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テーマ:株式投資日記(20510)
カテゴリ:M&A
ロイターやFT.comで、ニューヨークタイムズ社はリストラのため、保有する米大リーグ、ボストン・レッドソックスの株式の持ち株会社の株式売却(18.7%)に踏み切ると報道した(記事を最初にリークしたのは、ウォール・ストリート・ジャーナルだそうだ)。同社は来年3月に期限が到来する4億ドルの借入金の返済原資の捻出を迫られているという。また、広告収入の減少も頭の痛い問題であるとしている。 推定売却価格は2億~2.5億ドル(@=90円とすれば180億円~202億円)といわれている。 恥ずかしながら、私はニューヨークタイムズ社が、ボストン・レッドソックスの球団を一部保有しているとは知りませんでした。だからヤンキースの選手に辛らつな記事を書くのか! と合点がいきますね。 ニューヨークタイムズ社は昨年からアクティビストファンドに狙われており、今年度の株式総会ではアクティビストと妥協して、アクティビストに取締役ポスト2名を譲歩している。これは、当初4名の要求を受けたものを、2名で取引する代わりに、委任状争奪戦をやらない、という「取引」を行っていた。 Times Co. Nominates Two for Election as Directors(2月13日) 米国では特に新聞紙業界はインターネットの登場で収益性が低迷している。あの、ダウ・ジョーンズ社がルパード・マードック率いるニューズコーポレーションに買収されたのは記憶に新しい(ダウ・ジョーンズ傘下のウォール・ストリート・ジャーナル紙の編集長が買収後退職するなど話題となった)。これもダウ・ジョーンズ社の株価が長期低迷局面にあったので、創業家一同が売却に応じたものだ。 ニューヨークタイムズ社も例外ではなく、特に広告収入が減っていると言われている。そこで、Web広告を最大化することで業績の建て直しを図るため、同紙のWeb版は登録すれば全ページ無料となっている(FTやウォール・ストリート・ジャーナルは「いい記事」は有料)。 この株価急落に、「株主価値向上」を迫られていたとしても決して不思議ではない。 ニューヨークタイムズ社は持ち株会社の株式を2002年に75百万ドル(67.5億円)で買収したときの4倍で売却することを希望していると言う(推定価格は3倍程度)。
買い手候補には、地元ボストングローブ紙などが挙がっているという。 多分、ニューヨークタイムズ社はもっとリストラが必要になってくるでしょう。
米国の新聞会社は種類株式を発行しており、ダウ・ジョーンズ社もかつてはClass A株を創業家グループに発行(発行済み株式数の30%程度だが、拒否権か複数議決権があり、これで経緯支配が出来る構造になっていた)、一般投資家はClass B株の取引だったはず。 ニューヨークタイムズ社も同様な株主構造になっていると言われている。
(これは一般投資家向けのClass Bの株価推移、過去5年で急減しており、まるでGMの株価推移みたいです) 今回は負債の償還という「背に腹変えられない」事情で売却を決意したようであるが、厳しい状況には変わりない。 一方、日本ではTBSが放送持ち株会社入りを「順当」に決定し、楽天を蹴落とすことをもくろんでいる。TBS、認定放送持ち株会社へ移行(2008/1/1 新聞社にいたっては法律で株主になれる人が定められている。 現在の大日本本営的な業界構造にメスが入らない。
今年はこれで終わりです。ご愛読ありがとうございます。来年もよろしくお願いします。 来年は株価の下げ止まりに期待したいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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