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カテゴリ:夕闇のピアノリサイタル
「僕は思春期のあの日さぁ
あんまり独りきりだったから 僕の胸がズキズキ痛むほど 寂しくて、寂しくて 言葉を全部失くしちゃったんだよ・・・・・ そう、何も言えなくなったんだ! だから僕の心から 僕につらいこと言って 胸にいっぱい棘を刺す しかめ面の大人や子供を ぜんぶ消しちゃったんだ! だから僕の心に映るのは 部屋の小さい窓から見える どこまでも透き通った空色の空 自由な心を持った白い雲 温かい光を注いでくれる太陽 それにまだ青い空だったから 少し照れくさそうな白い月 そして、僕の庭に咲く花々 その周りを楽しそうに舞う 揚羽蝶、紋白蝶、シジミ蝶・・・・・ だから僕は麗しい蝶に恋をしちゃったんだ あまりにも優雅に、そして可憐に 薔薇やさつきの花の周りで遊んでいたからね だからね、僕はいつも独りでこう叫んだんだよ 涙を堪えながら、言葉に成らない心の声でね・・・・・」 『ああ、僕はできることなら蝶に成りたい ああ、美しい花の周りをふわふわ舞うように 大好きなピアノを弾きたいよ・・・・・ ベートーヴェンの月光ソナタで あいつに感動して欲しいよ・・・・・ 今、僕のこころにあるのは 空 雲 太陽 月 花 僕が恋焦がれる揚羽蝶 たったこれだけをずっと想って あいつに約束した 二人きりのピアノリサイタルを どうしても叶えたいからね 胸がどんなに痛くても 僕はずっとピアノの周りで遊ぶ 麗しい揚羽蝶に成りたいよ! そう、あいにもう一度逢えるまでさぁ・・・・・』 誰からも見放された 思春期の孤独な少年に 身体の変化に独り戸惑う 硝子細工の少年に 全くの闇の世界 さらに孤独な 冷ややかな夜が訪れた・・・・・ To be continued..... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.09.16 11:49:27
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