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里見八犬士☆犬坂毛野の夢

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2005.08.19
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カテゴリ:猫と生きる
 あの日、未だ赤ん坊だった三毛猫を拾って以来僕に様々な変化が起きた。まず自分の事よりも“遥かに弱い存在”に対する仔猫の世話を優先しだした事。当然、幼き頃飼っていた犬と違い、世話をする者が僕しかいなければ当然の筈。然し餌や水が無いと言って、啼き乍ら擦り寄って来る仔猫を無視してピアノを弾いたり勉強をしたりする事は到底出来なかった。そう、この仔猫こそ一つ屋根の下に暮らす唯一の理解者であり、同じ傷を舐め合う親友なのだから。

 然し乍ら学業以外色々抱える僕にとっての動物の世話は、想像以上に大変だった。まず難儀したのはトイレの世話。然し、この猫は予想以上に行儀が良く、矢鱈粗相をしたりトイレの砂を撒き散らす事は無かったが、それでも狭い部屋での管理は、特に暑い日は“愛情無くしては出来ない”と想った.....。

 そう僕が身体の具合が悪い時、タイミング悪く猫のあの“カリカリの餌”が無い事もあった。ただそこで所謂キャットフードが無い場合、心の緩みから、「人間の食事」を与えたく成ってしまう。また僕が独りで鰯や鯖の缶詰を食べている時には、“ニャー”と啼き、喉を鳴らしながら膝の上に容赦なく上って来た。然しそれでも僕は「絶対キャットフード以外与えない」という信念で育てた。それは常識かも知れないが、肥満やそこから来る病気予防、そして人間の食事以外食べなくなるという恐れに対する防衛策だと僕は確信していた。それ故どんな体調の時でも猫の餌を買いに行く事、これは途轍もなく辛かった。
「嗚呼、子供を育てるのって、やっぱキツイのかな...。」僕は、冬の氷雨の中、熱で震えながら“育ての親”は偉大な存在と想った。

 また野良猫と関わらせまいと室内だけで飼う事にした。ただでさえ猫の毛はアレルギー体質の僕にはキツく、それに蚤が加わったら真っ先に僕の方が精神的に滅入ってしまうだろうから、定期的に引っ掻かれ乍らも風呂に入れた。

 確かに“可愛いらしい同居人”が加わったので、“人間の同居人”がいた頃よりも僕の無数の心の傷は大いに癒されて来た様な気がした。そして名前を呼べば飛んで来る、もうすっかり大人に成った猫が当たり前の様な存在に成ってしまい、いつしかそんな僕の唯一の心の支えに対する仔猫への愛情が少しだけ薄れた様な気がした。そう、日常生活の忙しさが僕の身体を蝕んで行く毎に。
だから僕は猫の事を忘れて力尽きて眠ってしまう事が増えた。「そういえば、猫、餌、大丈夫だったかな?」ベッドの中でうわ言の様に繰り返し乍ら。“一回の猫の世話”への情熱が消えたのかと、一瞬想った。でも今想えば、病気でダウンした時など、だれも僕を看病してくれないので仕方ない事なのかと想ってしまうが、それでも僕は薬を飲み乍ら罪悪感と闘っていた。

「こんな僕に拾われたキミが可愛そうだよなあ」と溜息を吐き乍ら。

 そんなある日、僕の部屋から飼い猫が姿を消した。あの晩以来、あれだけ僕に懐いていたのに忽然と姿を消したのだ。無論部屋の何処にもいない....。その時ふと僕は良からぬ事を考えた。そう“命を終える猫は自ら姿を消す”。まさか未だ3、4年しか経っていないのに....。僕はその日以来後先も考えずに近所を探し回った。当然猫は夜行性なので、夜間友人も動員して探し回った。勿論悪天候の時も、またどんなに身体の具合が悪い時も。また、猫がいなくなって以来、猫の餌と水がそれぞれ入っていた小さい器を見ると、それだけで涙が止め処無く零れた。また、一生懸命育てた猫を失った胸の痛みで、僕も余り食事が喉を通らなく成った。僕は別に気力が萎えた訳では無いが、それでも、周りの冷たい大人がかけてくれない“挨拶”を、猫がしてくれていた事を想えば想う程、たった一匹の出自の判らないミケの雌猫を実の肉親と想った。だからこそ、今、何処を彷徨っているかも分からない猫の孤独が、僕を悲しみの淵へと追い遣り、叫んだ。「もっと世話すれば良かった」と心の中で。

 遂に“野生”に目覚めたのか?専門家でも無い僕は強く想った。

 僕はもう探せないだろうと半ば諦めかけていた。そして、もう探し廻る事に疲れ果てて、ふと満月の月明かりに照らされ乍ら一瞬僕の心を過った事。それは今迄喧嘩別れした、仲の良かった友人の顔だった。彼等と決別したのは、必ずしも総て僕だけが悪いのでは無い筈だった。然し、それでも彼等と仲直りする事は絶望的に想えた。それはお互い余りにも若すぎて分別弁えずに傷つけ合ったから。だから感情の動物の人間は、一度恨みだしたら例えこちらから折れても到底許してくれないだろうと想った。だから人間って実は動物以上に無意味な争い、大は戦争、小は人間関係のトラブルを引き起こすのだろう。それは人間には“満足”が無いが故、だからどんなに満ち足りた生活をしても、友人や恋人と、ちょっとの意見の相違で簡単に別れてしまう。嗚呼、何て人間って勝手なんだろう、頼む時だけ頼んで、意見が違えばスグ喧嘩別れなんて...。

