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gomagoma0205

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2004年05月31日
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カテゴリ:勘違い系
 「O」運転手の勤務する路線バスで、ヘンなじいさんを見た。小柄で痩せていて、白髪の頭がかなり寂しくなった、でもハゲなのではなく、寄る年波で薄くなった、という感じ。水戸黄門をやった西村晃に、ちょっと似たタイプだ。服装もなかなかダンディ。高級そうな細身のステッキを膝の間に立てて座っている。そして傍らに立つ、20前後の女の子と話をしていた。

 最初はおじいさんと孫娘かな、と思ったが、彼女くらいの年の子のじいちゃんは、もっと若いよな、と思った。かくしゃくとしているが、八十歳くらいは行っているように見えたから。

 バスが渋滞に引っかかったため、老人と女の子の近くの席に座っていた私は、彼らの会話をえんえんと聞くことになった。それによれば、二人は赤の他人。バスで出会ったばかりで、どうも、その女の子がおじいさんに席を譲ってあげたものらしい。

 その女の子は、四国の方から上京し、今、専門学校に通っている。一人暮らしを始めたが、東京にはおじさん夫婦が住んでいるので、週末には必ず、夕飯を一緒に食べ、そこの家に泊まって行くのだそうだ。

 心優しい人たちに囲まれて育ったのだろう。素直そうな可愛い子で、そのじさまに対しても、微笑ましいくらいあけっぴろげに、自分の生活を語っていた。郷里のおじいちゃんや、おばあちゃんのことを思いだし、懐かしくなったのかもしれない。

 そのじさまも、最初は「そうかいそうかい」と、自分の孫かひ孫でも扱うように、優しそうに接していたのだが、20分くらいたった頃、雲行きが怪しくなった。「妻を亡くして一人暮らしであること」「アパートや地所を持っており、悠々自適であること」「近所のスナックに勤める女の子に、小遣いをやっていること」などを語り始めたのだ。

 私なぞは、「ははーん」と思ったが、その女の子には相手の邪心など、全然分からない。「そうなんですか~」と明るく返事をしている。じーさんも業を煮やしたのか、「どうだい、行きつけのウナギ屋があるんだけど、食事でも一緒に」と卑しい声と表情で言った。

 女の子はまだ気づかない。でも、これからおじさんの家に、夕飯をごちそうになりに行くと言ったのに、このおじいちゃん、何を言ってるのかしら???? という感じで首をかしげ、心から申し訳なさそうに「おじさんたちが待ってますからぁ。。。」 じいさんは慌てた様子で、「ああ、ああ、そう、そうだったね」と自分の言葉をうち消すような仕草をした。

 そのじいさんと女の子は、私が降りるバス停の一つ手前で降りた。女の子はじいさんの身の程知らずのスケベ心には、ぜんぜん気づいていなかったようだが、一緒にいるのにウンザリした様子は、既に見え隠れしていた。バスを降りたところで、丁寧におじぎをすると、後ろの空気を振り切るように、小走りに去ってしまった。

 バスの窓から見ていたら、じいさんがバス停の斜め向かい側くらいの位置にある、ウナギ屋に入っていくのが見えた。ああ、行きつけの店ってここか。近所で評判のマズイ店で、ウナギ屋の看板が出ているのに、スシと天ぷらも商っているという(冬になるとおでんも出る)、良く分からない店だ。食べるより、飲む客の方が多い(と言っても絶対数は少ない)という噂も聞いている。

 じいさんが小遣いをやっているというのは、あのウナギ屋の店員さんなのだろうか? あんな店を「良く行くウナギ屋」と呼ぶようなじいさんだから、それが小遣いじゃなく、「釣りはいらないよ」程度であっても、ぜーんぜん驚かないが。







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最終更新日  2004年05月31日 21時02分16秒
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