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カテゴリ:バイク少年の夢
ただ走りたいから 走っていたんだ
僕の愛馬 葦毛の鉄の馬と共に 僕を汚したハマの歓楽街を抜け出して 単騎、僕は夜毎第三京浜を疾走したんだ ある日僕の身体に走る衝動は 僕を苦しめる悪口雑言を 総て麻痺させてやろうと想い 僕を更に汚す街を求め 僕は闇夜を切り裂いたんだ 血に絶望し 国に失望し 孤独な魂は 夜毎 風とひとつに成りたかった 光に成りたかった だからいつも全開だった もういつ散ってもいい だって僕の幸せなんて 安らぎなんて 何も無かったからさ..... 温かい言葉 優しい言葉 どうして僕にかけてくれないの? いつも僕は高速の景色 流れ行く第三京浜の無数のライトが 繁華街育ちの僕に無縁だった 天の川のようだって想いながら 幼い頃のたった独りで 都会の狭い夜空を眺めていた僕が ふと想い浮かんだんだ 降る筈も無い流れ星を ずっと待ち続けていた あの日の少年は 祈っていたんだ 天の神様に..... やがて大人に成った僕は いつもあの日の少年の叫びが とっても苦痛だったんだ だって今も独りだし あの日の僕の寂しさも 癒せ無かったからさ..... そしていつしか 寂しさや痛みを 紛い物で癒そうとしたんだ 人を麻痺させる 眩い光に吸い込まれてさ..... だからいつも この苦痛が消えるのなら 僕はいつ光に成っても 構わないって想ったんだ..... そう、第三京浜の流星に成って 僕は夜空に輝きたかったんだよ 声が出なく成る迄 泣き続けた僕に 孤独も絶望も 怒りも悲しみも みんな消えてしまうからね..... 生きているから続く激痛 僕はもう耐えられ無かったんだ そして夜毎僕の身体に響いていた 祈るような叫び声 尾崎豊の「誕生」 彼の最後のライブの慟哭 僕に真理を語ってくれたんだ 第三京浜で光に成ろうとした 風とひとつに成ろうとした 夜空に消えかかった儚い命に 優しく語りかけてくれたんだ..... 僕に 間違っていないって 語りかけてくれた 尾崎 僕の命を救ってくれた 僕に生きろって 叫んでくれたんだ どんな困難にも 負けるなって 僕に叫び続けたんだ..... そう、誰も僕に言ってくれなかった 血も街も、そして国も そして下らない学校も みんな僕をシカトし続け 僕から幸せを奪っていったんだよ 尾崎、聴こえるかい? 僕の声が 僕を心から想ってくれる 僕の大切な心の友が 僕の命を繋げてくれているんだよ 嗚呼、僕にも尾崎が 最後のライブで 叫んでいた意味が 漸く分かったよ 僕が生まれた事は 間違ってはいなかったって事がさ..... あの日 第三京浜の流星に成ろうとした僕は 今宵 僕を心から求めるひとの 唯一の光に成ろうと想う この命を救ってくれた尾崎、 ありがとう..... 僕は尾崎の叫び声を 勇気と希望に変えて 強く、そして優しく 生きて行くからね..... 僕が再び第三京浜を疾走する日 あの日の銀色の流星に 逢えるかな..... 涙の河の天の川の中 美しく輝いていた 寂しがり屋の 流星のキミに..... 真冬の冷気を 熱風に変えていた 情念の焔を燃立たせていた 孤独な魂のキミに..... 僕は第三京浜の流星に成ろうとした キミを 決して忘れないよ..... 消えかかった光 もう一度輝かせるから あの日の僕のために 絶望の中 這い蹲って生きて来た 僕のためにさ..... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.12.20 05:26:28
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