|
テーマ:詩&物語の或る風景(1048)
カテゴリ:スポーツ
日曜日朝、孤高のサッカー青年「エゾノ君」が、今日初めて「おともだち」を連れて練習していた。
前にも紹介したとおり、彼のプロフィールは、ウォーキングしながら観察する僕の全くの想像。微に入り細に入り過ぎている感はあるものの、モチーフを見た作り話のネタということで勘弁して欲しい。 ネーミングの由来は、元日本代表・前園似のファッションだが風貌がマヌケなため「マの抜けたマエゾノ」転じて「エゾノ」。 日々、日本代表のレプリカもしくは「勝ちT」を着てたった1人で練習しているが、ヘタッピなので、 「両親の反対を振り切って、仕事を辞めて今年のドイツW杯へ日本を応援に行き、フヌケになって帰国したあと何もせずしばらくプラプラしていたが、このままだともったいないのでサッカーの真似事でもはじめてみた、だけど同好の士は現れず1人ぽっち」 というプロフィールを勝手に設定してみたが、見れば見るほど、そういう人にしか見えなくなってくる。 小生の思い込みも相当激しい。 そんなエゾノに、とうとう「一緒にサッカーやってくれる仲間」が現れたのだ。 どういういきさつで「スカウト」したのか。たとえば、パパから「もう小遣いは出してやらんぞ!」と最後通告を受け、仕方なくはじめたバイト先での同僚との昼休みの会話で、たまたまW杯の話題になり、「オレもサッカーやってんだ」「マジ? オレ、中学時代サッカー部だったよ」「じゃ、一緒にやろうぜ、今度の日曜日の朝6時にご近所公園集合な」などと云って呼び出したのか。 「サッカーやってる」とは云ったものの、実は1人ぽっちのサッカー練習だということはとうとう云い出せなかったエゾノ君。 だけど、「ウソから出た誠」という諺もある。 ちばあきお氏の漫画「キャプテン」でも、野球の名門中学から転校してきた主人公は、実はその名門2軍の補欠だったことを仲間にも云えずにいたが、名門中出身という名に恥じない実力を身につけようと、陰で猛練習を重ねた結果、本当に実力を身につけ、ついにはキャプテンの座を射止めて大活躍するのだ。 エゾノくんだって、おともだちと一緒になってボールを蹴りあっているうちに、本当のサッカー選手になれるのかも知れないのである。仲間が出来たこと自体が、すでに彼の実力を上げるステップとなっているのだ。 なんだかんだいいつつ、1人サッカーの成果か、ドリブルはなかなか板についてきている。 パスはぜんぜんなってないけれど、こうやって2人でやってるうちに上達するのだろう。 後に誕生するサッカーチーム「エゾノジャパン」のメンバー全員が、ジャパンのレプリカを身にまとって練習する日もそう遠くないのかもしれない。今日はその記念すべきスタートの日と云えるかもしれない。 だがエゾノくんが安堵していられたのも、ほんのつかの間であった。 彼らの練習する場所というのが「球技を禁ず」という札のかかった陸上競技のトラックで、日曜日は「ご近所マラソン走友会」のおっさんたちがこのトラックで走りこみをする日と決まっていたのだ。 パスのときのボールコントロールがおぼつかないエゾノくんが、おともだちへと強く蹴ったボール(日韓W杯仕様)は、あろうことか、折しもトラックをゆっくり走っている「走友会」の人たちめがけて飛んでいった。 軋轢の瞬間は刻一刻と近づいていた・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 30, 2006 03:38:08 PM
[スポーツ] カテゴリの最新記事
|
|