毎日新聞、学力調査公表に悩む市区町村について報道
説明責任を重視するか、競争激化を恐れるあまり情報開示を拒むか、義務教育を直接担当する自治体はそろそろ結論を出さなければなりません。 今週末までに文部科学省は記者発表を行い、記者達は結果の分析や識者、教師などからのコメントを集め、24日の解禁日に備えます。 いくつかのメディアがフライング気味ですが、そうした動きが自治体に公表を躊躇させることも考えられます。 四十数年前の全国一斉学力「テスト」の時は、自治体自身が競争をあおり、不正に走ったことなどから中断を余儀なくされましたが、市区町村レベルで情報を公表しながら、なおかつ過剰な競争に走らないという知恵を出し合いましょう。 教育再生会議は、来週二十三日に総会が開催されることが決まったようです。<学力テスト>結果公表か否か 「裁量」で悩む市区町村10月18日15時1分配信 毎日新聞 今春43年ぶりに行われた全国学力テストの結果をどう公表するか、市町村が悩んでいる。結果を公表するかどうかは各市区町村や学校の裁量に任されているが、公表すれば、他の市区町村との比較で、序列が浮き彫りになる可能性もあり得るからだ。文部科学省は序列が鮮明になる公表は控え、各自治体に「過度な競争につながらない配慮を」と通知で呼びかけているが、「説明責任がある」と公表を決める自治体も現れ始めた。 文科省が公表するのは、国と都道府県別の教科ごとの平均正答数や設問別の正答率などで、市区町村と学校別の結果は公表せず、都道府県教委を通じて市区町村に提供する。市区町村や学校はそれぞれの判断で、公表するかしないかを決めることができる。 「序列化につながる数値は出さない」として、それぞれの自治体の平均正答数を明らかにしない方針を決めたのは、大阪市や東京都品川区など。文科省が慎重な対応を促していることから、さらに多くの自治体が非公表に傾くとみられる。 順位がつくデータを出すべきか、考慮中の自治体も少なくない。区のテストの結果を学校ごとのランキングで公表していたものの不正が明らかになった東京都足立区は「慎重に検討する」という。札幌市や仙台市、福岡市も方針を決めていない。 大阪府枚方市もいまだ悩む。市民が市学力テストの中学校別成績の公開を求めた訴訟で、「学習の到達度を明らかにして意欲を引き出すことが目的で、序列につながらない」と公開を命じる判決が大阪高裁で確定した。市教委は直前まで検討する方針だ。他市の動向を気にかける自治体も多く、「様子を探り合っている」という担当者も少なくない。 一方、さいたま市は市長が会見で、同市の教科や設問別の正答率を公表すると表明。広島県三次市も「市民への説明責任がある」と市の平均正答数を公表する方針だ。 保護者からは正確な数値を求める声も少なくない。神奈川県逗子市に住む男子中学生の母(40)は「学校の平均点を知り全国平均と比べたい思いはある。ただ、成績アップに学校が躍起になり、低学力の子が置き去りにされる傾向が加速化するのは恐ろしい」と話し、競争が過熱するのを心配している。【山本紀子】