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テーマ:お勧めの本(7394)
カテゴリ:今日読み終えた本
題名:「いのちの食べかた」 著者:森達也 発行:理論社YA新書 頁数:123 読みやすさ:4/5 おすすめ度:5/5 「放送禁止歌」という革命的なドキュメンタリーを監督し、同名の本も書かれまし た森達也さんです。 この本の構成は、子供に呼びかけるような口調で、難しい漢字にはふりがなも ふってありますから、子供でも読もうと思えば読めるようになっています。また、子 供にこそ読んでほしい、という著者の熱い思いも伝わってきます。 私たちの日々の暮らし、特に食事をとるという行為は、たくさんの命を奪うこと によって成り立っています。ごく当たり前のことですが、普段そんなことを意識しな がら食べることはありません。「生き物を殺すことで生かされている」ということを 具体的に説明してくれています。 「僕はベジタリアンだ!」っていう人だって、植物も命です。どんなに否定しても、 “生きている”ということは、何らかの形で命をやりとりしていることは間違いあり ません。 「僕はお肉は食べるけど、牛を殺したことなんかないし、殺したくない!」と言っ たって、食べてることと殺すことは同じです。違う誰かが牛を殺してくれるから焼 き肉が食べられるのです。 こんなことをずっと考えていたら食事ができなくなりますが、ではどうしたらいい のでしょうか? それは「生きていくことは命のやりとりである」という事実を受け入れて、その上 で自分の口にはいるまでにどんなプロセスがあるのか、というようなことをちゃん と知って、誰かが自分に代わって手を汚してくれているということを感謝しながら ありがたく「いただく」という気持ちを持つことだと思います。 本書後半は前著の「放送禁止歌」での大きなテーマでもあった差別問題をとり あげて、この問題の奥深い心の闇にまで言及しています。したがってどうしても難 しい言葉や表現が出てくるので、小さな子供にはだんだん難しい内容になってきま す。でも小学校でも高学年か、まあ中学生ぐらいなら十分に理解できるのではない かと思います。 重いテーマではありますが、著者の「わかりやすく書きたい」という思いが伝わ ってくる内容でした。 私も仕事柄(?)このようなことを人に訴えたい気持ちはあったのですが、どう表 現していいのかずっと悩んでいた部分もありますので、こういう本の出現を待って いました。 皆さんにお勧めいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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