「カラスの常識」
題名:「カラスの常識」著者:柴田佳秀発行:寺子屋新書頁数:239読みやすさ:4/5おすすめ度:4/5 カラスといえば、誰もが嫌う生き物の一つになってしまっていますね。でも、かつては神の使いであったり「七つの子」で歌われている慈しみの対象であったりしたはずなんですけどね。 なんといってもあの全身まっ黒い姿が受け入れられないものがあるんでしょう。カラスに責任はなさそうですが・・・。カタツムリはかわいいけどナメクジは嫌だ、というのと少し似てるのかもしれませんね。 そうはいいながら、他にもカラスが嫌われている原因はあって、例えば鳴き声や食い散らかし、人への攻撃、それになんと言っても学習能力の高さからくる人馴れやカンに障る行動の数々ではないでしょうか。 カラスにすれば生きていくためにごく当たり前のことをしているだけなのですが、その行動の結果が人間生活といろいろなあつれきをおこしていることは事実です。 何故カラスが来るのか、何故ゴミを食い散らかすのか、何故人に攻撃をしてくるのか、カラスの側の視点で街を見れば容易に理解ができます。そうすれば被害を減らすために、人間としてはどうすればよいか、ということが自ずと見えてくるというものです。 これはカラスに限ったことではありません。カラスを含めて野生動物と人間生活との間に起こっている様々なあつれきはこのような問題を抱えています。当たり前のことですが、人間に嫌がらせをするのを目的に行動している動物はいません。 それではどうしたらいいかということですが、動物のことを正しく知ることと、動物が何を目的にその行動に至るのかを冷静に考えることです。その上でできることから始めないとあつれきは終わりません。 いくらとっ捕まえて殺し続けても、一方でエサ(ゴミを含めて)やり放題の状況をほったらかしていては、カラスたちは増え続け、最悪のエンドレスループに陥っていくわけです。行政頼みも解決にはなりません。住民自らが考え、行動しなくてはダメなんだと思います。 なんだかんだいっても相手は動物です。いくら頭がいいったって人間より頭がいいわけありません。違うのは、やつらは常に“命がかかっている”ということでしょうか。