ベガルタ昇格に正念場続く
7月12日、仙台で行われたベガルタ仙台対東京ヴェルディの一戦は、守備の崩壊により仙台が1体2で破れ、順位を4位と下げ、昇格圏内から一歩後退した。 今回の一戦、6月7日に国立競技場で行われた不可解な敗戦のリベンジとなるべき試合だっただけにこの敗戦は痛い。前回の対戦、筆者は国立競技場で観戦したのだが、鍋島主審の不安定なジャッジに翻弄され、近年まれに見るひどい試合であった。 改めて、ここでその時のやるせなさを思い出したくもないのだが、この一連のヴェルディとの対戦は、今後ベガルタが昇格を逃した場合、「あの時のあの試合」として分岐点として記される試合となるだけに、今一度振り返り、今後の糧とすべきと思う。 6月7日の一戦は、自身久しぶりの国立での試合観戦であり、スタジアムが改装中で、しかもベガルタサポーターがバックスタンド済みの上段の一角に押し込められ、周囲には警備員が常駐するという異様な雰囲気、イタリアやヨーロッパのリーグ戦などでよく見られる光景の中で行われた。鍋島主審の笛は、終始不安定。国立とはいえヴェルディの主催試合ということで、はじめから笛が偏っていた。 後半30分過ぎ、ベガルタDFのペナルティエリア内のファウルにより、PKを献上。これもシミュレーションかと思われたが、無常にもPKの判定。ベガルタサポの興奮は高まり、GK高桑への期待が集まる。やり直しを含め二回のPKを高桑が止めたが、動き出しが早いとの判定が繰り返され再度PK。ヴェルディにとっては三度目の正直での得点となり、得点は2:0。 この間、ベガルタの選手が抗議したとかしないとかで、鍋島主審は顔を真っ赤にしながらカードを連発。ベンチにいた控えGK小針は「倒れている白井選手を早く見てあげて」と叫んだのだが、審判への抗議と取られて一発退場。小針はチームメイトに抱きかかえられるようにしてグラウンドを去った。ベガルタサポーターの「八百長ヴェルディ」「審判八百長」の怒号がピッチを包む中、ヴェルディは残りの時間をボール回しに費やし、試合終了。国立最上段からピッチに駆け下りるサポーターも現れる中、選手は憮然とした表情で国立を後にした。あの時観戦した少なくとも数千人のベガサポは「こりゃ裏金が動いてんじゃねえの」と本気で感じただろう。一年に一度あるかないかの衝撃的な試合だったが、サッカー専門誌の審判の評定が十段階で「4」だったのも頷ける。(高桑が違反しているというのなら、今回のW杯のPKもかなりの頻度でGKの動きは早かったのはどう見るのか。)最も、これがヴェルディの用意した罠だというのなら、知らずに飛び込んだベガルタの選手にも問題がある。サッカーはそういうことが起きるのだという開き直りも大切だ。(無論いい加減な判定を肯定するわけではない。) この敗戦から一月あまり、べカルタの勝ち点は殆ど伸びていない。DFの要の白井を負傷で欠いていることも一つだが、あの敗戦からチームの得点パターンの共通意識が崩れてしまっているように思う。またこれまでリーグの中でも高い守備の意識に裏打ちされた驚異的な得点力といったイメージが薄れ、言わば相手からすれば「怖さを感じない普通のチーム」になってしまったように思う。あれだけの不条理を体験すれば、混乱し、憤るのも当然だが、いつまでも引きずってはいられない。 残り23試合で、昇格圏内への勝ち点42を取るためには、13勝3分け7敗が目安となるが、頭上の敵、柏、横浜FC、神戸への敗戦は許されない。11月26日の第51節には、国立でヴェルディとの今年4回目の対戦がある。前監督の都並もコーチでいることだし、今後ヴェルディとの対戦は因縁の試合とか、遺恨試合と呼ばれることだろうが、それもまたよし。きっちり勝って昇格を手にし、国立でウィニングランを決めてほしい。その時はおいらもグラウンドに飛び込む……かも。