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元・経営コンサルタントの投資日記

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2008/10/28
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カテゴリ:M&A

いやあ、三菱UFJの増資にはびっくりしました。最近米銀のTOBやモルガンスタンレーの出資等資産の増加(しかし即円高で目減り)が目立つものの、政策保有目的株の下落がTier1自己資本を毀損するため、その対策に増資するというのが本来の目的では、と市場では見られているらしい。現にみずほやSMBCでも同様の動きがあるという(彼らは、そんなに資産を増やしていないので、どういう大義名分が出るのでしょうか?)。

政策保有株(当然、持ち合い株式)の含み損の補填を市場投資家から募るって、投資家を愚弄しているのでしょうかね。そりゃ、「非常事態」なので、「本当に」 貸し渋りが起こるぐらいだったら、仕方ないと言う気がしますが、政策保有株が下落したら、政策の失敗じゃないですか。同じことを何回も繰り返さないでほしいですね。政府与党は邦銀の株式保有を「わが国固有の習慣」などと正当化しつつありますが、非常事態の回避はともかく、本質的議論をやってほしいですね。

うまく増資できなかったらそれは天罰ですよ。10年前と同じことを繰り返しているんですよ(三菱は唯一税金のお世話にならなかったが)

三菱UFJの優先株は配当利回りが10%ぐらい付くのかな?(だったら魅力的、と急変するが)

 

mufg2.jpg

 

とここまでは愚痴です、すみません。

 

今回はLEOCのMBO価格について、指摘を頂いた、未熟なMAアドバイザーさんへの回答を次数の関係上こちらに記載します。

該当エントリー 「日本ハウズイングと原広産の意外な結果、それと横浜FCのレオックの件

この後半部分に対する質問。

まずは、コメントありがとうございます。以下は全くの私見で至らぬ点がある可能性があることや、参考資料をHP上のものをザくっと見た程度である点をご了承ください。ご指摘ご指導あれば是非賜ります。

 

プレミアムがなぜこんなに高いのだ、こんなに高いのになぜ反対する取締役がいるのか、という点についての私見。 

結論は、公表資料より推定できることは、彼ら自身がそれなりの事業計画、業績見通しを持っており、それを素直に株価に反映させたから、としか推定できません。

ただし、マエ氏はその業績見通しと株価の関係が不十分だ、と指摘しているということになります。

 

有価証券報告書には当社は中期的な経営指標として、

ROE15%以上

EPS30円以上

経常利益率3%以上 を掲げています。

 

今回、EYさん(買い手側)とラザードフレ-ルさん(売り手側)が算定したDCFがそれぞれ

488~572円、407~502円

となっています。EYはアドバイザーなのか単なる株価算定人なのか不明ですが、出てきた事業計画にWACCをはめたという程度のものでしょう。

08/3期時点の純資産34億円でROE15%となれば、純利益はざっくり5億円

5億円を発行済み株式総数約14百万株で割ると35.7円です。目標EPS30円で、35.7円ですから10%以上乖離があるものの、まあ、30円台前半程度としておきましょう。

経常利益率3%とすれば、経常利益15~18億円程度になります。

不採算だった介護事業ライフコミューン社を売却していますので、採算性が改善する見通しがあるのでしょう。

 

仮に純利益5億円が達成できると、EPSは約35円です。35円×15倍=525円となります

(当社にとっていくらのPERが適切かはちょっと調査していないので、ざっくり世間一般的な数値としておきます)

 ただし、これは「スタンドアローン」の数値で、これは経営陣がコミットしているものでしかなく、そこからさらに「プレミアム」を付けるとなると、低いという議論はあり得ます。525×1.3=682円など(シナジーが見込めるストラテジックバイヤーなら、理論的な可能性はある)。

また、MBO前に経営陣は5億円よりももっと上の事業計画を想定していた可能性もあります。

さらに、当社は過去に従業員300人以上にストックオプションを付しており、その行使価格が794円となっています。(よく見ると、元々計画達成してもオプションが行使できない可能性があったのですね)。794円はどういった前提の下試算された数値なのでしょうか。

こういったインサイダーなことも知っていて、マエ氏は反対した可能性があります。どうせ売るならMBOでなく同業者へ売却か、現在の資本提携を生かせばもっとうまく経営できると(というよりMBO自体に反対だった。今の資本構成の継続を望んでいた)。

 

事業計画見通し(計画は公表されていない) 

