確執を生む彼女
前回の日記にも少し書いたが、私の仕事場は女ばかりである。多国籍で、スペイン、イタリア、フランス、オランダ、ノルウェー、ニカラグア、そして日本のわたし。去年も同じような感じだったのだが、みんなもめる事もなく和気藹々とやってきたし、チームワークで補い合ってほのぼのやっていた。しかし、ある子が来てから状況は一変した。もともと仲がよかったフランス人の子で、私が仕事を紹介したのだが、去年は一番後から入ってきたにも係わらず、元々店員の経験があったので客の心を掴むのも上手で仕事も誰よりも速く覚えた。仕事は誰よりも一生懸命やるし、まさに店員としてはこの上ない存在、それは素晴らしいことだったのだけど、一番後から入ってきた引け目を感じたかどうか知らないが、まず店員のトップのジュニア・ボスに子猫のように取り入って彼女を真っ先に見方につけようとしている様子を見て段々??????と彼女に対して思うようになった。そしてオーナーであるボスにも勿論、英語的表現で言えば「彼のお尻をペロペロ舐めて」見事に彼の心も掴んだ。そして一週間で、経験が長い他の女の子達に対して命令口調で話すようになった。bossyっていうのかしら。そして自分と比べてしっかり働いていないように見える子に対して「そんな態度ならボスに言うわよ!」なんて、「先生に言いつけるからね!」小学生的態度をとり始めたものだから、今まで平和で均衡だった同僚関係が崩れ始めてしまった。まずいままでなかった陰口が増え、彼女の言動を発端として口論まで起きるようになった。そんな状況の変化などはいざ知らず、彼女は躍進を続け、見事に他の女の子を差し置いて冬場のポジションを勝ち取り、店員内2番目のポジション(だと彼女は思っている)を勝ち取り、今期に至ったわけである。そして今年から入ってきた新しい子たちに対してもボスぶりを思いっきり発揮して、(ポジション的にはジュニア・ボス以外、みな同じ店員であり、上下関係はないのに)彼女達のやることなすこと全てチェックしていて、いちいちケチをつける。仲のよい友達であるはずの私に対してもそうだったときがあった。アラームを付け忘れたとか、ハンガーを元の場所にしまっておかなかったとか、はっきり言ってどうでもいいようなことを目ざとく見つけ出してきては甲高い声で、しかもお客の前で注意する。そして、私には陰でこそこそと、あの子が気に入らないだの、自分に対して反論しただの、耳打ちしてくる。そして話しているお客さんとの間に割り込んで入ってきては私達がついたお客を取っていく。私達はコミットメントを貰っているわけではないので、自分の売り上げが給料に影響することはない。だから、誰がどれだけ売ったかというのは競争ではなかったし、今までは、誰かが何か高いものを売ったら、店の売り上げとしてみんなで喜んでた。だけど、彼女がいるせいで、一人で張り合ってるものだから個人の競争みたいになってきた雰囲気も非常に嫌である。はっきりいって、同僚としてはたまんな~い存在である。店を離れたプライベートでは仲良く付き合えるけれども、私はできるだけ店内では距離を置いている。第一、単なるセーター屋の店員、キャリアにつながるわけでもなし、他人を蹴落としていく必要もなし仲良くやったらいいじゃないかと思うのだが、どうも彼女の中では違うらしい。もちろん、真面目に働いているが故のことなのだろうが、もう少し自分が周りに及ぼしている影響を見れるようになって欲しいなと思う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな感じだから、勿論彼女は店員のなかで売り上げはダントツベストである。でもそのお客にものすごく媚びて売りつけるやり方で、(彼女はチャーミングなのでうまく行くのだが)すごく見ててイライラするんだよなあ。しかし売りたいあまりに、悪気はないのだがイグノラントな失言に頭を振ってしまうことも毎日である。例えば、・昨日、ベビーカーに4歳くらいの可愛らしい女の子を乗せたノルウェー人のグループが入ってきた。私は店に彼らが入ってきた時点で気づいたが、その女の子はダウン症の子だった。いつもの通り、まず彼女は子供に近づき、褒めちぎり、買い手である親の心を掴もうとする。そして何と言ったか。「ああ、何て可愛らしい子なの!!でもその顔どうしちゃったの?(What happened to your face?)」あわわわわ~*絶句*幸い、母親がこの子はダウン症なのよ、そんな失言にもと優しく説明してあげられる心の広い方だったのでよかったが・・・・・・ある日、とっても派手なショッキングピンクに水玉のパンプスを履いているイギリス人のおばさんが店に入ってきた。いつもの通り、彼女はお客の持ち物(かばんやジュエリーなど)素敵ですね~と褒めちぎることから心を掴もうとするので、(←うっとうしいったらありゃしない)そのおばさんにもそうするつもりでいたのだろう。そして何と言ったか。店内に丸聞こえのキンキン声で”What a funny shoes you have!!!!!"(なんておかしな靴履いてるの?)いや、勿論そう言おうと思って言ったのではないのはよく分かるが、英語で人の持ち物をFunnyなんて、しかもお客に言ったらいかんでしょ~。その結果、店の中にいたお客さん全員が一斉にそのおばさんの方を向いて靴をみた。そのおばさんは気の毒に真っ赤になって出て行った。・ある日、ニューヨークから来たという中国系とインド系アメリカ人の女の子二人組みがセーターを見ていた。彼女達に近づき近づき、どこから来たのか?と質問を始める。そして彼女達がアメリカのニューヨークだと答えたら、”Oh,yes? But you do not look like normal American at all!(そうなの?でもあなた方、全然普通のアメリカ人には見えないけど!)幸い、彼女達もOffensiveに受け止めず、笑いながら親が中国人だからよ、ニューヨークにはいろんな人種がたくさんいるからね、なんて優しく受け答えしてくれてたけど、まったく子供の発言じゃあるまいし、それらの失言を大人として横で聞いていて大変恥かしく、フォローのしようもなく、オーマイガッド!と何度も頭を抱えてしまった私。・・・・・・・・・・・・・そんな彼女に振り回されないように頑張っている毎日であります。長くなりましたがああ書いてすっきりした♪