カテゴリ:勘違い系
ロシア語通訳の米原万里さんだったと思うが、吉永小百合が美人に見えなくて困った、という話をエッセイに書かれていた。美人に見えないどころではなく、むしろ醜女に見えるのだと言う。たぶん、東欧などで育った(だったかな?)幼少期の体験で、日本人的な美人観(?)を共有できないのかもしれない。
これは友達に聞いた話だが、古い日本映画をドイツ人に見せたところ、「で、一体この映画には美人は出てこないのか?」と言われたそうだ。名前は忘れたが、昔の日本映画界で一世を風靡した、何とか言う美貌の女優さんが出演していたのに。 と言うわけで、文化が違うと美人観も異なるし、その上に個人差もあるから、悲喜劇が起きることがある。友人の友人であるアメリカ人が、アメリカに留学していた日本女性に恋をした。そして目出度く、同棲生活に入った。 ある日、その日本女性が、日本に一時帰国することになった。彼女のことを「絶世の美女」だと思っているアメリカ人の彼氏は、「彼女を一人にするなんて、心配だ。危険だ」と、後を追って日本に飛んだと言う。 が、彼の周囲では、悪友どもが大笑い。「あんな女、100年放って置いたって、男なんかできやしないさ」(って100年経ったら、白骨化してるよ)。ハッキリ言って、その「絶世の美女」は、ものすごい醜女だった。日本人から見たら、あまりのことに、何度もジロジロ見てしまうほどのブス。そして、彼以外のアメリカ人から見ても、かなり醜い容貌だったようだ。 私がえげれすに住んでいた当時、丁度日本フェアみたいなことをやっていて、博物館で日本のからくり人形の展示をしていた。知り合いのアラブ系留学生が、ある日、嬉々として私に報告してくれた。 日本のからくり人形を見てきた。すばらしい! そう言えばオマエは、あのからくり人形にそっくりだ。 ぶううううううっ やだよぅ、からくり人形みたいに無表情で、ぺろーんと丸い、あっさり平らな顔だなんて。侮辱だあああああっ と言うのが、私の反応。まさかそう言いはしなかったが「ふううーん」と、そっけない返事をしたら、彼は怪訝そうな顔をしていた。どうやら、ホモの彼にしては精一杯、女性に対する賛辞をおくったつもりだったらしいのだ。うーん、お饅頭みたいな顔したからくり人形に似てるってのの、どこが賛辞なんだ? イタリア人の友人からは今も良く、「今日、貴女にそっくりな彫刻と出会いました。貴女のことを思いだしています」なんて、超ロマンチックげな絵ハガキなんぞを頂く。単なる友達なのに、ラテン系は暑苦しいのぉ、とか思いつつも、ハガキを貰ったのを喜んだりする。が、絵柄を見てガッカリである。いわばこんなような系列の写真だったりするからだ。 フランス人からは「Victoire de Samothrace」に似ていると言われたことがある。要するに首ナシである。 それなりに褒めてくれているのではあるらしいが、何だかなぁ、という感じがするのである。 普通の容貌をした日本人女性は、海外ではチヤホヤ(少なくとも日本にいるときよりは)されることが多く、何だか勘違いして自分を美人だと思いこんで帰国する、なんてケースを良く見る。そういう風に思えるというのも、幸せなことかもしれない(私は無理。クビないし)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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