事業計画の達成見通しは、WHO KNOWS?ですが、当社は営業利益が10億円ぐらいの力があります。しかし、なぜか法人税住民税等が8億円近くもあるので、この辺を解決できる方策などがあれば、ひょっとしたら達成できるのかもしれません(何か税務上否認される支出を解決すればいいのか?よくわかりませんが)。

公開買い付け届け出書によると、本MBOに東京三菱UFJが70億円の融資を、GCAの子会社メザニンが25億円の優先株を提供すると記載があります。

当社はこの3月にシンジケートローンのコベナンツ等に関し、継続企業の疑義が生じているにもかかわらず、比較的LBOに保守的なMUFJにコミットさせたので、元々の計画がそれなりに固い計画なのかもしれません。総通という企業も銀行と関係が深そうですし、取締役の中にも旧東京三菱銀行出身者がおられます(本件実行後は退任予定)。

したがってDCFで500円が出る事業計画は銀行サイドから見てもまんざらでもない、ということも言える可能性があります。普通はLBOローン部署と既存融資部門は利益相反防止のウオールがありますよね。

三菱商事(MC)さんが、資本上はともかく、業務上も本当に手を引くのかはわかりませんが、三菱グループとつながりが深いと客観的には思えます。またMCさんのLEOC株式の簿価はいくらなんでしょうかね。この辺も500円と関係しているかもしれませんし、MBOと関係あるかもしれません(EXITしたいとか、MC内部の評価損とか)。

 

プレミアムを中心に議論するのか、買収者の事業計画を含めた全体感を議論するのか難しいですね。今の市況だと、株価は企業のファンダメンタルズをほとんど反映しませんし、かと言って将来業績を愚直にDCFなんてしてしまうと、相場とかけ離れた結構な数値になってしまいます(割引率はほとんど相場の変動を受けませんし、業績見通しは一般的には主観ですから)。

さらに当社は過去からほとんど500円なんて株価をつけていませんし、これまでの業績下方修正の繰り返しなど見てもかなり、投資家の信用を失っていた可能性もあります。万年割安銘柄?

 

Valuationはしょせん、評価・価値でしかなく、結局は価格だ、ということであれば、対抗提案の機会を確保する、という点は制度としてあってもいいのかもしれません。TOBに入る前にそういった冷却期間を置くこともいいと思っています。

ある日いきなり、TOB賛成、TOBよーいどん、では売り手・買い手に株価算定がついていようと、「出来レース」の印象もぬぐえません。TOBに入る以前に取締役会は、他者の提案を募集してみる、というのであれば、いろいろ透明度も高くなってくると思います(TOB期間中の対抗提案でも差支えないですが、取締役会の忠実義務を高めるという観点から)。

 

蛇足ですが、この企業、取締役が9名いて、うち5名が特別利害関係人(会長、社長、及び三菱系の株主の派遣役員が3名)で、賛同決議をした取締役会は4名で構成され、うち1名が反対したということだと推測されます。

取締役会決議の決議要件はどうなっているんでしょうね。過半数の取締役が意見できない(と言うよりすでに賛同表明済み)取締役会の決議事項にはたして、どこまで重みというか、正当性というのが確保されているのか、という気がいたしました。仮にもう一人反対したらどうなったんだろう。(事実上7/9が賛成していながら、賛同表明できないことになるのでは?)

 

ここまで株価を下落させた経営者の責任、というのは何とも言えませんが、これから非公開化してしまい、事実上銀行管理になるようなものですし、これまでのようなそんなに気ままな経営ができるとは思えないのですが・・・。過去ほとんど500円を超えていませんし。「サッカーの」三浦和率いる横浜FCの前途も多難な気がしてきました。残念。

 

LBOローンには結構なコベナンツが付与されるので、これまでの銀行借入以上に勝手に資産の異動はできませんし、自社株も担保に取られるでしょうし当面借金漬けの日々が続きますし、借金のプレッシャーというのは今後今まで以上に厳しく、それを乗り越えた経営者のみがMBOの甘い汁を吸えるのでしょう。いずれ審判が下るのでしょう。

 

買い手のTAXとはオーナーの保有株の売却益のでしょうか? であれば、確か今年中は個人の株式譲渡益の課税が10%に軽減されるはずではないでしょうか? 高い評価をしすぎれば、MBO後の銀行ローンの返済が厳しくなりますし、EXITを考えれば、経営者は普通安く買うインセンティブが働きます。多分500円と言うのは、大株主間の賛同表明の中で、落ち着いた価格なのでしょうと推察いたします。






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Last updated  2008/10/28 12:25:41 AM
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