カテゴリ:65 Arden Road
1月31日、バーミンガムのアラム・ロック、スパーク・ヒル、エッジバストンの3カ所で、9人のムスリムがテロ未遂容疑で逮捕された。早朝4時から警察による大規模な家宅捜索が行われ、何カ所かの道路は数日間通行禁止になった。報道によれば、彼らのテロ計画は、イギリスの軍隊に所属するムスリム(300人ほどいるらしい)を拉致・殺害し、その模様を放送するというもの。私はその日、大学の授業でこの話を聞き、午後4時頃アラム・ロックを訪れた。
普段と変わらない様子のアラム・ロック 住人の大半をムスリムが占めている 数台のパトカーと見物人が集まっていた。但し、この場所がこの事件と関わりがあったのかは不明。見物人の一人に聞いてみたが、何が起こっているのかわからないとのこと。警察は、十数分の後去っていった。 このセンセーショナルな事件は全国的な注目を集め(世界的だったかどうかは不明)、翌日の全てのイギリスの新聞は一面で報道した。 そんな事件のあった週の金曜日、私たちの家にサダム・モスクのイマームがやって来た。モスクからの帰りにコトブが連れてきたのだった。イマームは同じArden Roadに住んでいるのだが、この家に来たのは初めてだった。白髪の顎髭をたくわえた穏和なこの男は、かれこれ22年前にイギリスにやって来て、アストンで説教をしているらしい。サダム・モスクが建てられる前は、Arden Roadの家をモスク変わりにしていたらしい。援助をもらったイラクにも行ったことがあるとか。夜遅かったこともあり、お茶も飲まずに彼はすぐ帰って行った。 面白かったのは家の人たちの反応で、特にコトブ・ムニラ夫婦とラシードは、イマームがいる間終始ソワソワしている感じだった。私にしてみれば、ただのどこにでもいる少し小汚いおっさんにしか見えないが、彼らにとってはちょっとしたアイドルのようなものであるらしい。イマームが帰った後、「世間ではテロとか何とか言われてるけど、本当のイスラム教のことを伝えるのはムスリムの義務だ」とムニラが言って、久しぶりのイスラム談議が始まった。 その後送られてきた有り難い写真 テロ未遂の容疑者の内の2人は、翌週の水曜日に釈放された。その2人の話では、拘束されていた一週間の間、ろくな取り調べも行われなかったそうだ。残りはまだ拘束されているが、事件の真相自体も明らかになっていない。バーミンガムのムスリム・コミュニティは勿論、白人やその他のエスニック・マイノリティの間でも動揺が拡がっているように見える。ある意味日本より質が悪いと思うが、現在のイギリスではTerorism Actによって、テロを計画することは勿論、テロを煽ったり賞賛したりする発言をするだけでも逮捕することができる。つい数日前には、著名なカリビアン系のムスリム指導者が、2006年9月にバーミンガムでの7・7を褒め称える発言によってロンドンで捕まっている。今回のテロ未遂事件(そんなものがあったかもまだはっきりしていないのだが)の余波の一つでもある。 イギリスは“Police State”(警察国家)ではないか、という議論も成されているところだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 12, 2007 07:33:01 AM
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