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カテゴリ:モノローグ
先日、不要品整理とわずかな収入を目的に、近所の公園で開かれるフリーマーケットに家族で店を出しました。 一枚250円の値を付けて、それでも売れ残ったCDの中に、森高千里の「ラッキーセブン」というアルバムがありました。 ヘヴィメタル一辺倒だった僕が、なぜこれを買ったかというと、学生時代の親友であったA君が好きだった「渡良瀬橋」が収録されていたからです。 A君は、卒業後渡米し、その経験を生かして、実家の家業を継いだのですが、その矢先、病魔に襲われて、志半ばで斃れたのでした。 彼は、東京で一人暮らしをしている間も、郷里・足利の山河を愛してやみませんでした。 もちろん、その河に架る渡良瀬橋も。 僕も遊びに行きましたが、空が高層ビルに切り取られている東京と違って、立ち去りがたい夕景でした。 そんなことはすっかり忘れて、僕は彼の想い出を二足三文で売り飛ばそうとしていたのでした。 それに気付いて、僕は身悶えしそうなほど、自分を恥ずかしい人間だと思いました。 売れ残ったのは、A君が売らせまいとしたのでしょう。 ごめんなさい、ごめんなさいA君。 君の分まで生きるよ。見ていてくれよな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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