カテゴリ:勘違い系
外国人にとって、ヨソの国の言語で、非常にチャーミングに聞こえる「音」というのがあるようだ。
たとえば、知り合いのフランス人は、日本人が言う「へ~」が好きだ。「へー、そうなんだぁ」とか言うときの「へぇ~」 フランス語では「h」の音を発音しないらしいから、日常的に頻発される「Heeee」というのが、珍しくて珍しくて仕方がない。で、その人はことあるごとに、「へー」を言おうとするのだが、「Hえ~~~~」としか聞こえないのが奇妙。しかも言う前に、必ず得意そうに鼻をうごめかせ、渾身の力をこめて発声するから、非常に滑稽なのだった。 私たちは日頃、「へー」を一日に何回言うかとか、そもそも「へー」なんて言っているとも、全然思っていない。「へー」はそれほど、意識に登らない言葉だ。そういう言葉を、外国人が面白がるのを見ると、あらためて「へぇー」と思ったりするのだが、外国人は時として、不快な言葉をピックアップしてくることもある。 やはりフランス人だったが、この人は日本人の言う「さんきゅー」がお気に入りだった。ファーストフードのお店に行っても、「なんとかかんとか入りました」「さんきゅ~」なんて唱和しているし、日本人同士の会話でも、軽くお礼を言うときには「さんきゅー」で済ませることが多い。それを聞くたびに彼女はクスクスッと笑い、小声で「さんきゅー」とリピートするのだ。 彼女の「さんきゅー」は、「thとsの区別が付かない日本人」「子音に必ず母音を付けてしまう日本人」のグロテスクなまでのカリカチュアだった。「Sあnkいyうううう」と言うようなその発音は、私テキにはかなり、コンプレックスを刺激される物まねで、「Hえええ~」ほど可愛らしくは聞こえなかった。 日本人もきっと、外国語のみょーな音を、珍しがってピックアップしてしまうに違いない。例えばドイツ語に、「ぬ」とも「な」ともつかない、合いの手のように入る音があって、これがなかなかチャーミングなのだが、日本人がまねるととても滑稽になってしまうので、止めた方が良いように思う。 ドイツ人と仕事をしている女性で、会話中に良くこの音を挿入していた人を知っている。非常に流暢にドイツ語を操れる人だったが、その「ぬ」とも「な」ともつかない不思議な音は自分のモノにできていないようで、完全に日本語の「な」なのが滑稽だった。 流暢としか聞こえないドイツ語の合間に、「○×△□、なっ、○×△×△□○×、なっ、△□×△□○×△、なっ」ってな調子で、「な」が挿入されるのだった。おかげで、流暢そうなドイツ語まで、本当は大したこと無いんじゃ、というような印象を、人に与えてしまうのだった。 ~ちょっと続く~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年09月08日 13時42分36秒
コメント(0) | コメントを書く
[勘違い系] カテゴリの最新記事
|
|