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カテゴリ:歪曲人生
文化の違いは、人間関係に於いて
時に、大きな亀裂を生じさせる起因にもなります。 あれはドラクエが発売された年だから 僕が小学校の四年生か、五年制の頃。 まぐろ少年には、クラス編成で知り合ったばかりの あきらくん(仮名)と言う友達がいました。 「ドラクエ買ったから、今日ウチで遊ばない?」 寝ても覚めても256×240ドットの夢を見続ける 立派なファミコン中毒者だったまぐろ少年は このあきらくんの有難い誘いを断るはずはありません。 その日は、土曜日で半ドンと言う事もあって 早速、あきらくんのお家にお邪魔する事にしました。 暫くの間、あきらくんの部屋で 「りゅうのうろこは一体何に使うんだ?」だとか・・ 「うがぁ!ダンジョンでレミーラの効果が切れた!! MPもなけりゃ、たいまつも持ってね~!!」 「ドロル気持ち悪いよ!ドロル~!!」などと・・ 仲良く遊んでいると、あきら君のお母さんが 「おやつよ~」と 子供部屋に入って参りました。 そこで出されたおやつは・・ でん!と重厚な佇まいを伺わせた中華どんぶりに入ってる・・ インスタントラーメン。 ・・おやつに、ラーメン?? まぐろ少年のお家では、これは主食です。 おやつを食べ過ぎて、晩御飯が食べられないと お母さんに怒られるまぐろ少年は 少し躊躇しましたが、卵がたっぷりと入った そのラーメンの誘惑には勝てず、美味しく頂く事にしました。 一頻り、二人でラーメンを啜り合った後。 さて「今度は、温泉町のマイラだ~」と 再びコントローラーを 握り締める僕の背中を、あきら君が突っつきます。 「スープ残ってるよ。飲まないの?」 まぐろ宅では、あまりスープを飲む習慣がありません。 「うん、いいや。」 「そう・・じゃあ僕が、飲んじゃてもいい?」 ・・と尋ねると あきら君は僕のどんぶりに残った ラーメンのスープを、ごくごくと飲み始め・・ 結局、二人分のスープを、飲み干してしまいました。 この時の僕は、目の前に広がった冒険の世界に気を取られ あきら君のこの行為も 「へ~。あきら君ってラーメンが好きなんだな。」 ぐらいしか思いませんでしたが・・ それは、大きな文化の隔たりだったのです。 翌日、学校へ行ってあきら君の様子が おかしいのに気付いた時には 既に、僕と彼の人間関係が修復不能なほど ボロボロに壊れた後でした。 いつもなら、人懐っこい笑顔で駆け寄って来ては ゲームの話をしてくるあきらくんでしたが 今朝は、何だか様子が変です。 険しい面持ちで、机に座ったまま 僕の方を見ようとはしてくれません。 子供だった僕は、そんな彼の変化に戸惑いながらも 昨日のドラクエが何処まで行ったのか気になって いつもの調子で、あきら君に話しかけてしまいました。 次に、僕にぶつけられたのは 思っても見なかった言葉。 「まぐろ君が、あんな人とは思わなかった。」 あんな人・・。 あんな人・・? どんな人??? 僅か一夜にして、僕はあきら君に嫌われてしまったようです。 しかし、まったく心当たりはありません。 そんな悪事を、僕は無意識のうちに やってのけたというのでしょうか? 昨日、楽しく一緒に遊んだ風景が脳裏でぐるぐる回っていました。 まぐろ少年は、狼狽してしながら あきら君に、その怒りの矛先が何なのか問い詰めます。 「まぐろ君・・スープ残したでしょ。」 はい? ええ・・残しました。それが何か・・。 「お母さんが、沢山卵を入れてくれたのに・・。 まぐろ君が、そんな人とは思わなかった。」 ・・・え? ええ!? ええーーーーーーーーーーーっ!! よくよく聞いてみると・・ 折角、お友達が来てくれたのだからと 卵をいつもより多めに入れてくれた お母さんの優しい心遣いを 僕はそのスープを残してしまったことで 蔑ろにしてしまったようです。 ウチの家では、ラーメンのスープを飲む習慣がなかったばかりに・・。 それだけならまだしも、お母さんのがっかりした姿を見たくない あきら君は、小学生の小さな胃袋に どんぶり二杯分のスープを詰め込み その晩、お腹を壊して大変な思いをしまったとのコト・・。 その日以来、あきら君は僕と話すらしてくれなくなりました。 この様に・・ 文化の違いは、思わぬ所で人間関係の破壊につながる訳です。 難しいものですね・・異文化交流って。 さて、ここで一つ、僕から火種を投下してみましょう。 僕は、洋画を日本語吹き替え版で見るのが好きですが 皆さんは、如何でしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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