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カテゴリ:コーポレートガバナンス
オリンパス事件でもアレコレ思いますが、今回はこちらを書いてみたいです。実は昨日に書き溜めたもので・・・。 ご存知の方も多いと思いますが、東京証券取引所と大阪証券取引所が合併する、と日経新聞が報じています。
大証側は、「本日,一部の報道において,当社と東京証券取引所との経営統合に関する報道がございましたが,こうした内容を当社が決定した事実はございません。」とコメントしており、日本経済新聞社殿のスクープとなっている(従来から合併は記事になっていましたが)。
三菱重工と日立の合併スクープを高らかに取り上げた(しかし、その後進展がない)同社の報道によれば、
1.大証株の上限付きTOB実施(来年春をメド) 2.大証を存続会社として合併(来年秋メド) 3.持株会社の傘下で4事業(現物株、デリバティブ、決済、自主規制)子会社に再編
東証が大証をTOBして、その後、子会社である大証を存続会社とする逆さ合併というスキームを取るようです。
東証は非上場企業です。非上場企業が上場企業を買収して、買収した上場企業のステイタスをそのまま活用して上場を維持することを「裏口上場」と呼んでいるそうです。
まだ正式決定したわけでもなく、当事者の正式なコメントがない中であれこれ言う方もナニですが、上場している他社のあり方に、あれこれ言う立場の証券取引所が、このようなやり方で上場すると言うことに、この会社のガバナンスというか、色々考えさせるものがあります。
裏口上場後、誰がこの裏口上場後の猶予期間やその審査を行うのか、お手盛り審査じゃ話にならないし、またまた流行りの「第三者委員会」様のお出ましでしょうか???
サッサと上場せずにグズグズしていたからこのようなことになった、という責任や反省の面がないとしっくりこないですねえ。
しかし、この日経新聞の比較表を見ていると、大証が東証を買収して、率先してバリューアプすることの方が、シナジー効果がでて大証の株主の利益になるというストーリーを、単純に投資家としては思ってしまいます。40%前後の株主が大証の株主の座に留まれるとの提案らしいので、TOBに賛同する人がいなくなる可能性も? (どう考えても合併した後に、大証並みの収益力になれると考えるなら、長期投資家なら株を売るのはモッタイナイ) (日経新聞社より) 本格的な比較を行っていないですが、この比較では純利益に差がない割に、合併比率がやけに東証に有利な点はチトわかんないですねえ。 また、逆さ合併後、業界再編のオオカミの様な米NASDAQが買収提案をしてくるなどいびつなM&Aのマイナス面をどう考えているのか?その場合、両証券取引所とも、一網打尽にNASDAQの子会社化となってしまいます(案外その方が日本経済にプラスかも?ライツプランなんて即刻廃止させるとか)。
東証が図体だけがデカイ、役所体質で、大証は特徴を生かし、比較的(2者間の単純比較に過ぎませんが)効率化が図れていた、と言えるような気がしますねえ。大証の株主さん、頑張って欲しいなあ。結構外資が多いんですよ。
株主プロの以下のページで、ご覧頂くと、まず外国人比率が66%!!!! フィリディティとかノーザントラストとか機関投資家が目白押し(キヤノンでも同比率は44%)。実は「外資系」企業だった大証。
そもそもシステムコストを上場資金で調達すると言っていた東証さんはその資金をどうやって手当てするんだろう? 裏口上場する根本的な意義も不透明。どうせスクープするのならって気もしますが。逆さ合併終了後に増資だったら最悪だなあ。
ドンくさい東証(または金融当局)のために、効率的な大証およびその株主、強いては日本の上場基準そのものが白い目で見られるなんて話じゃ、海外も含めて、世間が納得しないのではないだろうか? (のろまな東証のペースにあわせていくなんて、いかにも護送船団チックな発想だと思った)
まさか「正しい処理です」なんて言うんじゃないでしょうね? 最近政治に経済によく出るフレーズですね。今日経済の それ は過ちであることが判明しましたが。 まあ、私の様な疑問点は当事者間の協議の中で織り込んだ上で正式発表されるのでしょう。経済新聞社さんはスクープするので精いっぱいであり、途中報道であると信じたいですね。
ちなみに経済新聞社さんの元専務がO社さんの社外取締役だったようです。どうりで、O社問題は日経では大きく報じられなかったわけですね。
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Last updated
2011/11/09 12:14:16 AM
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