ボッティチェリ展
少し前に「ボッティチェリ展」を見に行きました。ボッティチェリだけでなく師匠のフィリッポ・リッピぼってぃちぇりと弟子のフィリッピーノ・リッピ親子の作品もたくさん展示してあって楽しめました。この3人の絵はみな優雅で美しく女性好み、そのためか平日の昼間にもかかわらずかなり混んでいました。私もどっちかというとミケランジェロのムキムキの絵よりボッティテリの優雅なビーナスやかわいらしい天使の方が好みです。ボッティチェリの師匠フィリッポ・リッピは修道士でありながら修道女と駆落ちしたというすごい人です。ルネサンスで人間らしさが見直され芸術が花開いたと言ってもまだまだ天国や地獄が真剣に信じられていた時代の修道士が現代の芸能人スキャンダルも真っ青なことやるなんて(笑)後から見ればメディチ家のコジモが助けてくれて還俗が許され子供も生まれ仕事も同じようにたくさんもらえているのですが、すべてを失うかもしれない状況で駆落ちする、すごいことです。それも50歳を過ぎて30歳近く年下の女性と。でもフィリッポ・リッピのエピソードはこの駆落ちだけでなく好きになった女性には全財産あげそうになったとか、仕事がはかどらないからコジモが監禁したとか、とにかくどうしようもなく女好きだったようです。だからあんなに美しいマリア様の絵が描けてそれをボッティチェリが受け継いで素晴らしい傑作を残しています。フィリッポ・リッピの子フィリッピーノは父親が浮気を繰り返し突然死んで母親が苦労するのを見て育ったからでしょうか、すごく親孝行の子だったみたいです。一生懸命がんばる優等生、子供として持つならフィリッピーノが一番よさそうです。ただ優等生というのは強烈な個性や特徴は出にくいので、他の2人に比べ知名度では劣るようです。美しい夢のような絵が次々と描かれたルネサンス期、でも当時のフィレンツェの平和や繁栄は長くは続かず、サボナローラの神権政治、共和制、そしてまたメディチ家の支配とめまぐるしく変わっていきます。イタリアは分裂したまま長い間スペインやフランスの支配を受け続けるけど、それでも芸術の中心地でした。18,19世紀のイギリスでは金持ちの子弟がイタリアを中心に大陸を旅行するグランドツアーが大流行し、ラスキンやラファエル前派の画家達がボッティチェリなどを再評価します。鼻もちならない金持ちお坊っちゃまラスキン(笑)私はこの人嫌いなのですが、好きな画家を評価してくれるという点では素晴らしい功績を残してくれています。名画・油絵 ボッティチェリの名作「若い婦人の肖像(シモネッタ・ヴェスプッチの肖像」価格:77,760円(税込、送料込)