作する。なかなか画期的製品だが、メディアの露出度はいま一つのようだ。　私の今の職場にはテレビがない。というか設置できない。アンテナの引き込みソケットも部屋にはないし、窓も隣のビルがふさいでいるため、テレビ受信可能なVAIOに室内アンテナを取り付けても、「砂の嵐」がわずかに改善するというありさまだ。国内外の政治の動向が仕事を左右する職務なので、情報から隔絶した状態は何としても脱したいと日頃から感じていた。　インターネットがあるではないかというかもしれない。しかし、インターネットで配信されるニュースも、即時性という点ではいまいちだ。　ラジオはどうか。地上波のテレビチャンネルをFMバンドで受信できるラジオを使ってみた。　ニュースキャスターの語る「公開されたリストは以下の通りになっています」だの「ご覧の項目が合意されました」だの、かゆいところに手が届かない。ストレスがたまるばかりだった。　テレビ放送は、最近では聴覚障害者への対応からか、文字スーパーをニュースやバラエティ番組などで積極的に導入している。時にくどく感じる場合もあるが、聴覚障害者には貴重な情報入手手段だ。視覚障害者に対する「音」のサービスは、ドラマ番組などで音声多重を利用するにとどまる。視覚障害を持つ方の気持ちが、ほんの少し分かった。　そんなストレスにさいなまされていた中で、ロケーションフリーとPSPの連携が発表されたので、早速試してみた。　接続、ソフトのインストールは大過なく進んだ。コクーンとの親和性も高く感じる。なにしろ500GBのハードディスクが職場にいながらにして図書館のように使うことができ、スカパーの24時間ニュースのほか、CS30chと地上波、ケーブル受信のBSなど思いのままだからだ。　ニュース番組や時事解説をとりためている筆者にとって重宝する。始めPSPでは、コクーンのリモコンに対応しておらず、操作が限定されたが、最近ソフトのバージョンアップがなされ、操作の不都合はなくなった。　わずかながら課題があるとすれば、インターネット回線を使用している都合上、リモコンのレスポンスが悪い。早送りや巻き戻しは行き過ぎてしまうのでタイミングが難しい。もちろん自宅でリモコンを操作しているのではないのだから、回線速度や物理上の制約を受けるのは致し方ない。我慢できる範囲としておこう。　そうこうするうちに、今度はコクーンにシステムエラーが起こり、起動とシャットダウンを繰り返すようになってしまった。コクーン事業自体が既にソニーでは部門を解散しているのだが、果たして満足なサポートが得られるのかどうか不透明。　スカパー連動のコクーン、ロケーションフリーにPSPとソニーは斬新なアイディアで新製品を市場に投入してきた。ソニーの初期ロットはバグだらけ、との批判もあり、もう少しこなれた状態で消費者に提供すべきだという意見には賛同する。　しかしその一方で、ソニー製品の持つ「ワクワク感」が、筆者の好奇心を刺激し、それにいつも完敗し続けていることもまた事実なのだ。　願わくばソニーさん、サポートだけはしっかりやってください。　iPODに対抗するのに、ウォークマンなんか出さずに、PSPの電池寿命を今の3倍程度にするとか、ハードディスクまたはコンパクトフラッシュなどで大容量化することで対抗した方が、ソニーに勝機はあると思うんですが、どうですかソニーさん。アップルは、はなからPSPを対抗馬に位置づけてきたような気がするのですが…。

  2005年12月09日

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