素材を活かせる、そんな仕事ができるようになりたい。
19日の講義は木工芸と漆工芸の日でした。私の専攻は木工芸。木工技法は7種あると言われています。1,指物（さしもの）釘を使わず組み合わせて制作する方法2,曲物（まげもの）板を曲げて制作する方法（わっぱ等）3,彫物（ほりもの）欄間等の彫物4,箍物（たがもの）樽等の周りを止めている竹や針金をヒモ状の輪型にしたもの5,刳物（くりもの）木片をくりぬいて制作する方法6,挽物＜轆轤細工＞（ひきもの）ろくろで木を回し独特な刃物を当てて、丸く削り上げる方法7,編物（あみもの）木を編み込む方法木具・・・何でも出来る職人さんの事をこう呼んでいるそうです。上記のようにたくさんの方法があります。全て面白そうですよね。（＾＾）私はこれから指物お勉強しますが、ここでは基本的に基礎を学びます。装具の扱い方から課題を制作し、ほぞと呼ばれる木組み等をを勉強していきますが、それだけではなく木工芸の技術と共に現在ある伝統工芸の環境及び、材料における状況も把握しなければなりません。技術を学ぶことも必要ですが、今の木の現状も知る必要がありました。その先生が言われるのは、昔に比べて雑木林が少なくなったと言うことです。雑木林・・。そう、皆さんが山でよく見る杉の木の植わっている奇麗な山があります。植林された森です。同じ木が並んだ美しい森。しかし、植林された森は土を弱くするそうです。もちろん、現在の環境問題も関係していますが。杉、檜のようにまっすぐ伸びた針葉樹は加工もしやすく、建築資材等は需要もあり林業ではお金にもなります。しかし、同じ木が生えている場所は根が同じくらいの長さなので大雨が降ると土砂崩れ等が起きる場合が多いらしい。雑木林だと、様々な木の根っこの長さも違うので土が流れにくいらしい。雑木は（ケヤキ、桑等）は工芸品に使われるが、成長に時間がかかるし数も少なくなっているそうです。だから、雑木林を増やす必要があるのです。しかし、木の成長は時間がかかります。林業をやっている人は、木を植えてから3代目でお金になるそうです。それだけ時間がかかるものなのです。気が遠くなるような時間をかけて木を育てているんですよね。木工芸も制作にあたり、買って来た木を乾燥させて様々なものを制作します。買ってすぐに使える訳ではありません。何年も乾燥させるのです。乾燥させなければ制作物に狂いが生じてしまいます。きちんと乾燥させた木で制作した物は長い時間使っていても狂いもなく、使えば使う程味が出てきます。しかし、制作には気が遠くなるような時間をかけてモノ造りは進みます。どうしても伝統工芸の製品の金額が高くなるのは、技術力はもちろん、材料も時間をかけた物を使っているからです。そのかわり、長い時使い続ける事ができるモノが出来上がります。伝統工芸の流れは、時代の流れに逆らっているかもしれません。機械で制作した方が時間も短縮できますし、大量生産もできます。仕方が無いのです。しかし、昔の人は物を大切に使っていたと思います。現在、100円ショップ等、安価で手に入る便利なお店が多くあり、私たちの暮らしを便利にしています。でも、気持ちの面でどうなんでしょうか？『壊れたら、また買えば良いよ』ついそう考えてしまいます。そう、豊富な品揃え、いつでも手に入る便利さ。私たちは物を大切にする心を忘れていっているのかもしれません。昔の人はリサイクルを考えた物造りをしていました。日本人の素晴らしい知恵ですよね。障子も張り替えれば奇麗になるし、襖だって張り替えられます。和紙は水に浸ければ、紙を漉き直せば和紙ができます。木製品もも鉋をかければ、また新しい木地が現れます。そう、そんな素晴らしい知恵から生まれた、建築物や日常生活で使われるモノ。作られる素材も生きている。生きている素材を、活かす方法で新しい物に造り変えていく。だから、一回きりの物じゃない。だから、その物が愛おしい。愛情もって造り上げる。『モノを大切にする』ってもっと奥が深くって、今ある製品だけじゃなく、そこまで造り上げられていく工程、様々な素材や人の手が加わっていっているって言う事を考えなきゃいけないんだな～って。そう思った。そして、そう思ったら様々な物を見る時、食べる時、一つ一つを大切にしないといけないんだな～って（ーー）。簡単にモノを捨ててしまうこの世の中。もっと考えなきゃ。私がこれから学ぶ木工芸も生きている木を材料とする。生きているから、それらを活かす事できるように自分の心を磨きたい。本当に向き合える様に。素材を活かせる、そんな仕事ができるようになりたい。講師の人達は口々に言います。『技術だけじゃなく多くの事に興味を持って、多くの引き出しを作って自分の為にしてください。自分を磨いてください。この学校は技術だけじゃない、匠を育てるところです。人間として成長してください。』と・・・・。どうぞ、皆さんも時々考えて見てください。一つのモノが作られる過程で様々な人達が関わり、時間をかけて出来上がる物。それらを使う時、愛情をもって使ってください。食べるもモノも無駄に捨てないでください。時間をかけて、手間ひまかけて様々なモノが生み出されています。月曜まで様々な講師の方々のお話を聞きます。でも技術だけの話ではなく、歴史から現在のモノ造りにおける厳しい現状、原材料における環境問題等が付け加えられます。技術だけの話では無いのです。もっと、もっと様々な事を学んでいきたいです。今日はここまで～（＾＾）
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