 その点、“野良猫の世界”は凄いと想った。僕の近所の野良猫の群れを仕切る子連れ女ボスは、仲間の猫がやられたら“助太刀”を欠かさない。そして、仲間が病気や車に轢かれて死ぬ迄ずっと仲間であり続ける..。嗚呼、動物は何て偉いのだろうと感嘆した。必死に仲間同士助け合って生きているから..。

 そう想うと矢張り僕は“仲間”であり、“肉親同然”の猫をどんな事をしても探す勇気が出て来た。然し貧乏学生の僕には人を雇うお金も無く、また報奨金も多くは出せない。だから僕は近所を尋ねて歩き周り、特に明るい満月の夜などは必死に探した。野良猫に出来て僕に出来ない筈は無い。仲間のために後先も無く飛び出すあの“姉御”を想うと、何故か勇気がこみ上げてきた。

 そんな最中、僕はまた仲間だと想っていた友人からキツく責められた。でもお互い普段相手を想って誠心誠意を尽くしていた筈。それなのにたったひとつの行き違いで相手を許せないとは何事かと愕然とした。そう猫でさえ相手を総体的に見、どんな種類の猫でも群れの一員として認め合っているのに.....。

 だから人間の心には時折マイナスの感情が働き、今迄培って来た友情や信用という一朝一夕には得難いものを、一瞬の内に壊す装置の様なものが心の中にセットされているのかと想い更に僕自身が人間の愚かさに気付き失望した。

 人一倍孤独が辛かった少年は、友人を失う事が更に辛かった。

 某国の知人がある日、僕にこんな事を教えてくれた。
 それは諺のようなものだと確かに言っていた。

 「Aさんが、ある友人に一生懸命尽くした。
  そして友人もAさんに心から感謝した。
  ある日その喜びが9回目に達し、
  更に友人はAさんに最大級の感謝を捧げた。
  然し、“10回目のプレゼント”を友人に与えようとした時、
  Aさんは友人と些細な事で口論してしまった。
  そして友人はその瞬間からAさんを悪者と決め付け、
  今迄Aさんから受けた喜びを総て帳消しにして、
  それ以降“恩着せがましくないAさん”を悪者呼ばわりした。」

 嗚呼、これを野良猫に聞かせたらどう想うだろうか?ただその日の食事を求め彷徨い、車に轢かれそうに成っても仔猫を全力で育てている母猫に聞かせたら一体何と言うだろうか?ただ生きる事を考えて生きる彼等野良猫が.....。

 だからきっと街を彷徨う僕が飼っていた猫も、あれだけ僕が優しく育てたのだから必ずまた心から赦してくれるだろうと、僕はずっと信じたかった。

 然しあの猫は、僕とは違い柔和な、喧嘩とは無縁な存在だった。そう尻尾を踏んで、一瞬叫び声を上げてもスグにまた寄って来て僕の足を舐める、ある意味“天然”っぽい猫だった。だからタチの悪い野良猫に襲われたらきっと怪我するんだろうなぁって想い、僕は大量のビラ迄印刷し自腹を切ろうとした。

 でも何をしても、全く影もカタチも無い。
 そんな時僕は天を仰いで祈った。
 
 「嗚呼どうか、猫が見つかりますように。」と、失望感を漂わせ乍ら。

 
 そんなある日、常識では信じられない事が起きた。そう、近所のある優しい方が「苛められている猫がいる」と僕に教えてくれたのだ。しかもその場所はいつ車に轢かれてもおかしくは無い場所で、先日も野良猫が息絶えていた場所だ。また、誰からその噂を聞いたのかも想像すら出来ず、本当にたまたま発見したらしい。地味で余り目立たないミケ猫を......。
 
 一瞬、僕に去来した事。矢張り信じて行動すれば願いが叶う事。
 そして、目に見えない“縁”で総ては繋がっている事。

 そして遂に血を流す猫を抱き上げた時、
 僕は午前中の人通り多い中、
 不意に涙を零してしまい、
 咄嗟に長い前髪で隠した。

 “たった一匹の猫”を探すために闘った日々が、
  遂に報われたある朝の出来事だった。

 あの日僕が世話をサボった事を怒っているならば赦して欲しい!
 そして、僕の“10回目の過ち”もどうか赦して欲しい!

 人間の友人に言って赦してくれなかった事を猫に伝えたら、
 何だか僕はこの再会こそが、この猫の“赦し”だと想えて来た。

  そう想ったら、僕はかなり心が軽く成った。

 「嗚呼、あとは、アイツに赦して貰うだけだなぁ!」

 泥と血にまみれた、あの日の僕の様な猫を抱えながら、
 赦して欲しいと願う友人の顔を想い浮かべた.......。

 
 






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最終更新日  2005.08.19 11:31:13
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