カテゴリ:分類不能系
学生時代、夏休みの宿題に「写生」というのがあって、私はとある公園に日参して、絵を描いていた。正直言って、私はとても絵が下手くそなので、あまりのひどさにビックリ仰天した人たちが、列を成して近寄ってきた。シュールとかキュビズムの人だと思われたのかもしれない。
と言うわけで、絵を描いているよりは、通りすがりの散歩の人たちと、おしゃべりをしている方が多かったので、ある日、前の方から連れだってやってくる二人の男性が、私の方にまっすぐ近寄ってきたのを見ても、それほど驚かなかった。が、話しかけられた時は、少しビックリした。 それは、背の高い若い男性と、親分だかアニキだか知らないが、いかにもヤ○○系の厳つい風貌をした、小柄だががっちりした体格の、中年男性との二人連れだったのだが、私に親しげに話しかけてきたのは、パンチパーマの親分の方だったのだ。 およそ絵になど興味の無さそうなタイプに見えるのだが、親分は風貌に似ず、とても知的な、穏やかなしゃべり方をする人で、絵画に対する造詣も非常に深いようだった。私は絵はからっきしだったが、芸術系が専門だったので、知識は豊富なつもりだった。が、親分の教養にはたじたじ、という感じだった。 見た目が格好良くて、実はバカだったという人よりも(実は、初恋の人がこのタイプだった。ああS先輩のバカ……)、見た目は難ありなのに、話してみたらすっごく素敵な人だった、という方が、好意が湧くものだ。さすがにパンチパーマのずんぐりしたおじさんに、恋心こそ抱かなかったが、親分との会話は、非常に楽しかった。 散歩中なのか、公園を通り抜けてどこかに行く途中なのか分からないが、引き留めちゃ悪いなと思いつつも、親分も次々と、楽しそうに新しい話題を提供してくるので、私たちはかなり長いこと、芸術論を戦わせたのだった。 〜昨日が徹夜だったもんで、続く〜 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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