カテゴリ:分類不能系
ウチの近所には、3種類のバス会社のバスが走っている。そのうちの一社は、運転手さんが自分の行動目標を書いたポスターみたいなのを、料金箱の上辺りにぶら下げている。
「お客様に優しい●●バスを目指します。そして私は」というようなセリフが印刷してある下に、それぞれが自分の目標を手書きで書いた上で、紙全体をラミネート加工というのか、つるつるのビニールみたいなのをはって、ちょっと大きめの下敷きみたいになっている。 だいたいの目標は「丁寧な応対を心がけます」とか「分かりやすい車内放送を実施します」とかいった内容。私はそのバス会社のバスに乗るといつも、この「目標」を読んだ上で、運転手さんの採点を行う。「なるほど、丁寧な応対だ」とか「乗客に笑顔で挨拶するのが感じ良いな」とか「分かりやすいけど、ちょっとしつこいよ、車内放送」とか、心の中でつぶやくのである。 今日の運転手さんの行動目標は、ちょっと異色だった。いわく「平常心を保ちます」 乗車した途端にチェックして、「こんなの今までみたことないけど」と思った私、発車して3分も経たないウチに、その言葉の意味を知った。その運転手さん、とにかく短気なのだ。 信号がかわっても、なかなか発車しない前の車に、ぷっぷーっとクラクションを鳴らす。道路脇に宅配業者の車が停まっていると、先方のドライバーが戻ってきて、「すいません」と言うようにぺこっとお辞儀をして車に乗り込もうとしているのに、ほんのちょっと発車するまで待つこともせず、反対車線にぐいーんと乗り越えて「追い越し」をする。 3人のおばさんに「早く乗ってくださいっ」とキツイ声で怒鳴ったときはビックリした。おばさんたちは、停留所まで走ってきて、ようやく私の乗っているバスに間に合ったのだが、そのうちの一人がアシが遅くて、ちょっと遅れたのだ。 先に到着したおばさん2人は、平常心の運転手に「良いですか? スイマセン」と言い、運転手もそれに頷いたのを私はみていた。おばさんたちが、良いですか、と言ったのは、もう一人があと10秒くらいかかるけど、すいませんねぇ、という意味だったのは、素人である私にもすぐに分かった。だから、運転手が頷いたのは了承の意味だろうと思った。 ところが、おばさんたちが車外に顔をだして「早く早く」とやっていたら「さっさと乗れ!」としか聞こえない口調と声での「早く乗ってくださいっ」だ。何だこいつ、分かってないのかよ。バックミラーもみてないのかよ。 そこのバス会社は最近、経営形態が変わり、年配の運転手さんはリストラだか何だかで、いなくなった。それで若い(運転の下手な)運転手さんが増えた代わりに、とても応対が丁寧になったと思う。かなり遠くから走ってくる乗客らしき人の姿があっても、じーっと丁寧に待つし(急いでいるときはちょっとイライラする)、どんな目標を挙げている人でも、乗客への応対はおおむね非常に丁寧だ。 が、平常心の人は、とにかく気が荒い。「平常心を心がける」という目標を掲げているということは、自分の欠点を知ってはいるのだろう。すぐに平常心を失うタイプなのか、もしくは平常心そのものがイライラ型と思われる。うっ、後者だったら「平常心」を心がけられても困るんじゃ…… ま、欠点を自覚していての記述だと思うが、目標として目の前にぶら下げていてもアレである。人間って分かっていることでも、なかなか軌道修正することはできないってことの、走る実例なのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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