テーマ:好きなクラシック(2326)
カテゴリ:音楽が好きさ
誰も避けられない「老い」を感じた。でも、それは痛々しいものではなく、悲しいものでもなく、年を重ねた人の強さとか、何かを残そうとする彼の意志のように思えた。63歳になったポリーニの演奏会では、例年通り3000円の若葉シートが設けられた。若い人はあのポリーニの演奏を、どう受け止めたのだろう。
ショパンの演奏会の感想を聞かれるたびに「腰が抜けた」と答えている。60歳をこえて、ここまで一生懸命にピアノに向き合える心の持ち方って何だろう。演奏を聞きながら、そんなことを思った瞬間に、ぽろぽろと涙がこぼれて、止まらなくなった。 私がポリーニの演奏会に出かけはじめたのは20年前。今はもう、そのころの強い音は出ないし、親指から小指まで粒がそろっていた音色も影を潜めた。ミスタッチにはらはらすることもあった。演奏を終えて、袖に引っ込むときは、疲労のせいか、がっくりと肩を落とした。だけど、ホールに立ち上る音の美しさは、一番だったかもしれない。 最後の曲のポロネーズ、英雄では、頑張った。右手小指のフォルティシモが響き、最後も、びしっと音を消して演奏を終えた。その緊張感といったら…。かっこいい!もう、その言葉しか、思い浮かばない。 ありがとう、お疲れ様と思って拍手。ところが、アンコールにびっくり。雨だれにバラードの1番、革命の練習曲と、大好きな4番の練習曲。どんな分野だって、63歳でこれほどのパフォーマンスをする人はいない。それにポリーニは、今だって世界最高のピアニストだから。 ■11月6日サントリーホール・C-3-5 ベートーベン ピアノソナタ1番、3番 29番ハンマークラヴィーア ■11月9日 サントリーホール・C-1-38 ショパン 3つの夜想曲作品15、バラード3番 2つの夜想曲作品48、スケルツォ1番 2つの夜想曲作品55、62 ポロネーズ5番、6番英雄 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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