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穏やかな爆弾

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カテゴリ:声がなくなるまで
Q・マンションに一人暮らしをしているOLなのですが。
  最近、深夜に掛かってくる無言電話に悩んでいます。
  もしも、早急な用事だったらと思うと
  取らないわけにもいきませんし・・。
  何か良い対策法はありませんか?

A・顔の見えない相手の悪意は、耐え難い恐怖が付き纏います。
  被害者にとっては大きなストレスになることでしょう。
  NTTでは『撃退サービス』や『二重電話の設置』などの
  いたずら電話への対策がなされていますので
  一度、相談に伺ったら如何でしょうか?
  また、内容が悪質なもの(脅迫・威力業務妨害)や
  長期間に渡り執拗に繰り返されるもの(傷害罪)は
  事件として取り扱われることもありますので
  管轄する警察署の刑事課に相談してみてください。


次のステージでやりたい仕事に、絶対必要な『資格』があります。

(資格の内容は、後日書きますね)

帰郷してから、その養成講座を設けている学校を探していたのですが
ネットで検索しても、県外の学校か、通信教育ばかり・・。

「通学不可能では話にならないし、通信だとちょっくら不安だなぁ。
 出来ればちゃんとした講師に面と向かって教えてもらいたいトコなんだけど・・
 でも、こんな地方都市では、それも儚い夢なのかね~。」

などと半ば諦めつつ、少し早い小春日和の日に縁側で
お茶を啜りながら新聞を読んでいると・・

ある日を境に、養成講座の宣伝が乱立。

・・ただたんに時期が悪かったんですね。

・・と言うことで、早速その中の一つに電話をしてみました。

いきなり入学ってのは、学校の全貌も見えてこない段階では躊躇の対象なので
取り合えず広告に明記してあった『無料説明会』って奴に
参加の予約が取れるかどうかを確認します。

自室でソファーに寝っ転がりながら
右手にはメモ用紙。
左手には携帯。
唇に火の酒。
背中に人生・・と言う極めてゆる~いジュリースタイルで待つこと数秒。

呼び出し音の向こう側から
とっても可愛い電話受付嬢の声が顔を出しました。


受付嬢「はい。○○人材育成センター(仮称)です。」


小気味良い音階が、はきはきと聴こえて来るのは
気持ちの良いものですね。
こちらも釣られてニコニコしながら答えます。


まぐろ「あ・・もしもし?」

受付嬢「・・もしもし。」

まぐろ「ん?もしもし?」

受付嬢「もしもし・・。」


・・なんか様子が変です。

・・このもしもし綱引きは、なに?

あまりないことですが、彼女は僕が話を進めるのを待っているのかな?と考え
かまわず言葉を続けました。


まぐろ「あの・・新聞広告を見てお電話したんですけど。
    無料説明会って、予約の必要はあるんですか?」

受付嬢「・・・・。」

まぐろ「・・もしもし?」

受付嬢「もしもし?」


・・会話が全く成立しません。

暫く「もしもし」の連呼を互いに繰り返した末。

無情にも、電話は相手側からぶつりと切られてしまいました。

なんだったんでしょう?今のは?

携帯電話で掛けているので、電波状況が悪かったのでしょうか?

しかしディスプレイを見ても、アンテナはちゃんと三本立っています。

う~ん。

訝しげに思いながらも、仕方ないので
家の外に出てもう一度掛け直すことにしました。

何度目かのコールの後、再びあの可愛い声が耳に届きます。


受付嬢「はい。○○人材育成センター(仮称)です。」

まぐろ「もしもし。」

受付嬢「もしもし。」

まぐろ「・・あの、説明会の件でお聞きしたいんですけど。」

受付嬢「・・・。」

まぐろ「・・・。」


暫くの沈黙の後・・。

受付の子は少し電話口から離れたようで
くぐもった声で他の誰かに話しているようです。
あまりにも状況が見えないので、戸惑いながら耳を欹てていると
ショッキングな内容の話が聞こえてまいりました。


受付嬢「・・あの、さっきから気持ちの悪い電話がかかってきてるんですけど。」

まぐろ「は、はい!?」


・・女の子に気持ちの悪いと言われるほど、傷つくことはありません。


受付嬢「なんか・・無言電話なんですけど
    ずっと電話口で、ガサゴソガサゴソ音がしてるんですよ。
    どうすればいいんでしょう?」

まぐろ「いやっ!違いますよ!!
    あの・・聞こえますか!?もしも~し!!」


動揺している僕を尻目に、電話の相手は
可愛い声の女の子から、少しハスキーな別の女性に変わりました。
落ち着いたトーンから推測するに
多分、最初の女の子の先輩か何かでしょう。


先輩受付嬢「ちょっと・・変わって。もしもし?」

まぐろ「あの・・もしもし!」

先輩受付嬢「・・・。」

まぐろ「もしもし?聞こえませんか?もしも~し!?」


僕の絶叫空しく・・。
先輩受付嬢はクールに対処してくれした。


先輩受付嬢「あの~いたずら電話はやめてもらいませんか?
      番号通知システムで、こちらはあなたの電話番号を確認できているんですよ。
      あまりしつこい様だと、警察に通報しますよ。」

まぐろ「ぐはっ!違いますって言ってんのに~!!
    もしも~し!!!」


がちゃん・・そこで電話は切られてしまいました。

・・・。

・・・。

・・・。

なんだか、物凄く悲しくなりました。

電波の都合・・と言うにはあまりにもこちらの声が聞こえてない様なので
友人宅に電話し「お前、無言電話やめろよ~気持ち悪いよ~」と
今日二度目となる、気色悪い人間のレッテルを貼られて
自分の携帯が故障してるのに、やっと気づいたんですけど・・。

またまた知らないトコで、不審者に成り果てていた次第であります。

あう~

その後、自宅の電話から、迷惑を掛けた受付譲さんに電話して
平謝りしたことは言うまでもありません。





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Last updated  Mar 1, 2004 10:05:39 PM
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